写真家の平間至さん。


タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」のキャンペーンポスターをはじめ沢山のアーティストの撮影をされている方だ。


そんな平間さんとマネージャーをやっていた時期に撮影の現場でご一緒した時があった。


粗相の無いようになるべく存在感を消して現場の片隅で潜んでいたのだけど、そんな俺のところへ平間さんの方から近づいて来て「フレッドペリーってスニーカーも出してるんだ?いいねー。」と話し掛けてくれた。自分のような裏方の人間が気さくに話し掛けられるシチュエーションは珍しかったので鮮明に憶えているしめちゃめちゃ嬉しかった。あの時フレッドペリーのスニーカー履いてて良かった。


その後も何度か現場でご一緒させてもらった。気づけば最初の現場の時より緊張しないで話せるようになっていた。被写体のアーティスト達が平間さんの前で自然な表情やたたずまいを見せる理由がなんとなくわかったような気がした。


さてそれからかなり時は流れて、俺は今別の仕事をしながらバンドの活動を再開している。二度とバンドをやるつもりの無かったあの頃の自分が聞いたらびっくりしそうだが、アルバムまで作っているんだから人生何があるかわからない。


アルバムの完成が近づくにあたり、そろそろ新しいアー写を撮らないとな…と思ってしばらくあれこれと考えてみたのだけど、どうもイメージが上手くまとまらない。1人でロケハン的な事もしてみたけど何だかピンと来なかった。


思い入れのあるアルバムにはそれに相応しいビジュアルを添えてあげなければならない。さてどうしたもんか。ボンクラで不器用な俺達のありのままの姿を撮ってくれる人。あ…いた。平間さんがいるじゃないか!直感で思いついてしまった。


そうなったら平間さんに撮ってもらう以外の選択肢が完全に消えてしまった。その日のうちに当時タワレコで広報を担当していたKさんに連絡を取った。最初に平間さんと繋いでくれた方だ。自分達のような、なんの実績も知名度も無いバンドでも果たしてアー写を撮ってもらえるのだろうか、失礼じゃないだろうかと相談してみた。


自分としては単に相談してみただけのつもりだったのだが、翌日にはKさんから電話が掛かってきてなんと既に平間さんと連絡を取ってくれていた。


「平間さん、畠山くんの事覚えてたよ。あとは直接連絡してみな。たぶん大丈夫だよ。」


ぶっきらぼうを装っているがとても面倒見の良い人だ。この方も人間力が凄かった。そんな後押しもありスタッフさんを通して平間さんとの打ち合わせの日程を決めさせてもらった。打ち合わせの日までに曲を送って欲しいと要望を頂いたのでレコーディング中の新しいアルバムの中から5曲ほど送らせてもらった。


そして打ち合わせ当日。緊張しながら三宿のスタジオに向かう。久々に再会した平間さんに、「どうしても撮ってもらいたくて唐突に連絡してしまいました。」と経緯を説明するとニヤリとしながら「よくぞ思いついてくれました。」と一言。そしてノートを広げながら撮影のシチュエーションを幾つか提案してくれた。平間さんがSleeperの曲を聴いてイメージを膨らませてくれている。こんな贅沢があろうか。(いや、無い。)


そして5月某日、撮影も終わって新しいアー写が出来上がった。写真の中にあったのは紛れもなくありのままの3人だった。このアルバムを作った現在の俺達がしっかり記録されていた。こんな写真が欲しかった。


新しいアー写は時期を見て公開しますのでお楽しみにしていて下さい。そして、そんな平間さんの写真展が六本木のFUJIFILMスクエアで無料開催中です。既に1万人が来客しているとか。お近くの方は是非足を運んでみてくださいな。もちろん俺も行きます。 https://fujifilmsquare.jp/exhibition/220610_01.html
最後に、平間さんのインタビューから抜粋した言葉を紹介させてください。

「当時、人を止めて撮るということに違和感を感じていました。撮影が終わった瞬間に花嫁さんが“緊張したね〜”なんて、いい笑顔を見せる。なぜカメラを向けた途端にその人らしさが撮れないのかなと思っていました。だから『MOTOR DRIVE』では、絶対に写らないように逃げてくれと言って、スタジオで吐くくらい追いかけっこをしながら撮ったりしました。僕はパンク上がりだから、まずは既存のものを壊そうというスピリットはいまだに持っていますね」



下の写真は当時マネージャーを担当していた羊毛とおはなのもので、撮影は平間さんです。馬と撮りたいと提案してくれたのも平間さんでした。めちゃめちゃいい写真。