「包装」はその名の通り物流活動の目的である製品や商品を保護し移動や保管をする間にも物本体の汚破損から守り、他の異種類の物と区分をすることも目的にして行われる機能です。
この「包装」という機能にも環境負荷を低減する様々な活動が行われています。物流活動でよく見かけるものにダンボールケースがあります。このダンボールケースを1回限りでなく2回、3回と使い回しをするのもその一つです。さらにこのダンボールサイズを中に入る製品、商品のサイズに合わせて小さくするとか、製品や商品の設計段階からトラックやダンボールの最小サイズにすることを追求した物にすることで紙の使用量を極小化するるのもあります。緩衝材を要らないような衝撃吸収設計をしたダンボールもそうでしょう。ダンボール自体を無くしプラスチックコンテナーにしてリーたーなぶる容器で物流活動をおこなうこともそうでしょう。
今日は「ダンボール」の印刷面から特化した環境負荷低減の取り組みが発表されていましたので取り上げてみます。
キューピーと連合が行っている活動です。キューピーのホームページに掲載されています。
http://www.kewpie.co.jp/company/corp/newsrelease/2008/81.html
タイトルは「キユーピー、梱包用段ボールの印刷を標準色のみに集約しインク使用量を年間約1.7トン削減<環境負荷軽減への新しい取り組み>」となっています。
キューピーのダンボールに使用しているインクは39色です。これはキューピー独自の印刷色を使っていることによるものです。一般的に使われるインクの色は18色で「標準色」と呼ばれます。
このキューピー独自の「特殊色」をなくし「標準色」だけにすることで環境負荷低減を行うことができるというあまり目を付けていなかった分野です。これをダンボールメーカーのレンゴーとこの12月から順次取り組んでいくことにしたようです。
この取り組みが環境負荷低減につながるというのは次のような簡単な理由によるものです。
標準色以外の特殊色を使った場合のダンボール印刷後にはその印刷に使ったインクが少しとはいえ機械に残ります。それを除去しないと次の印刷にかかれません。当然、除去されたインクは廃棄されます。この除去されるインクがキューピーのこの活動では1.7トンのロスが年間ベースで出ているのです。
標準色に統一することで段取りがえによる機械内部に残るインクの除去作業時間も低減、廃棄インクもなくなります。環境負荷の低減になるというものです。
印刷色には企業のアイデンティティを表すものとして微妙な独自色を使いたくなるのも自然です。ここを環境というテーマとの天秤にかけてどうするのかという判断になるのでしょう。
今回のキューピーとレンゴーの取り組みは他でももう多くの企業が行っているものと思っていましたがレンゴーでは他の会社も同様に標準色だけにすれば約81トンの節約になるそうです。
さらに段取り替えの時に洗浄に使われる水も削減されます。レンゴーですべてが標準色になった場合は洗浄水の低減量は約7250トンに達するそうです。
印刷機械の図を使った説明もホームページで見ることができますのでご覧下さい。
こういったダンボール包装のインク種類に着目した活動に類似したヒントは他にも出てきそうです。
今日のキーワード
“あらゆる角度から環境を考えることができる”