今年上半期に倒産した介護事業所は81件で過去最大となったとのことです。様々な事業所形態の中で訪問介護事業所が最も多く約半数を占めています。昨今の情勢から今後も訪問介護事業所の倒産・廃業は増加していくと予想されています。
原因は介護職不足、物価高騰等が考えられますが一番の要因は介護報酬の引き下げであると分析されています。人件費が上がり物価が上がっている環境下で収入となる介護保険の基本報酬が引下げとなっては今回の結果は予測されていた通りとなったといえます。
2000年に介護保険制度が始まって「与えられる介護サービスから選べる介護サービスへ」「最後まで我が家で暮らす」とPRされて始まった介護保険制度ですが基本となる在宅介護サービスが厳しい環境に置かれています。
周辺でも訪問介護事業所の方々は経営環境の悪化が顕著となっていると悲鳴を上げています。給与が他の産業より低いのでスタッフ募集に苦戦して要介護者がいてもサービス提供ができないという事業者も増えています。物価高騰により販売管理費が上昇して収支の悪化が進んでいます。
政府は民間企業に「給与アップ」を呼び掛けていますが介護事業者にとって収入は介護報酬しかないので基本報酬を引き下げてしまうと給与アップしたくても原資がないという状況にあると感じています。
このままでは保険あってサービスなしということにもなりかねないと危機感をもっています。高齢者が増えていくこと、要介護者が増えていくことは明らかなので要介護状態となった場合に介護サービスを提供してくれる介護職が生活していくことが可能なくらいの介護報酬に改善していただきたいものですね。