食品メーカーと小売業のサプライチェーンコスト12 | 「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

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 さて、サプライチェーンコストをどう把握すればいいのでしょうか?

 今回はサプライチェーンの中での「最適」な解を求めるものです。従って、全プロセスの中でどこでどんなアクティビティがありどんな人や場所、設備が関わりそれに係る費用がどんなしくみで発生しているかを見る必要があります。

 そこで「物流ABC」のロジックを用いて現状を把握してみてはどうかというものです。何回かに分けて「物流ABC」とはどういうものかを記しておきます。篠原ロジスティクスホームページhttp://www.slogio.com/の解説ページを引用します。
(以下引用)
 もうすでに多くの方が「物流ABC」という用語を耳にしたり聞いたり試してみたりしているのでないでしょうか。うまく活用できているでしょうか?多分、どういう時にこれを使うのかが分からなかったり、やろうとしたが手間がかかると感じたりいまいちメリットを感じられなかったりと常用している事業所はまだまだ数少ないのでないでしょうか。

現状をしっかり把握するなら「物流ABC」を

  それでは皆さん方の職場ではどのお得意先にいくらの物流費がかかっているかをどんな方法で算出しているのでしょうか。どの商品にいくらの物流費を要しているのかがはっきりと出ているでしょうか。又、物流のどの作業や手段ごとにどれだけの費用がかかっているか分かりますか。分かっていると応えられる方の場合でもとんでもない的外れなコスト把握をしていることも多々あるのです。儲かっていると思っているお得意先や商品が実際は赤字の垂れ流しをしている場合もあると思ってください。
 物流ABCは改善や改革の方法ではありません。あくまでも現状を明らかにし気づきを得るためのコスト算出方法です。現場の改善は日々作業を行っている方々がより働きやすくより簡単により楽にしごとを仕上げることができるように目や耳、手、足、体で実感したことをひとつひとつ変えていくことの積み重ねでなされるものです。日々の職場ごとの改善活動こそが仕事の質を高め商品(サービス)の価値を高める重要なファクターです。ただ、改善改革の大きなポイントはどこにあるか、どこに不具合があるのか、もし物流費を個別にいただくのであれば顧客別、商品別ではいくらが妥当なのかなど現状を的確に表現するものとして物流ABCを活用して欲しいと思います。

コスト算出原理は簡単です

  よく物流費を得意先別に配賦する方法として重量や容積で算出することがあります。一応はっきりとした実績ですからいいといえばいいのでしょう。しかし、同じ重量でも同じ人数で同じ時間作業を行って仕上げたかというとそうでないケースが大半でしょう。なぜならそれぞれのお得意先の納入条件が異なっているはずです。ケース単位で納品してくださいとかピース単位で納品してください、週7日の納品、週1回の納品、受注締め切り後5時間以内、受注締め切り 1日後とかで作業や配送のやり方に大きな違いが生じます。当然、作業時間や投入資源も異なってくるでしょう。コストは当然異なってしかるべきです。
  これをはっきりと算出するのが物流ABCの考え方です。なぜでしょう。
私のやっている物流ABCでは次の考え方をしています。
 
  ABCコスト=作業活動単位あたりの標準原価×単位あたりの作業時間×活動回数
   言いかえれば
  ABCコスト=作業者の給料単価(円)×1単位作業にかかる時間×何回作業を行ったか

こうすることによって実際に物流現場で何にいくらかかっているのかがはっきりしてくるのです。決して量ではないのです。「活動」が中心に考えられます。
  人はどんな作業を何時間やっているか出せるけど機械や場所はどうなるのといった疑問が出るでしょう。これも対象となる活動に何時間(分)使用しているかを基準にして配賦されます。情報処理などコンピュータやサーバー、事務機器なども同様です。決して産出量で配賦はしません。

               (以上引用つづく)

今日のキーワード
”コスト把握に効く物流ABC”