キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


冷えましたね。

祝日の日の朝、目が覚めた時に

窓から強い陽光が射しているのが分かったので、

「今日は暖かくなるのかな」と期待したのですが・・・・・。

外に出て冷たい空気に驚きました。

周囲の人たちもすっかり厚手の装いで、

季節は晩秋へと突入してしまったようです。


こんな日は熱いジャズでも聴かなくちゃ、

と久しぶりにキャノンボール・アダレイ(as)の

リーダー作を引っ張り出しました。

1959年の冬、当時のマイルス・デイビス・グループの

メンバーがリーダー抜きで録音した作品です。


長いことジャズを聴いていると「思い込み」が

けっこうあります。

一時期、私はこの作品を勝手に「ライブ」だと思っていました。

その「熱い」内容から勘違いしたのでしょうが、

実際はスタジオ録音です。

さらに、今回聴いてみるまで、

キャノンボール主体の内容だとも思っていましたが、

実はジョン・コルトレーン(ts)にも相当スポットが

当たっていることが分かりました。

まだまだ「ジャズ修行」、足りないですねえ・・・・


というわけで、二人の「熱い」サックス奏者が

伸び伸びとプレイした作品に

先入観なく耳を傾けてみましょう。


1959年2月3日、シカゴでの録音。


Julian Cannonball Adderley(as)

John Coltrane(ts)

Wynton Kelly(p)

Paul Chambers(b)

Jimmy Cobb(ds)


①Limehouse Blues

アルトとテナーがそろってゴキゲンなメロディを奏で、

すっかり気分が良くなったところで、

アルトが「天空を駆けるがごとく」、

スピーディなソロに突入します。

この軽やかさと「吹っ切れた」感じが

一番の聴きもの。

アダレイはテクニックの限りを尽くすようなプレイで、

よくこんなに細かいフレーズが飛び出してくるな~

と感心してしまいます。

これに続くコルトレーンも高速ソロですが、

既に響きは「ハードバップ」ではなく、

どんどん音を滑らせ、空間に広げていくような

独自のスタイルを展開しています。

二人のホーン奏者のスタイル比較も興味深い

演奏です。


②Stars Fell On Alabama

こちらはアダレイにスポットを当てたバラッド。

アダレイのソウルフルな側面が見事に

とらえられています。

こうしたバラッドでもメソメソせず、

輪郭がはっきりした音で

潔く吹いていくのが彼のいいところ。

ライブを聴いたら、

ビッグ・トーンを堪能できたんだろうなあと

思うのですが。

一筆書きのような、溢れ出るソロを

ひたすら聴きましょう。

ウィントン・ケリーのピアノ・ソロも

彼らしいノリの良さです。


④Grand Central

ジョン・コルトレーンの作曲。

途中、何度もリズムのブレイクが入る曲で、

モーダルな響きがあります。

演奏内容も作曲者の個性が色濃く出ています。

最初のソロはアダレイですが、

一瞬「コルトレーンか?」と思うほど

彼の影響を受けています。

基本的には音数の多い自分のスタイルを取りつつ、

時にヨコに空間を広げるようなフレーズを

繰り出すのです。

アダレイというと豪快さがよく取り上げられますが、

いろんなプレーヤーから学ぶ人でもあったんですね。

続くコルトレーンは自分の曲ということもあって

伸び伸びとコード・チェンジ無視(?)の

プレイを繰り広げています。

こうしたスタイルを確立しつつあった時の

勢いが感じられるトラックです。

この翌月には名作「カインド・オブ・ブルー」セッションに

参加することを考えると、

コルトレーンにとっても伸び盛りの時だったのでしょう。


寒くなってくるこの時期、

家にこもってジャズ、というのが妙に似合います。

ますます出不精になってしまいそうですが、

集めてきた作品への「思い込み」を解消するには

いい時期かも・・・・・

今後も「棚から一つかみ」してみます。