スピリット・センシティブ/チコ・フリーマン | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

Spirit Sensitive



最近、ブログを書いていて実感したのですが、

秋の夜にジャズって本当に合いますね。

「湿りすぎず、重すぎない」夜の雰囲気の中で、

インドア系の私はますますジャズに聴き入ってしまいます。

きょうご紹介する作品は、この時期におススメのバラード集です。


テナーサックス奏者のチコ・フリーマン。

1949年、父親や叔父もジャズ・ミュージシャンという音楽一家に

生まれた彼は、76年からニューヨークで活躍、

尖鋭的なプレイで話題を呼びます。

そんな彼が79年にいきなり発表したのがこのバラード集で、

多くのファンはコルトレーンが「バラッズ」を出した時のように

「何で・・・?」と思ったことでしょう。

しかし、もともと親から引き継いだスタイルがあり、

前衛的なプレイの中にも伝統的な部分を交錯させていた人なので、

ここでの演奏には全く違和感がありません。

むしろ、激しい演奏で聴かせていたパッションを秘めていることで、

ストレートに胸に響く演奏となっています。


サイドを固めるミュージシャンも、この当時絶好調だった人たちばかり。


Cecil McBee(b)

John Hicks(p)

Billy Hart(ds)

Don Moye(ds) ※トラックにより、ハートと交代

Jay Hoggard(vib) ※一曲のみ参加


私が持っているのは、未発表トラックが収録された日本盤CDですので、

その曲順に従ってご紹介します。


①オータム・イン・ニューヨーク

うーん、いきなりきたか、という感じのトラック。

なんとテナーとベースのデュオ。

ストレートにメロディーを吹くチコのバックで、

ものすごく図太い音を響かせるマクビー。

いや、これはもう「バック」ではなく、対等な関係です。

最初にソロを取るのがマクビーであることからも、

それは明らかです。

こんなに「攻撃的」でありながらバラード演奏として

聴かせるベースは滅多にありません。

実はベースが主役?の一曲です。


②ピース

ホレス・シルバーが作った名曲。

チコのテナーはここでも飾ることなく、ぐっと迫ってきます。

メロディーで盛り上がって、ミドル・テンポのソロへ。

適度に抑えながらもエモーショナルなソロで、

チコのリーダーシップを感じさせる演奏です。

マクビーが後半、またも図太いソロで切り込んでくるのも

すごいです。


⑦イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド

ジョン・ヒックスの美しいイントロで始まる、おなじみのスタンダード。

チコはメロディーの途中から加わるのですが、

その入り方が無理なく、かっこいい。

ソロではかすかにビブラートをつけた音色でスローに吹いていきますが、

若い演奏者ゆえ、やや生硬な感じもあります。

しかし、音に力強さがあり、そこが魅力でもあります。

後半、ピアノをバックにしながらソロを吹くところでは

「爆発しそうでしない」感じがあり、

彼のあふれ出るパッションを想像することができます。


⑧クロース・トゥー・ユー・アローン

セシル・マクビーによるオリジナル。

スタンダードに負けない美しい曲です。

ここでのチコはソロで若干テンポを上げながらも、

曲の雰囲気を大切して突っ走りすぎないようにしているように

感じられます。

そんな彼を見て、まわりも「はやし立てすぎず、見守るように」

寄り添っているかのようです。

ジョン・ヒックスのソロが光っています。



ちなみに、このCDの裏ジャケットは

↓こんな感じです。


Spirit Sensitive 裏


インディア・ナビゲーションというマイナーレーベルの雰囲気が感じられ、

私は好きです。

また夜遅くまで聴いちゃうな・・・・