ダイアン/チェット・ベイカー~ポール・ブレイ | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


最近、体調を崩した方はいませんか?


前回の記事で「秋が深まっている印象がない」と書いたら、

その後、一気に季節が進んでしまいました。

ここ数日、まるで冬が来たような寒さ。

季節が一つ飛ばされてしまったような、

何とも言えない気分です。


私の職場では風邪を引く人が増えています。

急な季節の変化についていけなかったのでしょう。

私自身、風邪は引いていないのですが、

きょうは体から「ダルさ」が取れませんでした。

仕事の疲れだけではないようで、

季節の急激な変化によるストレスが

体のどこかに残っているのだと思います。


こんな時、大好きなジャズであっても

体にズンズンくるのは厳しい。

ベースやドラムがないぐらいがいいかも・・・・

と考えていたら、ありました。

チェット・ベイカー(tp)とポール・ブレイ(p)のデュオによる

「ダイアン」です。


秋になると恋しくなるチェット・ベイカー。

2年前のほぼ同じ時期に、

チェットについての記事を書きました↓

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10156208045.html


彼の翳りのある音は、やはりこの季節にふさわしいのでしょう。


しかも、「ダイアン」は、収録曲のほとんどがスロー・バラッド。

秋のひととき、読書しているバックで流してもいいですし、

真剣に聴いてもいいという、便利なアルバムです。


真剣に聴く場合は、ポール・ブレイにも注意した方が

いいかもしれません。

ブレイは前衛音楽で活躍していたこともあり、

独特の「尖がった」感覚を持っています。

それでいて、攻撃的にパワーで押し切るタイプではなく、

音をどこかで「封じ込めている」かのような

内省的な演奏をします。


そんなポール・ブレイが

チェットの繊細で、時に甘美さがある演奏に

合わせることができるのか?

それが、合うのです。

どちらかというと、ブレイが寄り添った感じで、

意外に素直な歌心を披露しています。


ライナーによれば、1955年、ブレイはチェットに呼ばれ、

彼のクインテットに参加したことがあるそうです。

それから80年代まで共演はなかったそうですが、

前衛に走る前に世話になった先輩に対し、

ブレイは敬意を持っていたのかもしれません。


1985年2月27日、コペンハーゲンでの録音。


Chet Baker(tp)

Paul Bley(p)


①If I Should Lose You

私が聴いてきた中でも、一番スローな

「イフ・アイ・シュド・ルーズ・ユー」です。

冒頭、ブレイのやや不穏な響きがあるコードが奏でられた後、

絶妙な間で入ってくるチェットの一音が聴きもの。

ピアノの音が途絶え、静寂になるギリギリのところで入るのは

勇気がいることだと思います。

そこを説得力ある一音で切り込んでくるのはさすが!

その後、チェットが朗々とメロディを吹きあげ、

ブレイは必要最小限のバックをつけていきます。

やがて、ブレイのソロへ。

前衛さは影を潜め、スローで簡潔なソロを弾いています。

ただ、ソロの後半で少し「うねり」のあるフレーズがあり、

そこにブレイらしい切れ味を感じます。

やがて、チェットに戻り、非常にスローテンポで

メロディが提示されます。

この辺り、あまりにゆったりなので

集中力が切れないか気になるのですが、

チェットは最後まできっちり吹いています。


③How Deep Is The Ocean

アービング・バーリン作曲のスタンダード。

チェットがメロディを吹いた後、ブレイのソロへ。

①と比べ、テンポが上がっていることもあり、

ブレイがリラックスして「尖った美しさ」がある

彼らしいフレーズをところどころで出しています。

チェットもリラックスして、独特の柔らかいソロで続きます。

ピアノとの掛け合いになる場面もあり、

二人の生きの合い方がよく分かるトラックです。


⑥Diane

アーノ・ラピーとリュー・ポラックという人が

1927年に共作したというバラッド。

私はこの二人を全く知らないのですが、

非常に美しい曲です。

澄んだ星空の下で聴きたくなるような静謐さがありながら、

どこか華もあるような・・・

チェットが余計な感傷を加えずに、

潔くメロディ~ソロを吹いています。

これに続くブレイのソロは透徹した美しさの中にも、

どこか優しさを感じさせます。

ブレイって根底には親しみやすいところもあるんだ・・・

ちょっとうれしい発見があるトラックでした。


先ほど天気予報を見たところ、

台風が通過する明日以降、気温が多少上がるようです。

チェットとブレイの音楽で和んだところで、

体調を整えて秋の日々を楽しみたいですね。