今日の新聞各紙に「ゆうパック」の大規模遅配が報じられています。
7月1日に統合された「ゆうパック」のスタートを伝える新聞広告を見てからすぐに起きた混乱です。ペリカン便とゆうパックの統合問題の是非は別の議論に譲り、ここでは一度起きた混乱を回復させるのにはとてつもないパワーが必要であることを考えてみたいと思います。
郵政民営化の際に起きた年賀状の遅配問題がありました。組織を組み替える時には想定される問題を徹底的に洗い出し、それについての対応の仕方を十分練っておき、さらにはその対応を俊敏にこなせるまでの模擬演習までしておく必要があります。年賀状遅配の際は人的な面での頭数や仕分けの仕方、便の組み方などの問題を指摘されていました。
今回のゆうパックの混乱は日本郵便がまだ全体を掌握できていないのか新聞によれば「遅れの全体像を把握できない」として公表に至っていないようです。
中元シーズンのさなかですので、利用者、特に当事者である荷送り主となる事業者には少しの遅れでもどんどん問い合わせが入ってくるでしょう。
宅配業者は厳しい競争条件の中でサービスメニューとして配達日指定→朝・昼・夕指定→皿の小分けした時間指定へと高度化をしてきました。ゆうパックもこの競争条件の中で細かい時間指定まで踏み込んだサービスを掲げています。
メニューにあるサービスを守られなかった時には問い合わせが殺到します。荷受けをする方々は貴重な時間を有効に利用したいから指定したり、勤務や外出時間の合間を見計らっての時間指定をしているのです。それが1時間でも狂うとなるとサービス価値はなくなってしまいます。ましてや1日の遅れ、あるいは2日、3日・・となると何をかいわんやとなります。
混乱は統合後の運営方法が十分練りこまれていたのかというところが一因としてあげられるでしょう。人的な面でペリカン便に慣れていた人とゆうパックに慣れていた人との融合が一つ、集荷、拠点、拠点間輸送、配達という物流工程での人員配置が十分であったのかという点がもう一つです。新聞各紙の内容を見ると拠点での仕分けに手間取り滞貨荷物が膨れ上がっているとの内容が多いようです。仕分けのシステム面もあるのかもしれません。
いるつくのか問い合わせても回答を得られないというのは物流を知っている人から見れば最悪の混乱状態であることが分かります。
いったん滞貨すれば、それを早くさばいてしまおうと集中して行います。多くの場合は間接部門や管理職も動員して応援体制を組みます。しかし混乱現場では指揮系統がすでに亡くなっているというほど混乱しているはずです。思考停止状態ともいえます。そんな中に応援派遣された方も何をしていいかわからない状態が起こります。他方で物流現場ではなく間接部門という問い合わせ窓口も人員不足になります。システムで検索できなければ答えようがないので混乱現場にも問い合わせこの連絡網や現場を走り回る人も多く必要となります。
これが混乱している一つ二つの拠点の問題ではなく社全体の混乱に波及します。
まだまだ混乱の波及は津波のように広がる可能性があります。1日のつまずきは何日間にも及ぶ混乱といえるのでしょう。
解決は一度、荷物の受付をストップするのが手っ取り早い方法かもしれません。競争の中では走りながら解決したいと考えるのですがそれだけでは不可能かもしれないと考える人も多いでしょう。
今日のキーワード
”小さな綻び、それとも・・?”