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Memories of Life 人生の追憶
妻 夏子に捧ぐ。50代夫婦の 知り合ってからの30数年
の出来事を夫目線で書いています。

秋山が口を開いた。

Kenさんは辞めるつもりですか? 

 

うん、全部片付いたらそうするつもりだ。

 

寂しくなりますね。

 

自宅の離れにオフィスを作るからもし暇でもあったら遊びに来てくれ。

 

ぜひお伺いさせてください。

 

ところで後任は誰か決まってるんですか?

 

佐々木さんがやるってくれると思う。

 

それなら今まで通りだから安心ですね。

 

浩美さん(秘書の立本)ケンさんがいなくなると寂しくなるでしょうね。

 

なんだそれ。

 

みんな知ってますよ。浩美さんがケンさんを好きなのを みてればわかりますから。

まあ それは気持だけであって 2人の間に なんの 関係もないこともわかりますけどね。

 

もし好かれているとしたら それはそれで嬉しいけどな。

親近感だろ。社長と秘書だから女房といるよりある意味一緒にいる時間が長い。

同士みたいな感じなんだろう。俺も仕事では全面的に信頼してるし。

距離が近くなりすぎないように気をつけてはいたけどね。

彼女もそこはしっかりしていたな。

あれほどできる人間は男女関係なくそういない。

出来すぎるのもハードルを上げているよな。

 

秋山、お前なら釣り合うんじゃないか? 気になるなら 声かけてみたらどうだ?。

それに浩美はお前と同い歳くらいじゃないか?

 

浩美さんの方が1年先輩ですね。

 

本当は好きなんだろ? 独身同士ちょうどいいじゃないか?。

気が強いが 人にはすごく優しいところがある、美人だし明るいし、配慮がよく届く、

頑固だけど性格は真っ直ぐだ。 しっかりして自分を持っている。頭のよさは抜群だし。

彼女は滅多に見つからないTrue Jewelだぞ。よく今まで売れ残っていたもんだ。それにこのままほっとくと結婚しそうにないしな。(秋山を煽ってみる)

俺は組織縮小した時に最も効率的なメンバー編成にしたつもりだ。

私情を挟まず全ての社員を公平に評価して決めた。簡単にゆうとそれだけだ。

もう少し詳しくゆうとJOB WORK FLOWを作って業務効率をデータベース上で比較した。早い話が実績に対するオーバーヘッドを比較して利益率を算出しただけなんだけどね。もちろん単純に計算しただけでは公平ではないから全ての条件を平等に修正した上でね。

客観的に数字を見せて説明しないと誰も納得しないだろ?公正な評価が必要だった。

秋山の方がかなり効率的に業務をこなしていた。鈴木は経験は豊富だけど、柔軟性にややかける。業績は甲乙つけ難いがオーバーヘッドを考慮すると秋山の方が効率が良い分 利益を出している、将来的な管理能力と若い社員のコーチングは秋山の方が可能性がある。そしてまだ伸びる。鈴木はベテランで優秀だけどもう出来上がっているから大きな伸びはない。総合的に判断して秋山とゆう結論だったんだ。それにあと1−2年もすれば全てにおいて秋山が鈴木を オーバーテイクすることは明白だったからな。鈴木もそれを感じていたよ。

 

過分にお褒めいただき光栄です。

 

過分じゃない。正当な評価だよ。数字が示している。 

 

恐縮です。

 

データをまとめたのは 立本だ。彼女はまさかこの二人のどちらかが?て聞いてきたんだけど。インター コンフィデンシャル マターだから誰にもゆうなと釘は刺しておいた。

その時 彼女も鈴木が去ることはわかってたんだろう。俺と鈴木の関係は知っているから何かと気を使ってくれたよ。

 

でも辛かったでしょう?  鈴木だけじゃなく他の全員に対して同じ気持ちだしスキルだけなら 差は少ないにせよ より優秀な人間を切ったケースもあるわけだし。

引田には本当に申し訳ないと思っている。

 

いいんですよそれはもう。引田が言う。

 

鈴木の場合は付き合いが長い友人だから、 俺が言う前にあいつから言われたよ。秋山を残して俺を切ってくれって。そうゆう意味では他の社員よりは気持ちは少し楽だったけどね。

 

そうだったんですか?仕事では一緒でしたけど。俺 鈴木さんと腹を割って話したことないんですよ。

 

一度飲みをセッティングしてくれませんか?鈴木さんとはいい友達になれそうな気がしてるんで。言っとく、あいつもお前を認めていたしな。

 

そうか 引田も一緒にみんなで飲みに行こう?

 

ぜひお願いします。俺エンジニアリングだったんでセールスの人と腹を割って話したことがないんで。興味があります。

 

おう 行こうぜ 秋山が答える。

 

それと 秋山 お前カッコつけすぎだろ? それをやめたらもっと人生豊かになるんじゃないのか?

Kenさんみたいに かっこ悪いところも全部出せって? それはそれでかっこいいでけど俺はまだできませんね。

 

俺は不器用でかっこつけられるほど余裕がないんだよ。お前らの方が要領はいいしスマートだ 俺より伸びると思うし、10年後は秋山社長お久しぶりですって俺が頭を下げているんじゃないのかな?

それに関しては俺も持論がありますよ。

 

人間の原動力は 欲望 シンプルです。

それをどう消化して どうゆう行動を取るかは人それぞれ。

ただ欲望にも順位がある。あるものを選択した時は 時として他は切り捨てる必要があるでしょ?必要なものが手に入れば普通はそれ以上はいらない。でも他人が他のものを持っていたらどうでもいいようなものでも欲しくなることがある、切り捨てることができなくなることがある。わかってはいるけど自ら泥沼に飛び込んでいくとゆうか。その時に自分だけで完結できればいいけど大抵は他人や周りを巻き込みますよね。

一人でトラブっているわけじゃ無い。これが人間の愚かな部分じゃないですかね。欲が強すぎるんですよ。ポジティブに捉えるならチャレンジングとも言えますけど。

 

かくすれば かくなることとは知りつつも 止むに止まれぬヤマト魂 てやつか?

 

似たようなもんですね。ここにいる俺らはまあ 一番を守るために2番目以降のものは切り捨てることができるタイプだと思うんですよ。Priority Orientedの理系人間です。冷たい奴と言われるかもしれない。でも全部守ろうとして一番 大事なものも守れなかったら冷たい以前の問題ですからね。

Kenさんも引田もそうでしょ。

でも。そうじゃないことが多い。まあほんの一握りだけど全部手に入れているように見える人間もいますけどね。

 

選択は個人の自由だし、どうゆう結果になっても自分でケツをふければいいけど、それもできない場合は周りを巻き込み結局被害を広げるなんてこともありますから。

 

まあ僕は 人生できるだけ人に迷惑をかけず腹をくくって生きるかってことを考えてますけど。

 

秋山もまだ30代半ばだがよく考えている。

 

Kenさん この際だから 鈴木さんのこと聞きたいんですけど。

 

なんだ? 鈴木さんはケンさんの腹心でしたよね。でもケンさんは鈴木さんを切った。

俺が切られると思っていたから。教えてください。何があったのか?

法律は我々の手の届かないところで勝手に作られてしまう。これは一つの例ですけど、

それが時として自分の首を絞める、わかってはいるけど社会構造がこうなってしまってはもう変えられない、人間の活動の原動力は欲望です。例えば人助けしたいってのも欲望ですよね。助けられるのにプロセスが違法なら認められない。そんな感じです。

思いやり、優しさ、仲間意識、共存 そんな意識がベースであるにもかかわらず個人的な欲望、利権や、権力が絡むと別のものに変わる。

 

そうだな。

 

 人間が人間をモノ扱いし始めるんですよ。どこまで行ってもこれは変わらないんじゃないですかね。それに大なり小なりみんなそうじゃないですか?。だから人生に一人くらい自分の味方とゆうか、理解者が欲しい。こいつだけは味方でいてくれるとゆうか?嫁さんと結婚するのもそうゆうこともあるんじゃないかと思います。子供が生まれて一緒に協力して育てれば結束も出てくるし、そのうち同士とゆうか唯一無二の友人のようにもなれる。逆に結束を作れなくて離れていく夫婦もいっぱいいますよね。ここに男女の性とゆうものが絡んでくるのでまあややこしいですけど、男と女だから子供ができる。そして子供を育てるとゆう共通の生き甲斐も生まれる。単純に考えれば いい夫婦は親友なんじゃないかと、うまくいかなかったり、離れてしまう夫婦は そうでない それだけの違いのような気がします。親友なら男女の愛情をベースとした信頼関係が生まれ そうでなければ 一緒にいた方が都合がいい同居人とゆうか そんな風に思ってます。

引田のゆうこともなかなかに深い。

 

その時秋山が入ってきた。

おう引田久しぶり、元気そうだな。またケンさんと哲学の話か?

 

ケンさん 人間はこの惑星で最も知性的で、最も愚かな動物だとか また言ってないでしょうね?

 

まあ似たようなもんだ。

 

俺がよく言っていたのは 人間はこの惑星で最も知性があり最も愚かな動物だ。と

一度失敗したら野生動物は同じ過ちを繰り返すことはほとんどないそれは失敗=死だからだ。人間は欲がそれを上回りまたチャレンジしたりする。良いところでもあり 最大の欠陥でもある。と思っている とゆうようなことを以前話したことがある。

CEOGregにも同じことを問うたことがある。お前の話は哲学的すぎると言われた。

再度聞いた。企業として業績を上げ、利益を産み、従業員を雇用し、地域社会への貢献、

税金で地域社会と国への貢献、顧客に良い製品とサービスを提供し顧客へも貢献している。それ以上何がほしいんだと。Gregは言った、金を手にすればもっと欲しくなる。それだけだ。と笑いながら言った。俺はどうでもいいんだけどねとも。株主がもっと金をもうけろと言えば俺は株主に利益を還元する責任があるからな 何も考えずに自分の義務として業績のことだけを考えている。この会社にいる間はね。と 

 

秋山、今の話はこうゆうことだけどね。

 

例えば?

大事なことなのに言いにくいから言わずにいて結局後でこじれて大喧嘩になるとかですね。
この会社は問題があればどんな小さいこと、不都合なことでもすぐに明らかにして誰に指示しなくてもみんなやるべきことがわかっている。すぐに全社をあげて対応するでしょう。
もちろんその時に割けるリソースが限られているからミーティングでプライオリティーを決めて進めますよね。そんなこと夫婦でやったことなかったってね。俺たち夫婦は一番近くにいて、一番大事な人のことすらよくわかってなかった。
こんなの夫婦じゃないって思って嫁さんと話しました。
自分で子供の面倒を見て嫁さんがどんなに大変かもよくわかりましたしね、
夜泣きであんなに寝れてないことすら知らなかったし そりゃ疲れるしストレス溜まってキレますよ。そんなことです。会社を辞めて七ヶ月休んだおかげで 色々よかったと思います。これから、まだ色々あるんでしょうけど。たとえば今ここでKenさんたちと話しているようなことすら話せてなかった。
今回休んで色々話して夫婦間の理解は多少は深まったように思うし、もっと理解を深めていけるんじゃないかと思ってます。
嫁さんの機嫌がいいんで俺も嬉しいし。そんなことです

引田の言葉には救われ少し気が楽にはなったが。

俺はその時すでに自分が潰れてしまっていることを自覚していた。自分のキャパはとうに超えている、努力でどうにかなるものでもない。これは単純に要求されていることが自分の能力、資質の限界を超えているだけだ。これ以上この仕事は継続することはできない。

 

引田、オレみたいに不器用だと自分で首を絞めて潰れるぞ。

Kenさんをみてるから できる範囲でやりますよ。

 

そうしてくれ、引き際も大事だ。

 

世の中はコスト至上主義になりもうけたものが勝ち 情は邪魔だとゆう風潮だが、人間の行動の原動力は感情(Emotion),や情熱(Passion)であり また生き物である 機械じゃない。なぜこうなったんだろうね??引田に聞いてみた。

 

欲(Desire)じゃないですかね。誰もが持っている。人それぞれいろんなWantがある。それで自由競争が良いことだとゆう社会が出来上がってしまった。多くのグレーの部分を残しながら。
悪と思われることでも合法化されれば正当になるし、善と思われることでも違法なら認められない 法律でさえ モノによっては建前は民主主義の本とゆう名目で 誰かの都合がいいように作られている。。

引田は優秀なエンジニアだ、妥協しない性格からアウトプットは素晴らしいが頑固職人然としてやや効率は悪い。

それとコミュニケーションにやや難がある。

野口と比べてアウトプットは同等だが野口の方がスマートでマネジメントの能力は野口の方がある。

将来性は野口だった。

 

7ヶ月かかったがやっと再就職が決まった。行こうと思えば就職先はあったが条件が悪かった。

 

時間がかかりすぎたことを引田に詫びた。

引田はこういった。
ケンさん ちょうどいい休みで助かりました。イクメンも経験できたし。女房は助かったって喜んでました。

うちもKenさんところと同じでダブルインカムですから1年くらい休んでも問題ないし。
もともとこの会社に来たとき覚悟はしてました。

社員全員、何らかの むこう傷を持った連中です。

大企業で優秀であったがゆえにパワハラされたもの、

理不尽な上司と折り合いが悪く飛びだした者、

組織の論理 出世のため会社の利益よりも自分の利益を優先する連中との共存に絶望した者 

色々修羅場をくぐって来ている。

 

女性社員も含めて全員バイリンガル以上だしハイスキルだけど みんなまだ若い、強い個性と持論を持っているとんがっているやつだらけです。

よく束ねてこられたと思いますよ。

 

それはケンさんも大きな傷を持っていて俺や奴らの気持ちがわかるからです。

 

もちろん人間性や仕事ぶり公平性をみんなが認めているとゆうことです。

 

でもね 社長が思っている以上に俺らはたくましいですよ。

実際に起こるとまあショックでしたけどね。
まあケンさんに切られるなら理由も明確だし納得します。

誰も恨んでいないです。オレもケンさんみたいな上司になろうと思ってます。むしろ感謝しているくらいです。

それと、今回七ヶ月休んで気がついたことがあって よかったと思ってます。

なんだ?

俺達夫婦は2人子供もいて下はやっと首がすわったくらいないんですけどね。
いかに今まで夫婦の関係が希薄だったのか気がつきました。当たり前のようにやって来たと思っていたけど、ほとんど何も理解してなかったんだって。特に俺の方ですけどね。
仕事では全ての業務に正確性を要求されどんな小さいことでも報告し連携しながらみんなそれを普通にやってますよね。この会社は特にそうです。ミスをしても誰も責めない。それよりリカバリーに注力する。みんな被害を最小にしなければいけないことを認識していて誰も何も言わなくても関係者全員がすぐに協力体制を作って解決する。そうゆうプロフェッショナリズムが浸透している。これはKenさんの指導力の賜物ですけど。

何をおっしゃいますやら。皆さんが真剣に取り組んでくれているからだよ

ハハ。
まあ そうですけどね。
それからすると俺たち夫婦はそうゆうものが全て曖昧になっちゃってたって気がついたんです。この会社で仕事して夫婦でも基本は同じじゃないかと。そんなことに気がつきました。
 

最終的に決断した。
22人になったときに最も効率よく回りアウトプットが出せる組織にする。

 そのためのシュミレーションをする。

これは人的マッチングの問題もあり、フットボールチームなどとも似ている、
チーム戦術に合うかどうか、能力は抜けていてもチームにフィットしにくい場合は選択から外れることもある。

もちろん会社の核となる部門に優秀な人材は残すのだが 苦渋の選択だった。
鈴木は秋山よりも実績はあるが秋山の方が伸び代がある。

合理的な仕事の進め方は鈴木よりも上だ。

腹心とも言える鈴木を切らねばならなくなってしまった。

 

しかし 多めに退職金を渡して はいさようならとゆうことはできない。
私はリストラ対象者の社員全員の受け入れ先を探すことにした。1ヶ月以内に見つけなければならない。幸か不幸か3名を除き受け入れ先の目処がついた頃に一人一人面談した。

 

リストラしなければならないこと、私情を挟まず公正な判断をしたつもりであること。

君たちが対象であること、その理由、退社時の条件は可能な限り厚遇する。

また私の責任で望むなら受け入れ先を紹介する。話をした。

詳細は割愛するが、全員納得はしてくれた。

 

最後に 全員を集めて挨拶をした。

私とこの会社の社員全員が君たちを大好きだ。

仲間だと思っている。
しかし

残念ながら君たちに居場所を確保することができなかった。
本当に申し訳ありません。と

鈴木、引田の家族 小さいお子さん、可愛い奥さんの笑顔が浮かぶ、彼らの悲しむ顔は見たくはない。

 

鈴木は 俺から言う前に 自分から言ってきた。ケンさん、俺は切られてもいいですよ。もう秋山に抜かれそうなのはわかってますから。遠慮はいりません。長い付き合いだ。何を考えているかくらいわかりますよ。

 

鈴木、本当に申し訳ない。部下に慰められるようじゃな。

俺に出来ることはなんでもするから遠慮なく言ってくれ。

 

いいんですよ。ケンさんの立場、気持ちはわかるつもりです。

それにどこにいってもそれなりに出来る自信はあるし。

ハイリスクを承知できたわけだから、何も問題はありません。

かえってスッキリしました。

 

そうか、終わったら飲みにこう。

 

行きましょう。釣りにもね。

 

鈴木とは今でも親友だ。

 

この頃から私は家にはいても家にいないような感覚に陥っていた。夏子との関係も微妙だ。

 

普通にコニュニケーションはあるが言い表せない違和感をずっと感じていた。
仕事は順調だが、週3日は出張、海外出張も年に最低6回はあり。平日は深夜帰宅、休日も接待ゴルフなど 家にいることがほとんどない。しかし夏子は文句も言わず2人の子育てと仕事を頑張ってくれていた。あとで聞いが子供の成長を一緒に喜びたいときにあなたはいなかった。私はいてもいないのと同じような感覚だったとゆうことを聞いた。自分の不甲斐なさを恥じた。

さらに先の急なマーケットの落ち込みで米国本社から経費削減の要求が来た。
佐々木さんと相談する。彼の試算では34名の組織を少なくとも22名にしなければならないとゆう。
会社にとって人件費は固定費として大きくのしかかる、利益が出ていてもいなくても決まった額の金が出て行く、人間に投資をしても帰ってこない。機械なら1億円投資しても減価償却が終わればあとは 無料でアウトプットを出してくれるが人間への投資は永遠に継続しなければならない エンドレスだ。

 

本来企業にとって最も貴重な人間とゆう資産を最も粗末に扱わなければならないこの理不尽は今でも感じているが それよりも一緒に苦労し、ここまでチームとして戦って来た同士を自分の手で切らなければならないことの方がはるかに難しくまた辛い。

自分はその責任者として会社と契約している以上 職務を遂行しなければならないが人間のためにあるべき企業とゆうモノが人間を苦しめる。

 

月曜日 佐々木さんから リストラのプランを来週末までに提出しなければなりません。
社長、あなたしか決められる人はいません。来週の水曜までに草案をください。
それを元に微調整をして最終予算案として本社に提出します。
辛いでしょうがよろしくお願いします。と言って佐々木さんは帰っていった。
私は一人だけのオフィスで考えていた。

 

次に、セールス、カスタマーサポート、エンジニアリング、スペアパーツの担当責任者を探す。
セールスはこれも過去に私の部下だった鈴木に声をかけるかどうするか?
彼の性格なら受けるだろう しかし小さいお子さんを抱えた奥さんを不安にすることはしたくなかった。
それで 奥さんも交えて給与などの条件を含め 話をさせてもらうことにした。
今までより収入は増える、しかし短期で ダメになる可能性もある。
うまくいけば将来はセールスのトップとして可能性が広がるが。
ハイリスクでもあると。意外なことに奥さんは やりたければやってみればいいじゃないとのことだった。無職になったら自分も働いてなんとかするからと。肝っ玉が据わった奥さんだし 鈴木との信頼関係も十分のようだ。

これも決まった。
そんな流れで 最初の5人は比較的すぐに決まり、新しいオフィスに集まって7人全員で祝杯をあげる。いや、スタートの狼煙だ。
会社の核になる部分が決まったのでその下の組織に関しては彼らに任せ、また佐々木さんが非常にうまく調整してくれたおかげで 徐々に社員が増えていき、その間も売り上げも順調に伸びたおかげで2年後に17人の組織になっていた。さらに2年で34名の組織となり日本での業績も順調に伸びていったが、この辺りのサイズが限界とも思えた。
その矢先 突然マーケットが失速する。
 

私はしばし考えた。
断る理由は全くない。14年前に生きるか死ぬかとゆうものを見てからはいつも腹をくくっていたような気がする。

謹んでお受けさせていただきます。

そうか?Okay

私は他の打ち合わせがあるのでこれで失礼する。細かい条件は彼らと詰めてくれ。
Greg と握手する。Welcome to Join us Ken.と言って ウインクしながら出て言った。

その後、その場で詳細条件を詰め、人事部長のTony Burnetと契約書を取り交わし、
会社を後にした。

帰り際 キャロルが KEN, じゃまたね?と言って軽く手を振っていた。
ああ。キャロル、またな と言って会社を後にした。
こうゆう ライトなところが米国企業の好きなところではある。最も全ての会社がそうではなく 若いベンチャー企業特有のムードではあるのだが。

 

休暇を取っていたので モントレーからカーメル方面に行って見ることにした。

セブンティーンマイルズドライブ に入り ベブルビーチ ゴルフコースを左手に見ながら ドライブする。海沿のリゾート地だ。すでにハイソサイティーの香りがする。観光地でもあり海も綺麗だ。街そのものが洗練されている雰囲気に包まれる。日本でゆうと鎌倉のような感じだろうか?

 

帰りにパロアルト(APPLEの本社もあるが)のスタンフォード大学構内にあるショッピングセンターで お土産のシーズキャンディと夏子へ誕生石のエメラルドの指輪とピアスを買った。

 

日本に帰り佐々木さんが法人登記などの手続や財務の業務の大半は某米コンサルティング会社(兼監査法人)にお願いしていたので私はメンバーの採用に重点をいていた。

他はほとんど佐々木さんに丸投げだ。 
オフォスの物件探し、人材確保のためにヘッドハンターや広告会社、ジェトロなどと打ち合わせする。最初にまずはアカウンティング、社長秘書と電話アシスタントを兼務の適任者を募集する。しかしここは気心がしれている人物の方が良い。

 

以前の会社で部下だった立本さんにうちに来てくれる気はあるか?電話する。
彼女は31歳独身、有名大卒で 5年間米国に住んでいた。
頭は切れるし、気も良く効く、本社との英語でのやりとりや、英文会計、英語の公文書作成などの仕事ぶりは文句のつけようがない。何よりその肝っ玉が真骨頂だ。スペックは良すぎるくらいだ、給与はもっと出せる。ただこんな不安定な会社に来てもらっても最悪短期間で無職になってしまうかも知れないのでまずは興味があるかどうか聞いて見た。

彼女は最後まで話を聞かないうちに ケンさんお久しぶりです。是非やらせてください。私はチャレンジしたいし経験を積む絶好のチャンスだと思っています。正直今の環境はもう限界を感じています。
泥沼にひきずり込んでしまうかも知れないがいいのか?と
その時は自力で脱出しますから気にしないでくださいとのこと。相変わらずたくましい。
ここはすぐに決まった。