政治がめまぐるしく動いています。
「マニフェストを実行する」として、
閣僚がいろいろ発言したり、
補正予算執行の一部見直しが決まったり・・・
この間あった総選挙が
ずいぶん昔のことに思われますが、
町を歩くと、まだ選挙ポスターが
貼ってあったりします。
きょう見かけたポスター。
「○○(候補者の名前)は口で政治をしない」
というコピーが書いてあります。
うーん。
このコピーはいまいちですねえ。
意味としては「口先だけでなく、行動するんだ!」
ということなのでしょう。
しかし、今回の選挙では「現状からの変化」が
問われました。
こうした時には、有権者に自分の政策・スタンスを
説明する「言葉」が求められるはず。
「口で政治をする」ことが一番大切な時に
このコピーを採用してしまった時点で
センスを疑います。
ちなみに、この候補は落選してしまったそうです・・・・
口を思いきり使う。
今回はそんなジャズマンをご紹介しましょう。
ボーカリストのボビー・マクファーリン。
かつて「Don't Worry, Be Happy」でグラミー賞を
受賞したこともあるので、ご存知の方もいるでしょう。
ボーカリストといっても、しっとり歌い上げるのではなく、
声を楽器のように使うのを得意とする人です。
「Don't Worry, Be Happy」も自分の声を多重録音して作った曲で、
伴奏に楽器を使っていないことが話題になりました。
そんな「声の魔術師」がピアニストのチック・コリアとの
デュオで作ったアルバムが「プレイ」。
相手がピアノだけということもあり、
マクファーリンの驚異の声を堪能できます。
ただ、ずっと聴くと疲れてしまう面もあるので、
この中での傑作「Spain」に絞って書いていきます。
1990年6月、バージニア州ビエンナとニューヨークでの
ライブ録音。
Bobby McFerrin(vo)
Chick Corea(p)
①Spain
ピアノによる強めのタッチのイントロで
緊張感が高まる。
と、そこに絶妙のタイミングで入ってくる、
マクファーリンのヴォーカル。
この声、何と表現したらいいのか・・・・
古代の人間はこんな感じで遠くに入る仲間と
やりとりしていたのではないかと思わせるような、
良く通る、ちょっと抽象的な響きもある声です。
その後、ピアノと共に主旋律に入っていきますが、
この展開も非常にスピーディで劇的です。
ピアノ・ソロに入ってから驚くのは、
マクファーリンのリズム感。
声だけで、並みのベースをはるかに超えた
すごいリズムをつけていきます。
このグルーブ感、すごい・・・・
続いてマクファーリンのスキャットによるソロに
入りますが、その音域の広さ、
ピアノの音に反応しての見事なインタープレイ、
何種類の楽器のようにも聞こえる声色、
感嘆するばかりです。
彼のキャリアの中でも特筆すべきトラックでしょう。
クセのある人が多いジャズ・ヴォーカルの世界でも
マクファーリンの個性はずば抜けています。
彼と同じことをしようとしても、亜流に終わるだけで、
無駄なことです。
かといって、ジャズ・ヴォーカルに可能性がないかといえば
全然そんなことはありません。
それぞれが自分のスタイルを磨き、他にない「話法」を示せば、
認めてくれるファンは出てくるはず。
政治家も、奇をてらって「口で仕事をしない」などと言うより、
まず自分なりの「話法」「言葉」を身につけてほしいですね。
