川崎市所在の特定施設で昨年11~12月に連続してベランダからの転落事故が3件発生してニュースになっています。さらにこのたびは同じ時期に同じ法人が経営する千葉の特定施設でも同様なベランダからの転落事故が2件発生していたことがニュースになっています。
同じ時期に同じ形態の事故が5件発生してお客様が死亡しているということは不自然ではあります。大手企業でたくさんの物件を管理していながら事故防止に対する意識、行動が活かされていなかったという点は大いに反省すべきだと思います。
しかし一方ではベランダからの転落事故なのでベランダを無くせばいいという発想になるのではないかと不安を感じます。日本では事故が起きたら規制、禁止してしまえばいいという安易な発想が散見されます。原因を把握して個別に対策するほうがお客様には便利なことが多いのでないかと思っています。
住宅のベランダには様々なメリットがあります。
・掃出し窓になるので眺望、日当たり、風通しが良くなる
・外壁補修工事が安価で可能になる
等の理由から2面採光になっている角部屋に人気が集まります。
高齢者は認知症等の理由から転落事故が起きやすくなるというのであれば分譲マンション等にお住まいの方の転落事故も多く発生しているのではないかと思いますが決して多くはありません。
また事故防止はハードのみで対応できるものではなくソフトサービスにより防止できるものです。
今回の事故は全て「特定施設」で発生しているところにも一因があるのではないかと思います。特定施設では介護報酬は包括報酬になりますので経営を優先するとサービスはできるだけ提供しないでスタッフも法定人員ギリギリで運営することが経営効率は上がります。
住宅であればサービスは実際に提供したもののみ報酬となります。お客様に対してきめ細かい実態把握とサービス提供が必要になります。
施設と住宅ではハード、ソフト、管理運営方法、事故防止方策は大きく異なるものであると考えています。
住まいの管理運営は高度な専門性が必要な事業であり病院・施設とは全く異なるものなので専門性の高いプロによる管理を心掛けていただきたいですね。
同じような事故により高齢者の皆様が亡くなることは防止していきたいですね。