物流部門では「量」や「質」といった基本条件を自己決定できない。
*ここでいう「質」はサービスレベルとして記述します。
「量」は販売部門あるいは顧客もしくは仕入れからの意思や情報による。「質」も同様、他からの要求によるところが大である。
自部門でできることは輸配送、荷役、流通加工、包装、情報、保管、回収などコンポーネントごとの機能性を高めること、コンポーネント相互あるいは全体のシンクロナイズを向上させること、そして単位当たりのコスト最小を目指すことなどがせいぜいのところである。それも自部門で制御できないところからもたらされる要求事項によって大きく効果を失うことがまれではない。
ここで物流の効率化あるいはロジスティクスの最適化を目指すのであれば全社さらにはサプライチェーン全体の情報共有が避けて通れない課題となるのである。
目を物流部門からの目としてどうすべきかを考えてみましょう。
日々のモノの動きで現象や事象を推定することはできます。すなわち日々のアイテム別出荷動向、入荷動向、在庫状況の変動値は見ることができます。ロングスパンの季節傾向値はもちろん移動平均などでトレンド傾向値を掴むことも可能です。お得意先の様子、仕入れ先の様子もある程度、読むこともできます。その意味では「売りたい、欠品怖い」願望のある営業部門より目は確かです。
しかし、これだけでは欠品、遅配なし在庫最小とはいきません。どうしても細かい情報収集が必要となります。仕入れ先に対しても出荷先に対してもアンテナを張っておく必要があります。必要なモノが入らなかったり余分に入ってくるなど、また、急な特売、予想を超えるオーダーなどがあればすぐ部門の機能は崩壊してしまいます。
アナログ形式の情報収集機能しかないのであれば最低限の情報は確実に集められるよう標準情報仕様書として関係各部署あるいは仕入れ先から集めるようにしなければならないでしょう。それがなければ電話などさらに不安定な集め方になってしまいます。特に特売情報は「標準情報」としての必須事項となります。生産情報、仕入れ情報、営業情報・・・、これらの思いこみの入ったモノではなく余分なモノはフィルターでふるいに落としたできるだけリアルな情報を集めることが求められます。
モノの動きにこれらの保管情報が加算されるとある程度の事象、現象をメガトレンドに変換することが可能になってきます。そして物流の対応も少しはよくなることも考えられます。
しかし、物流部門単独で効果を上げることは不可能であることには変わりありません。物流からロジスティクスに発展するためには多くの課題があるのです。
今日のキーワード
“少しでも情報を集め前に進め!”