最近、体調を崩した方はいませんか?
前回の記事で「秋が深まっている印象がない」と書いたら、
その後、一気に季節が進んでしまいました。
ここ数日、まるで冬が来たような寒さ。
季節が一つ飛ばされてしまったような、
何とも言えない気分です。
私の職場では風邪を引く人が増えています。
急な季節の変化についていけなかったのでしょう。
私自身、風邪は引いていないのですが、
きょうは体から「ダルさ」が取れませんでした。
仕事の疲れだけではないようで、
季節の急激な変化によるストレスが
体のどこかに残っているのだと思います。
こんな時、大好きなジャズであっても
体にズンズンくるのは厳しい。
ベースやドラムがないぐらいがいいかも・・・・
と考えていたら、ありました。
チェット・ベイカー(tp)とポール・ブレイ(p)のデュオによる
「ダイアン」です。
秋になると恋しくなるチェット・ベイカー。
2年前のほぼ同じ時期に、
チェットについての記事を書きました↓
http://ameblo.jp/slowboat/entry-10156208045.html
彼の翳りのある音は、やはりこの季節にふさわしいのでしょう。
しかも、「ダイアン」は、収録曲のほとんどがスロー・バラッド。
秋のひととき、読書しているバックで流してもいいですし、
真剣に聴いてもいいという、便利なアルバムです。
真剣に聴く場合は、ポール・ブレイにも注意した方が
いいかもしれません。
ブレイは前衛音楽で活躍していたこともあり、
独特の「尖がった」感覚を持っています。
それでいて、攻撃的にパワーで押し切るタイプではなく、
音をどこかで「封じ込めている」かのような
内省的な演奏をします。
そんなポール・ブレイが
チェットの繊細で、時に甘美さがある演奏に
合わせることができるのか?
それが、合うのです。
どちらかというと、ブレイが寄り添った感じで、
意外に素直な歌心を披露しています。
ライナーによれば、1955年、ブレイはチェットに呼ばれ、
彼のクインテットに参加したことがあるそうです。
それから80年代まで共演はなかったそうですが、
前衛に走る前に世話になった先輩に対し、
ブレイは敬意を持っていたのかもしれません。
1985年2月27日、コペンハーゲンでの録音。
Chet Baker(tp)
Paul Bley(p)
①If I Should Lose You
私が聴いてきた中でも、一番スローな
「イフ・アイ・シュド・ルーズ・ユー」です。
冒頭、ブレイのやや不穏な響きがあるコードが奏でられた後、
絶妙な間で入ってくるチェットの一音が聴きもの。
ピアノの音が途絶え、静寂になるギリギリのところで入るのは
勇気がいることだと思います。
そこを説得力ある一音で切り込んでくるのはさすが!
その後、チェットが朗々とメロディを吹きあげ、
ブレイは必要最小限のバックをつけていきます。
やがて、ブレイのソロへ。
前衛さは影を潜め、スローで簡潔なソロを弾いています。
ただ、ソロの後半で少し「うねり」のあるフレーズがあり、
そこにブレイらしい切れ味を感じます。
やがて、チェットに戻り、非常にスローテンポで
メロディが提示されます。
この辺り、あまりにゆったりなので
集中力が切れないか気になるのですが、
チェットは最後まできっちり吹いています。
③How Deep Is The Ocean
アービング・バーリン作曲のスタンダード。
チェットがメロディを吹いた後、ブレイのソロへ。
①と比べ、テンポが上がっていることもあり、
ブレイがリラックスして「尖った美しさ」がある
彼らしいフレーズをところどころで出しています。
チェットもリラックスして、独特の柔らかいソロで続きます。
ピアノとの掛け合いになる場面もあり、
二人の生きの合い方がよく分かるトラックです。
⑥Diane
アーノ・ラピーとリュー・ポラックという人が
1927年に共作したというバラッド。
私はこの二人を全く知らないのですが、
非常に美しい曲です。
澄んだ星空の下で聴きたくなるような静謐さがありながら、
どこか華もあるような・・・
チェットが余計な感傷を加えずに、
潔くメロディ~ソロを吹いています。
これに続くブレイのソロは透徹した美しさの中にも、
どこか優しさを感じさせます。
ブレイって根底には親しみやすいところもあるんだ・・・
ちょっとうれしい発見があるトラックでした。
先ほど天気予報を見たところ、
台風が通過する明日以降、気温が多少上がるようです。
チェットとブレイの音楽で和んだところで、
体調を整えて秋の日々を楽しみたいですね。
