それでは、最後の光編です。
枕を合わせる理由を辿ると「寝つきの悪さ」と「起床後の肩こり・首こり」に行きつき、その原因には枕以外にも「敷寝具」と「冷え」の可能性があると書いてきました。今回解説する「光」は、特に寝つきの悪さで悩んでいる方にとって関係があります。
人間の睡眠と覚醒のリズムに最も大きな影響を及ぼすのが光です。人間は昼行性の動物なので、太陽が上がっている時間に活動し、沈んでいる時間帯は体を休息させようとする本能が備わっています。
つまり、太陽が沈んでからは出来る限り人工的な光を浴びない方が、本来の体のリズムに従って自然と眠気に襲われるようになります。とは言うものの、現代社会で夜間にまったく光を浴びない生活は不可能と言って良いでしょう。大切なのは「無駄な光」を削っていくことです。
さて、皆さんの自宅の照明ですが、何かこだわったり、気を付けていることはありますか?
天井に部屋中を煌々と照らす青白い色の蛍光灯がひとつだけ付いていませんか?
この様な日本の照明事情を照明デザイナーの東海林弘靖氏は、「蛍光灯が急速に普及した戦後の高度経済成長期にひとつの転換期を迎えました。そのころから、夜になっても部屋が煌々と明るく照らされていることが増え、それが豊かさの象徴だと考えられるようになったのです。」と、著書「日本の照明はまぶしすぎる」で述べています。私も同意見です。
この様な状態では光の調整はオンかオフしかありませんよね。明るいか真っ暗かです。また、蛍光灯の様な青白い色の光は、人間を覚醒させる力が強く夜間に使うものには適しません。同じ照明でもオレンジ色の電球色の方が夜間やリラックスしたい場面には適しています。
お手本となる自宅の照明環境はホテルをイメージしてもらうのが良いでしょう。上の写真の様に「照明を複数」設けたり、「間接照明」にしたりすれば、点ける照明の数を調整して光の量(明るさ)を抑えることが出来ます。旅先でグッスリ眠れたという経験をお持ちの方は多いと思います。この理由ですが自宅と宿泊先の照明環境の違いも大きく関係してると思われます。
また、プラグとソケットの間に挟んで使う「調光器」と言う商品もホームセンター等で販売してます。これを使った照明は明るさを調節出来るようになります。最近は調節機能付きの照明も販売されていますので、購入する際のポイントの一つにしてみてはいかがでしょうか。
そして、人工的な光は照明だけではありません。現在、急激に普及しているスマホ等の電子機器のディスプレイも光です。
夜間はテレビ、スマホ(携帯)、パソコン、電子書籍などを出来る限り使わないようにしましょう。電子機器のディスプレイの光は影響力の強い青白い光です。しかも目に直接入り込んできますので余計に悪いです。
睡眠の質を悪化させてまでも、果たしてその時間に本当に使う必要があるものなのかどうか見極めましょう。
それから、私自身が未使用なので責任のあることは言えませんが、ブルーライトカット眼鏡という商品もあります。これは電子機器の目に影響を与える光だけをカットするという商品です。試してみる価値はあるかと思います。
人間と光との関係は非常に強いものです。枕が合わなくて困っている方に限らず、少しでも生活の質を上げたいとお考えの方は、夜間の光との付き合い方を見直してみる価値はありますよ。
さて、3編に渡って枕がなかなか合わない理由について考えてきました。今回取り上げた例の他にも眼精疲労が肩こり・首こりの原因だったり、総合的な寝具環境が体の保温には不十分で冷えを作っていたり、ストレスが原因で寝つけないこともあります。敷寝具編の冒頭でも書きましたが、枕が合わないことで悩んでいる場合に大事なのは、まずその悩みの本質を探る事です。つまり「なぜ枕が合わないと困るのか」という事です。
そこをスタートして、個人ごとに可能性を探って対処していく必要があります。
今回のコラムの情報などを利用して自分で原因を探り対応していくのも良いですし、誰かのサポートを得るのも良いと思います。もちろん私でも結構ですし、寝具販売に携わりながら睡眠改善インストラクター、睡眠環境指導士、睡眠健康指導士といった睡眠の知識を持った有資格者も各地にどんどん増えています。
どうぞお気軽にご相談下さい。
by sleepdesigner:圭
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