エンジェル・アイズ/デイブ・ブルーベック・カルテット | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


ブログの更新をしないまま、

ずいぶん時間が経ってしまいました。

言い訳にしかならないのですが、

この間、非常に忙しかったのです。

複数の案件を抱え、帰りが朝方になることも

しばしば・・・。

東京・中野に引っ越してきて、

夜中も開いている店が多いことに喜び、

「もう夕食を逃すことはないぞ!」と思っていましたが、

朝方では食欲もなく・・・・


という訳で、ジャズからも遠ざかっていました。

秋はジャズにぴったりの季節なのに悲しい限りです。

久しぶりにこの週末は一息ついたので、

堪能した一枚をご紹介したいと思います。

ちょっと体が弱っているので、アクが強いものではなく、

洗練されたもので・・・・


デイブ・ブルーベック・カルテットの「エンジェル・アイズ」。

ジャケットでも人気が高い一枚です。

女性の曇りのない瞳を見てしまうと

それも頷けますよね。

疲れている時に見ると、最高の癒しになります。

顔を傾けたアングルもお洒落。


内容もジャケットに負けず、最高にスマートです。

1960年代、ブルーベック・カルテットは

大学生を中心に絶大な人気がありました。

日本版CDのライナーによると、

60年には代表作「タイム・アウト」が

ポップス・アルバム・チャートで2位になったそうです。

これはジャズ・チャートではありません。

全ポップスの中での2位です。

いまならブリトニー・スピアーズと

争っているようなものです。

いかにすごい人気だったかが分かるでしょう。


その理由は、端正でありながら

非常に華やかなサウンドにあります。

ポール・デスモンドの柔らかく、聴きやすいアルト・サックス。

それに対し、ブルーベックのゴツゴツしながらも

輝かしいピアノ。

そして、これらのサウンドをまとめ上げ、

ノリのいいもののにしてしまう

ジョー・モレロのスイング感あふれるドラム。

このアルバムはピアニスト兼作曲家でもある

マット・デニスの曲ばかりを集めたもので、

曲良し、内容良し、ジャケット良し・・・

素晴らしいです。


1962年7月・65年2月の録音。


Dave Brubeck(p)

Paul Desmond(as)

Gene Wright(b)

Joe Morello(ds)


②Violets For Your Furs

「コートにすみれを」の邦題で知られるスタンダード。

イントロはブルーベックのソロ。

ここで聴かれるように、彼のタッチは実は力強く、

ごつい感じがします。

しかし、軽妙なリズム陣が加わると、

途端にピアノも軽やかになる。

このグループの一体感を味わうのに良いトラックです。

そしてデスモンドのソロに入ると、さわやかな風が

吹き抜けるようにスイスイとサウンドが「流れ」出します。

この階段を登るような展開がいいのかもしれませんね。


③Angel Eyes

ジャケットから受ける印象とは異なり、

かなり渋いアプローチです。

ブルーベックのピアノ・ソロは極めてスロー。

哀感たっぷりの展開です。

そういえば、これって失恋の歌なんですよね・・・

感心するのは、メロディをストイックなまでに

ストレートに弾いていること。

ブルーベックであればいかようにでも

アレンジできたでしょうが、

ここはメロディにこだわったんでしょうね。

ブルーベックは「スイングしないピアニスト」と

呼ばれたこともあったようですが、

しっかりした歌心があることが演奏から聴き取れます。

途中から入ってくるデスモンドも渋い!

これは「渋いデスモンド」としてはトップクラスの

演奏でしょう。

感情を抑制しつつ、時に出てくる「泣き」に近い

フレーズ。

秋の夜長にぴったりの一曲です。


④Will You Still Be Mine?

ここではドラムのモレロを聴きましょう。

冒頭から快調なブラシでバンドをぐんぐん引っ張ります。

あおりつつも、決して出しゃばらない名人芸。

そして、アルト・ソロからピアノ・ソロに変わった時の一瞬で、

すかさずスピードアップする凄まじさ!

ここを聴くだけでも、価値ある一曲です。

このバンドの機動力はドラムにあったことが

痛いほどよく分かります。

ラストのドラム・ソロもお見事。


久しぶりに上質の映画を観たかのように

気分転換ができました。

明日以降も厳しい仕事が待っていますが、

何とか乗り切っていこうと思います。


最後になりましたが、ブログの休眠中も

ペタをしてくださった皆さん、ありがとうございます!

これからも地味に続けていきますので

宜しくお願いいたします。