きょう、吉祥寺に行ってきました。
目的地は「ディスクユニオン」。
ここは中古のCD・LPも充実していますし、
新宿のような雑踏を抜けなくてもいいので、
つい足が向いてしまいます。
気になっていた作品を数点ゲット
(またの機会にご紹介します)。
ここで、お腹が空いてきたのでカレーを
食べることにしました。
向かったのは、アーケード街の地下にある
「Coffee Hall くぐつ草」。
昭和54年から続く喫茶店です。
このお店、ユニークなのは江戸時代から続く
あやつり人形の劇団「結城座」が経営していることです。
私の記憶に間違いがなければ、
喫茶店を設立した当初の目的には、
劇団員の経済的な支援があったはず。
そんな店の成り立ちが影響しているのか、
芸術家風のお客も時おり見かけます。
店内は洞窟のような空間に
やや暗めの照明という、渋い雰囲気。
ただ、天井が高いので圧迫感はありません。
コーヒーもカレーもおいしいためでしょう、
私が訪ねた夕方6時には、テーブル席が
いっぱいとなっていました。
私がここに行くのはカレーのためだけでなく、
静かにジャズが流れる雰囲気が好きだからです。
突然ですが、将来はジャズカフェ経営を志している私。
その思いは最近、募るばかりです。
特に管理職となり、デスクワークの仕事が増えてからは、
「自分にしかできない仕事とは何か?」を考えてしまいます。
組織の中で忙殺されるだけではない「第二の人生」はないものか・・・・
ひょっとしたら、自分の好きな音楽を使って、
お客にも喜んでもらえる空間を作れるのではないか?
そんな願望にとりつかれてしまうのです。
実際には、カフェで成功するというのは
なかなか難しいことでしょう。
しかし、「くぐつ草」のような居心地のいい空間にいると、
「こんな場所に身を置けたらなあ」と考えます。
そして、「自分ならどんな曲をかけるかな・・・」と。
ここで全くの私見なのですが、
天井が高く、ふっと息をつけるジャズカフェには、
バイブラフォンの音色が合うような気がします。
硬質でありながら、リラックスした雰囲気をもたらし、
どこか華もある・・・・
時に落ち着きがなくなる激しいサックスやトランペットよりも、
空気によく馴染むと思われるのです。
今回は「ジャズカフェでかけたくなるような」
バイブラフォンの演奏をご紹介しましょう。
テリー・ギブス(vib)の「マイ・バディ」。
ギブスは1924年、NY生まれ。
「メジャーでもマイナーでもない」微妙な位置の
白人プレイヤーです。
熱心なジャズ・ファンなら映画「真夏の夜のジャズ」で
ダイナ・ワシントン(vo)と共演し、
熱いソロをとっているギブスの姿を覚えているかもしれません。
職人タイプで安定した仕事をする人です。
そんなギブスが日本人プロデューサーの求めに応じ、
1982年に吹き込んだのが「マイ・バディ」。
彼らしい快適なスイング感あふれるプレイが聴けます。
さらに、西海岸で活躍するメンバーとの共演で、
全体が明るいムードに包まれていることが
この作品を魅力的にしています。
日本制作なのに録音がいいのもグッド!
1982年1月14~15日、ハリウッドでの録音。
Terry Gibbs(vib)
Al Viola(g)
Lou Levy(p)
Andrew Simpkins(b)
Jimmie Smith(ds)
①There Will Never Be Another You
強烈なスイング感が光る一曲。
ギターとヴァイブの「コール・アンド・レスポンス」で
メロディが提示されるという、気のきいたアレンジ。
そこから一気にギブスのソロになだれこみます。
このテンポの速いソロが素晴らしい。
まさに「流れるがごとく」で、歯切れのいいフレーズが
どんどん出てきます。
演奏自体をギブスが楽しんでいるんですね。
ルー・レヴィ(p)とアル・ビオラ(g)のソロも
飛び跳ねるような楽しさがあります。
③Misty
エロール・ガーナー(p)作曲の有名なバラッド。
ギターによる無伴奏ソロでメロディが提示される、
なかなかニクい演出で幕を開けます。
そこにピアノとリズム隊が参加し、
さらにメロディに厚みが加えられていきます。
そこから、ギブスのソロへ。
やや前のめり気味ながら、曲の雰囲気は壊さない
絶妙なバランスのソロです。
途中の連打フレーズを聴くと、
ブルースの素養がしっかりある人なんだな、
と感じます。
⑤My Buddy
バンド全体の軽快さをよく伝えるナンバー。
ミディアム・テンポに乗って、
ギブスがメロディを演奏します。
何だかとても「軽く流している」ようで、
肩に力が入っていない感じが
「大人だなあ」と思ってしまいます。
そのままギブスのソロへ。
非常に「余裕のある」ソロで、
派手さこそないものの、
彼の安定した実力に触れることができます。
アル・ビオラとルー・レヴィのソロも
終始リラックスしており、
安心して聴くことができます。
この曲がタイトル・ナンバーに選ばれたのは、
彼らの自信あふれるプレイが実現できたから
ではないかと推測します。
⑥Waltz For My Children
とにかくメロディが可愛らしい。
テリー・ギブスのオリジナルで、
彼が作曲にも才能があることを示しています。
アルバムの中でも心温まる演奏です。
きっとジャズカフェで聴いたら、いい気持になれる作品でしょう。
会話をしていても、本を読んでいてもじゃまにならず、
でも耳を傾けると「いいな・・・」と思える音楽。
いつか、そんなジャズをお客さんに
提供できる時が来ることを願いつつ、
軍資金を貯めるために仕事、仕事・・・・
