一昔前までの伝統的なコスト算定について整理しておきます。
一つは「支払い形態別」の算定方式です。「人件費」すなわち給与や賞与として支払われます。火災や盗難、車輌事故、貨物保険などの「保険料」、さらに「燃料費」「荷扱費」「外注費」「事務用品費」「通信費」あるいは「減価償却費」等々と表現されるものです。この方式は従来からの会計などにも用いられてきたのでないでしょうか。
二つ目は「機能別」の算定方式です。「輸送コスト」「包装コスト」「荷役コスト」「保管コスト」「流通加工コスト」などいわゆる物流機能別に区分したものです。
三つ目が「領域別」といわれる算定方式です。「調達物流費」「社内物流費」「販売物流費」として算定するものです。
代表的なこれまでの物流算定を三つあげてみました。
これらの算定方式はコスト発生のメカニズムに迫り、しくみそのものを変えていくというマネジメントに活用するにはあまりにも無力と言えます。
A社に支払っている荷扱料が多いと思ってもどこに原因があってそうなっているのかは分かりません。原因を考えることなく支払金額の削減交渉をするのでしょうか?あるいは別のB社に変えてしまうのでしょうか?
輸送に関わるコストをまとめ「輸送コスト」として見てみる場合も同じです。何をどう運んでそうなっているのか、どれくらいの物量を運んでおいるのか、なぜこのような運び方をしてこのこすとになっているのかが分かるのでしょうか?
調達領域でこれだけかかっていますとみることができてもはたしてそれだけでしくみに迫れるでしょうか?
三つの算定方式ともコスト発生の責任や因果関係は明らかにすることにはあまりにも非力、無力としか言えません。したがってせいぜい個別問題の単価を下げることだけ、あるいは便数を減らしたり積載効率を上げたり人員を削減したりといった個別活動の効率化を目指すだけに終わらざるを得なかったと言えます。
従ってこれまでの従来方式のままではコストコントロールまでで終わってしまい悪くすればコントロールもできえなかったのです。コントロールよりマネジメントに活かせる算定方式が求められます。
今日のキーワード
“従来の物流コスト算定には限界がある”