サ高住の特定施設化 | 向井幸一のブログ

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高齢者住宅の管理運営をしている高齢者のブログ

サービス付き高齢者向け住宅制度が始まって4年目を迎えます。前身の高齢者専用住宅制度から数えると8年目を迎えています。高齢者の安心居住をテーマに借家権があってサービスを自由に選択できる正に終の棲家になりうると期待されていました。

現在では17万戸近いサ高住が登録されています。


高齢者の住まいであると思っていましたが昨今の医療・介護保険制度改定をみていると住まいではなく「特定施設」化しているのではないかと感じてしまいます。

訪問診療料では一般住宅居住者に対する診療報酬の約8分の1に減算されています。

介護報酬では一般住宅居住者に対する介護報酬から10%減算されます。

そして極め付けは「住所地特例」の適用です。


「住所地特例」は介護保険法上、特定施設のみ適用される特例なので正に特定施設化が進んだなと感じます。

訪問介護報酬の10%減算、住所地特例適用の特定施設化という流れから政府の方向性がみえてきます。政府は社会保障費の圧縮を至上命題としています。高齢者住宅における介護サービスの過剰提供により限度額いっぱいの報酬請求している事業者を排除しようとしています。


これらを総合的に検証するとサ高住を「外部サービス利用型特定施設」へと誘導という結果です。これであれば訪問系介護サービス単価は10%減算であり出来高払いですが要介護度別の限度額は特定施設以下という報酬体系なので政府の思惑に一致します。

外部サービス利用型と称していますが実際には建物管理者とサービス事業者との契約になるのでお客様の自由な選択は実現しなくなります。


施設のような住宅が増えている現状からは仕方ないのかもしれませんが学生の1ルームより狭く、お部屋にはお風呂、キッチンがないというような昭和30年代のアパートのような住環境では人生の大先輩に申し訳ないと思います。

最後まで自分らしく生活できる高齢者住宅を提供していきたいですね。