元旦、親戚宅へ新年のごあいさつに行ってきました。
そこで話題になったのが、「正月の東京」について。
東京育ちの方の指摘によると、
「正月は人が少ないから、いつもより冷える」
のだとか。
この説が正しいかは分かりませんが、
確かに正月の東京は静かですね
(初詣、バーゲン会場を除く)。
いつものゴミゴミした様子がなく、
空気もひんやりと感じられて気持ちがいいです。
静かな東京で私にとってもいいこと(?)がありました。
どうも、自宅マンションの両隣が帰省中で
不在らしいのです。
全く物音がせず、明らかに人がいない。
こうなると、ふだん抑えていた行動に出たくなります。
そう、「大音量ジャズ」です。
いつもは遠慮して絞っているヴォリュームをぐいっと上げて
聴きたくなるジャズ・・・・
私の中では、リーダーがドラムスのものに決まっています。
それも、切れのいいものを浴びるように聴きたい!
取りだしたのはロイ・ヘインズ(ds)の名作
「ウィ・スリ-」です。
ロイ・ヘインズはいまや数少ない「ジャズの生き証人」の一人。
80代半ばの今も世界中でライブ活動をしている凄い人です。
↓
http://ameblo.jp/slowboat/entry-10339914255.html
しかし、マックス・ローチやシェリー・マン、
エルヴィン・ジョーンズといったドラマーと比べると
リーダー作を制作する機会にあまり恵まれませんでした。
チャーリー・パーカーやスタン・ゲッツ、ジョン・コルトレーンという、
超一流ミュージシャンとがっぷり組んでいたのにも
かかわらず、です。
様々なスタイルに対応できることから、
プロデューサーが個性を見つけにくかったのでしょうか。
しかし、ドラマーとして不可欠なパワーに加え、
他のミュージシャンに対する反応の良さ、
重さと軽さのコントラストをつけるバランス感覚など、
ジャズ・ドラマーの巨人と言って間違いありません。
ちなみに彼への評価は90年代から再び高まり、
リーダー作が次々に出るようになりました。
「ウィ・スリー」はへインズの初リーダー作。
当時結成していたレギュラー・トリオで吹き込みました。
へインズはリーダーでありながら出しゃばらず、
「トリオを締める」ドラミングに徹しています。
そして、ピアノのフィニアス・ニューボーン・ジュニアが
絶好調であることも、アルバムの価値を高めています。
他のどのピアニストとも違う、速射砲的なフレーズ。
同じ「速射砲」であっても、オスカー・ピーターソンなら
快活なフレーズを楽しむことができます。
フィニアスの場合、鋭利な刃物が突然出てきたかのように、
ドキリとさせられることが多いのです。
ロイとフィニアスのパワーが結びついたアルバム、
聴いてみましょう。
1958年11月14日、ニュージャージーの
ルディ・ヴァン・ゲルダ-・スタジオで録音。
①Reflection
ピアニスト、レイ・ブライアントのオリジナル曲。
冒頭、へインズの重たいドラム・ソロによるイントロで、
このアルバムの成功を確信します。
重量感がありながら、切れ味がいい、最高のドラム。
ピアノとベースが加わると躍動感が一気に増し、
「ハード・バップの世界」へすっと入りこみます。
哀愁のあるメロディを受け、最初にソロをとるのはフィニアス。
硬質でスキのないソロです。
メロディから引き継いだ哀感を持ちつつ、
攻撃的な表情が時おり漏れるところに
天才ピアニストのすごさと狂気を感じます。
続くへインズのソロも素晴らしい!
短いながら、ドラムが「叩かれている」のではなく、
「歌っている」かのようなソロです。
大音量で聴けて良かった・・・・
③Solitaire
トニー・ベネットが歌って流行した曲だそうですが、
私は全然知りませんでした。
冒頭、フィニアスが単独でソロを弾いていきます。
ここでのフィニアスのタッチは相当強く、
ゴスペルかブルースを聴いているようです。
それが、一転、ドラムとベースが加わると
美しいバラッドのメロディをスローで
弾くのですから、驚きです。
こういう変な構成を考えたのはフィニアスなのでしょうか?
構成は変わっていても、トリオの演奏は素晴らしく、
フィニアスは曲の美しさを生かしたソロを弾きます。
続くポール・チェンバースの骨太なベース・ソロも聴きもの。
ラストで、再びフィニアスが現れて、単独でソロをとりますが、
「美しさ」とどこに行くか分からない「スリル」の
バランスが絶妙です。
重厚なドラムとピアノを堪能しました。
お隣のみなさんはいつ帰省してくるのでしょうか?
明日の遅い時間まで不在だったら、
もう少し「大音量ジャズ」を楽しめるかな・・・・
