朝日新聞の”視点”欄で目にとまった記事がありました。
企業の存在理由は様々な視点から論じられます。そんな中で本業を遂行していく中で意図に反して失ってしまった「信頼」回復にひたすら邁進してきた社長の記したものです。
昨年”2008年”はイタイイタイ病の公害認定40周年、環境問題を語るとき必ず出てくるのが四日市や水俣と並んで「神岡」という名前が出てきます。
今日の記事はこの原因企業である神岡鉱業社長の渋江隆雄さんによるものです。
三井金属鉱業の子会社である同社は岐阜県の飛騨市で亜鉛の精錬や自動車バッテリーのリサイクルを行っています。この公害病認定は精錬による排水中のカドミウムが神通川を汚染して流域住民にイタイイタイ病が発生したというものです。
渋江社長が入社した時期は裁判敗訴確定の3年後の1975年ですから、それ以降、住民の方々への資料開示なども伴う他地理調査や資料提供などのやりとりなども目にしてきたのでしょう。
「二度と犠牲者を出さない」という思いを社員みんなが共有し、公害防止に取り組んでの40年間だったようです。
排水処理では国の基準にとどまらず「神通川の重金属濃度を自然界レベルに戻し、これを維持する」とした確認書を被害者団体と結んでの企業活動です。
同社はとにかく「信頼回復」に一生懸命だったのです。細かい対策内容の一端も記事では記されています。そして何よりこの活動の中で、お金はかかるけれど環境重視の方向を決めて取り組んだことで社員みんなが誇りと自信をもったといういい面が評価されます。ノウハウも随分積み上げることができたようです。これは公開され広く提供されています。
そして社会にこれが認められ環境に真剣に取り組む企業といわれるようになったことも積み上げてきた成果でしょう。
やっと、被害者団体の集会でも体験を話す機会を得るほどの信頼が回復されたようです。
社長が最後に記しています。
「やってきたことは無駄じゃなかった。数字ではない、被害者団体のみなさんから『信頼』というおおきな贈り物をもらったと思った。地球環境ブームに上滑りすることなく、環境保全を事業の基盤に据えてやっていきたい。」
ここにすべてが集約されているようです。
今日のキーワード
”信頼はひたむきな活動から”