高齢者と賃貸住宅 | 向井幸一のブログ

向井幸一のブログ

高齢者住宅の管理運営をしている高齢者のブログ

持家比率が高い高齢者ですが賃貸住宅市場では今でも高齢者入居に消極的な家主が40%程度いるとのことです。少子化により賃貸住宅の入居希望者は減少していますが増えている高齢者の入居は避けたいと考えている家主が多い現状です。高齢者の入居に消極的な原因は様々ありますが一番は賃料支払いに対する不安です。

 

高齢者は主な収入が年金という方が多いので将来的に賃料を支払い続けることができるか不安ということがあります。東京では賃料が高く上昇を続けているので年金収入のみでは今は支払うことができても将来的に不安を感じるということは理解できます。

また医療・介護が必要となった際に大丈夫かなと不安になることもあると思います。

 

孤独死に代表されるような居室内での死亡も不安要素であると思います。住宅内での死亡は事故物件となり次の募集の際に明示する必要があるので中々決まらないという実情もあると思います。死亡後の残荷の処理も家主単独では難しいということもあると思います。

また要介護状態となった場合に賃貸住宅での生活を継続することが可能かということも二の足を踏む一因になっていると思います。

 

これらの不安を解消するために第三者保証、死亡後の対応サービスも数多くありますが中々普及していないのが現状です。

一方で高齢者の入居を歓迎するという「高齢者専用賃貸住宅」があり現在では「サービス付き高齢者向け住宅」として数多く供給されていますが医療・介護サービスが前提となった住宅が多く「有料老人ホーム」というカテゴリーに分類されていますので高齢者が住まいとして検討している需要とは差があるように感じています。

 

また財務省では「サービス付き高齢者向け住宅」の総量規制をしたいという意向もあるようです。高齢者が集合して住むことにより医療・介護保険サービスを利用しやすくなり財政負担が増えることを懸念しているようです。これでは増えていく高齢者に便利な賃貸住宅が停滞してしまうのではないかと懸念しています。

最期が孤独死という最悪の事態を避けるためにも安否確認システム、緊急通報サービスが整備された賃貸住宅はますます需要が高まるのではないかと思います。

 

核家族化が進行して高齢者のみの世帯、独居高齢者世帯が増えていく今後の選択肢として高齢者であっても安心して住むことができる賃貸住宅は需要に見合った供給が実現されればいいですね。

人生のゴールを迎える場所が確保できる社会になっていただきたいものですね。