賃料値下げ | 向井幸一のブログ

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高齢者住宅の管理運営をしている高齢者のブログ

賃料値下げに関するご相談が増えてきました。入居されている高齢者からのご相談ではなくサブリース契約により土地建物を事業者に貸しているオーナーからのご相談です。

「サブリース契約で契約した借り上げ賃料を下げて欲しい」というものです。

値下げの主な理由は


・入居率が低い

・競合物件が多くなって賃料値下げ競争になっている

・診療、介護報酬改定に伴い保険料収入が下がった


という理由が多いですね。オーナーとしては金融機関から借り入れをして建物を建てて事業者からの支払賃料により返済しているという状態なので事業者からの賃料値下げ依頼は切実な問題になります。

大きく下げてしまうと借入金の返済ができなくなるということも考えられます。


事業者は切羽詰まっての賃料値下げのお願いだと思います。オーナーの立場も理解できます。

弁護士を代理人にして値下げ依頼をする事業者がほとんどですが結論としてオーナーは賃料値下げに応じるかサブリース契約を解約するしか手はないというのが現状です。


テレビコマーシャルではサブリース契約は一括借り上げで賃料はずっと固定で支払われると思っているオーナーが多いですが現実では最高裁の2004年の判例により

・サブリース契約は一般賃貸借契約の一態様である

というものがあります。


即ちサブリースで借りている事業者は借家人という立場なので「賃料減額請求」「契約の解除」はできるという判例です。オーナーさんは減額請求通りの賃料で納得するかサブリース契約を解約するかの選択になります。

何となく納得できない判例ですが最高裁の判決であることから法律と同じ効果があります。


サブリース事業者は賃料減額請求、契約の解除はできますが高齢者住宅事業はオーナーとの共同事業であるというくらいの覚悟が必要な事業だと思います。何よりも数多い高齢者住宅の中から選んで住んでいただいている高齢者の皆様の行き場がなくなるようなことは避けていただきたいですね。


入居いただいているお客様とご家族、サブリースで借入金により物件提供していただいているオーナー、住宅で働いてもらっているスタッフの全員が笑顔で幸せになることができる住まいを目指していきたいですね。