あけましておめでとうございます。
マイペースの更新ながら、今年もこの「ジャズ日誌」を
続けていきたいと考えています。
引き続きのご愛顧、宜しくお願いいたします。
私は新年を東京で迎えました。
西日本は大変な荒れ模様になっているようですが、
東京は天気に恵まれ、
穏やかな元旦を過ごすことができました。
初詣に出かけようと、近所の新井薬師へ。
初詣スポットとしてはそれほど有名ではない(?)ため、
気楽にお参りできると思ったのですが・・・・
お寺の前には長蛇の列が
↓
お賽銭箱にたどり着くまで、
15分~20分ぐらい並んだでしょうか。
東京はどこに行っても行列ですね。
帰りがけに、おみくじを引きました。
私はなぜか「おみくじ運」がなく、
これまで「大吉」がほとんどありません。
「吉」あたりが一番多かったかな・・・
今回は気合を入れて「大吉」をねらったのですが、
結果は「末吉」。
仕事で私利私欲を追い求めると痛い目にあうとか、
恋愛で自分だけガツガツしてもダメだとか、
失ったものは出てこないとか・・・・・
「末吉」の内容を大ざっぱにまとめると、
今年は「自分さえ良ければ」という心を捨てないと
うまくいかない、とのことでした。
こういう時は「欲のなさ」がいい方向に働いた
ジャズを聴きましょうか。
スティーブ・キューン(p)トリオの「デディケーション」です。
スティーブ・キューンについては、近作も含め、
このブログで紹介してきました
↓
http://ameblo.jp/slowboat/entry-10719277204.html
http://ameblo.jp/slowboat/entry-10136365233.html
これまでご紹介してきた作品は、
演奏スタイルやテーマ設定において
「野心的」なものであると言えるでしょう。
これに対し、「デディケーション」は
肩の力が抜けた「普段着のキューン」が聴ける作品です。
「デディケーション」をプロデュースしたレーベルは
「レザボア・ミュージック」。
通好みの「B級ピアノ・トリオ」を量産している
レーベルとして知られています。
プロデューサーが
「そろそろキューンの脱力系アルバムを作ろうか」
と言ったかどうかは分かりません。
しかし、そんなことを想像してしまうほど、
「普通のジャズ」の装いを持つリラックスした作品です。
もちろん、ベテランのキューンだけに、
「安きに流れた」演奏をしているわけではなく、
ハッとするような場面もそこかしこにあります。
それでも、「名作を作ってやろう!」といったような
気負いがないところが何ともいいのです。
1997年、10月6~7日、ニュージャージーの
ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオでの録音。
Steve Kuhn(p)
David Finck(b)
Billy Drummond(ds)
③I Waited For You
アルバム全体の特徴をよく示したバラッド。
キューンがこれまで何度も演奏してきた曲ですが、
その中でも「さりげない」アプローチに徹しています。
繊細なブラシに乗って、キューンが淡々とメロディを弾く。
奇をてらったことはしていないのですが、
右手がメロディをシンプルに提示する一方、
左手が意外なところで低音部のコードを交えてきます。
こうした独特のアクセントの付け方によって、
聴き手は演奏に集中していきます。
ソロに入ると、キューンの耽美的なフレーズが続き、
妖しい世界が垣間見えそうになるのですが、
最後はぐっと踏みとどまって
「普通の」ジャズの枠に入れています。
これを「物足りない」と考える方も入るでしょうが、
私は過度の緊張を強いないこのバージョンが好きです。
⑥It's You Or No One
スタンダードをトリオが快調に料理しています。
ブラシとベースが非常に歯切れのいいリズムを刻む中、
最初はやや夢遊病的に「揺れる」フレーズを
繰り出していたキューンが、次第に演奏を変化させます。
シンバルが鳴りだし、テンポが上がってきたところで
ピアノはより軽快になり、流れるようなソロが展開されていく。
コロコロと転がるかのような音のつながりが作られ、
トリオ全体が熱くなっていくのが分かります。
ベース・ソロを経て、ピアノとドラムの小節交換へ。
ビリー・ドラモンドの歯切れがよいドラムとの応酬の中、
盛り上がりが最高潮に達したところで、すっとメロディに戻る。
この辺りの潔さが、「すっきりとしたジャズ」の
あるべき形のような気がします。
この他にも⑤Please Let Go といった現代的なワルツ、
⑦For Heaven's Sake の叙情性などが忘れられない、
ピアノ・トリオの秀作です。
もうすぐ42歳になる私としては、
「2011年、野心的に攻めるぞ!」と思っていたのですが、
もう少し周囲を見つめてから行動することにしました。
おみくじの効用って、運勢を占うことではなくて、
自分を見つめ直すことにあるのかもしれませんね。
