大阪城の不可能継手
継手(つぎて)とは、家具や建具などの木工品を作る際に、2つの木材を長さ方向に組み合わせて接合させる時の技法です。
継手には色々種類がありますが、大阪城の大手門の柱には不可能継手と呼ばれる謎の継ぎ手があります。

どのように組んだのか分からない不可能物体と呼べる継手です。
 

三方向から撮ってみました。

この画像は「Play Puzzle Part2」より。ここにある新聞記事を見ると、

南北面の「殺ぎ継ぎ」(山形)と東西面の「蟻継ぎ」(凸形)を組み合わせた格好で、たしかにこれだと左右にも、上下にもびくともしない。しかし、いったいどのようにすれば、こうした柱継ぎが可能なのか。
昭和54年(1979)年に「謎の柱継ぎ」として大きな話題となり、全国から多数の解答案や模型が寄せられた。

とあります。
長年大阪城の謎のひとつとされてきましたが、1983年にX線撮影により内部構造が明らかになり、継手の謎が解明されたそうです。
 

この継ぎ方は「独鈷組」や「婆娑羅継手」という呼び名もあります。
「Theメカニカルパズル130」「博士ずかん おもしろい算数」にもこの継ぎ手が載っています。


パズルショップtoritoでこの継手の模型も販売されていました。


パズル継手
この手の木の組み方の問題はパズルの本などでも見かけます。
まず基本ですが、下の画像の様な二つの木片はスライドさせて抜き差しすることができます。

では、次はどうでしょう。(「Play Puzzle Part2」より)

反対側から見ても全く同じとして、どのようにすれば外せるでしょうか?という問題。

答えはこうです

 

 

 

 



辺に対して45度方向にスライドさせることができます。

これは非常によく見かける問題で、例えば「頭の体操 第1集(問67)」なんかにもあります。
ちなみにこれは四方蟻継ぎと呼ばれる継ぎ方です。

 

ここまでは基本です。では次の場合はどうでしょう。(同じく「Play Puzzle Part2」より)

不可能物体っぽくなってきましたね。答えは下にあります。

ちなみに実物の写真も「パズル その全宇宙」にあります。

 

 

 



斜め下方向にスライドさせればいいんですね。

ではさらに、これをふまえて「パズルその全宇宙」に載っているダブルダブル継手。これは完全に不可能物体ですね。
もちろん反対から見ても同じです。

ダブルダブル継手(E.M.ワイアット作)

さてどうやって作るのでしょう?



最後はこれ(「数学ゲンダイ」より)。しつこいですが反対から見ても同じです。

どうやったら外せますか?頭を柔らかくして考えてください。

参考文献
●頭の体操 第1集 多湖輝 光文社
●Play puzzle Part2 パズルの百科 高木茂男著 平凡社

●パズルその全宇宙 ジェリー スローカム, ジャック ボタマンズ 著、芦ケ原 伸之 訳 日本テレビ放送網
●数学ゲンダイ その不思議・美・屈折・快感 (朝日ワンテーママガジン 1) 朝日新聞出版

●Theメカニカルパズル130: 解いて嬉しい!集めて楽しい! 難解パズルにあなたも挑戦! (別冊ベストカー)

●博士ずかん おもしろい算数 小山信也 監修 ニュートンプレス

 

 

続きはこちら:不可能継手(追記) ~不可能物体~