2月3日(金)東京芸術劇場劇場(池袋)
序曲の途中から、隣の総料理長が落ち着きません。ゴソゴソバッグをまさぐったり、しきりに顔にハンカチを当てている様子。(暑い?)
横の通路までの前列の座席をつぶしてオケピットがせり出しており、そのせいもあってか読響の豊潤な響きに包まれて、まさに感動の涙が出そうな私の興を、おかげで少しばかり削いでくれました。
総料理長の挙動不審は《カヴァレリア・ルスティカーナ》が幕を閉じるまで続きましたが、トゥリッドゥの舞台裏の歌とサントゥッツァの第一声を聴いてからは、ほかのことはほぼ気にならなくなって舞台に没頭しました。
最初から、ここまで感動して鑑賞したオペラはあったろうか。
一つだけ匹敵する公演を思い出しましたが、ヴェルディの長尺の作品だったので後半へ行くほど感動が深まり、忘れがたいオペラ体験となりました。
今回の《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、それに勝るとも劣らない感動を与えてくれました。
音楽的にはサントゥッツァとトゥリッドゥを演じた二人のイタリア人歌手を第一に挙げるべきでしょう。読響とオペラを熟知している指揮者、声もアンサンブルの緻密さも一級品だった合唱、圧倒的な存在感のイタリア人歌手二人に負けず、ドラマを高め、脇を固めた日本人歌手たち。
演出については、パリアッチ編でまとめて述べるつもりですが、今回の成功を導いた張本人の一人であることは確かでしょう。
※プロフィールなど詳細は東京芸術劇場のホームぺージをご覧ください。フライヤーの下にリンクを貼っておきます。
演奏音源はカラヤン指揮のYouTubeを貼っておきます。公演の映像はありませんが、博多弁で訳詞が載っていてなかなか興味深いです。
(パリアッチ編へ続く)