どうも、畠山です。昨日保存ミスって消してしまったブログを思い出しながら書いてます。


今日は、生きてると想定外の事が起きるしそんな時って人間性が出てしまうよなって話です。



20代の時、歌舞伎町のラーメン屋でバイトをしていた頃のこと。



場所柄もありその店にはお水のお姉ちゃんやホスト、三丁目界隈の人達、酔っ払いのサラリーマンなどの他、明らかにその筋の人とわかる方々も沢山来てまして。



とある月末金曜の夜、いつものように賑わう店の厨房でレオナルド熊似の店長が俺にこう言うのです。



「今日レジの千円札足りないからさ、万札出されたら必ず細かいのないか確認して!」




万札が飛び交う月末金曜の歌舞伎町においてなかなかハードルの高いミッションを与えられて淡々と頭を下げて凌いでいたのですが、日付が変わる頃にはとうとうレジの千円札は一枚も無くなってしまいました。歌舞伎町の夜はこれからなのに。(ちなみにこの時点で自分の財布の千円札を店に貸したり、近くのコンビニにダッシュして万札でガムを買って嫌な顔されたりと策は尽くしてます。)



そんな時に限って来るわけですよ、アウトレイジな方々が。3人で来店したその方達はカウンターに横並びで座りました。嫌な予感しかしない。




祈りながらどれくらいの時間が経ったんだろう。食べ終わると3人の中で一番目上の人と思われる人物(椎名桔平を想像して下さい)がスーツの内ポケットから封筒を取り出し、お勘定の合図をしてきます。合計金額を伝えると予想通り万札が出されました。



封筒が出た時点でもう絶対に万札が出るイメージしか湧かなかったので、俺は何度も頭の中で復唱していたそのセリフを無の境地で桔平さんにお伝えします。



「すみません、、今日千円札を切らしてまして、、申し訳ないのですが細かいのはありませんでしょうか?」(たぶん数回噛んでる)




すると桔平さんの横にいた若い衆(桐谷健太を想像して下さい)が、こう言うのです。


「あ、自分細かいのあるんで出しましょうか?」


助かった…と思ったのも束の間、健太を制して桔平さんは立ち上がってこう言います。



「おいお前、歌舞伎町で釣銭無しで商売してんのか?ふざけてんのか?これでなんとかしろ。」




緊張に包まれる店内。さっきまで賑わっていたのが嘘のように静まり返り、客人達が麺を啜る音と有線放送だけが虚しく響く。店長はこちらのやり取りに気付かないフリをして鍋を振り続け、俺は頭の中でイマジンを歌ってる。




そんな永遠とも思える沈黙の口火を切ったのはカウンターの端っこで瓶ビールを飲んでいた初老のおじさん(鶴瓶を想像して下さい)でした。その人は少し笑いながらこんな事を言うのです。



「この兄ちゃんさっきも釣銭無くなってあっちのコンビニまでダッシュしちゃって可哀想なのよ!でも歌舞伎町で釣銭無いなんて相手見て言わなきゃだよねー?」




まるでわざと空気を読まないでいるかのように発された陽気な声に店内の誰もが次の展開を固唾をのんで見守るなか、桔平さんはこう返します。




「いや、俺もこの街で商売してるから腹立っちゃってさー。今日はいいけど次はちゃんとしとけよ!そっちのおっさん(店長)も聞いてんのか?」



と言いながら自分の財布を取り出し千円札を数枚抜いて差し出してきました。いや千円札あったんかい…。




かくしてアウトレイジ御一行は直立不動の店長と放心状態の俺を尻目に退店し、さっきまでの賑わいが再び店内に戻ったのでした。そこにいた全員が思ったでしょう。今夜のMVPは鶴瓶だと。



店側の不備を指摘しつつ従業員の俺に同情し、最後に桔平さんを少し持ち上げる事で誰も傷つけずにその場をおさめるという完璧な立ち回りを軽快にこなすあの感じ、若造の自分はただただリスペクトするしかなかったのでした。



ちなみにラーメン屋のバイト期はなかなか強烈なエピソードが他にも色々あるのでそれはまた近いうちに。ではでは。






この頃の歌舞伎町が舞台の小説「不夜城」。時間が経つのも忘れて読み耽ったよこれ。