誰でもできて結果が同じ  | 「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

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ロジスティクスや物流現場、日々報道されるニュースなどを直視したり斜に構えたりしてビジネスや社会生活のヒント、情報をちりばめます。

 ある物流センターさんの見学をさせていただいた時にお聞きしたセンターコンセプトです。


 確かにそこで働かれている方はパートさんやアルバイトの方がほとんどです。お聞きすれば新たに来られた方でも15分教えるだけのことで一通りのことができるようです。


 熟練した技術はいらない、そんなことができるのでしょうか。


 小売店向けのピッキング作業ですから、「指示を見る」→「歩く」→「指定商品を必要数取る」→「間違いないか確認する」→「梱包係に渡す」というのが基本的な作業です。


 この中で「迷わず考えず動作の中に検品も含まれている」、こんなしくみを作り上げているのです。


 ポイントはWMS(ウエアハウスマネジメントシステム)から受けた指示が作業者のハンディ端末に表示され、そのとうりに動き、必要動作を行うだけです。


 スタート地点のポイントででハンディ端末のボタンを押し作業開始を宣言します。そこでリストと荷物ラベルが発行されますので台車にそれを設置します。リストは別に見ることはありません。


 作業者はハンディ端末に表示された所番地まで「歩き」指示数を「取り」ます。品物に付いたバーコードを一つ一つスキャンします。必要数すべてをスキャンしますので「全数検品」が行われるわけです。必要分取っていなけれ次の場所が表示されません。余分にスキャンしようとすればアラームが出ます。全く間違いようがないのです。


 作業者はただ前へ前へと進むだけです。


 1回の一連のピッキング量は箱の容量に合うように計算されていますから入りきらないということはありません。


 作業者の時間あたりの処理量に差はあります。


 ここで考える要素は「箱の中に詰め、並べる」というものです。これだけですから何倍もの差がでるものでもありません。実際には早い方、遅い方で倍くらいは出るそうですが・・・。


 センターとしては普通にやってくれればそれが求めているスピードということになります。


 ピッキング工程に検品作業まで組み込まれていますので、二重に検品する必要はありません。


 まさに「後工程に不良品を送らない」というものです。


 最後に少し意地悪な質問をしてみました。「この職場ではパートさんたちの改善提案はおこらないのですか?」と。「棚番への商品を置く位置の提案など、よく出てきますよ。パートさんは立ち位置でできるところにヒット数の多い商品を置いた方が楽であることを身をもって経験していますから・・・」という答えが出てきました。


 シンプルな考えでできた物流センターでした。すばらしいセンターです。


今日のキーワード

”しくみでシンプルな作業にする”