夢 出会い 魔性 -177ページ目

夢 出会い 魔性

日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




船が動き始めてすぐに、ご主人さまから「開けてみな」って言われた。


ストラップのキットには貝がそのまま入ってて、
自分で貝を開けてパールをほじくり出すのだ。


「あっちで開けな」

「?」

「灰皿のとこ。水がビシャビシャ垂れるぞ(笑)」

「あ、うん(笑)」


灰皿の上で貝が入ってるパックを開いた。

開くのと同時に水がビシャビシャ派手に垂れた。


「垂れた~」

「だろ?(笑)」


甲板のベンチ…ご主人さまの隣に戻って、
貝を開いて小さいスプーンみたいなので身をほじってく。


「あ…白」

「白か?」

「白い…違う、オフホワイト。クリームがかってる」

「オフホワイトか。意味は?」

「成功、だって」

「ずいぶん曖昧だなあ(笑)」

「うん(笑)」


今のわたしにピッタリだ、と思った。

仕事、とか、愛、とかピンポイントじゃなくて、
なんだか曖昧に「成功」って。

さっき、神様の前で頭を下げた時と同じ気持ち。


「…どうやってストラップにするんだろ…」

「ほら、ここを外して開くようになってるぞ」


ご主人さまがストラップを外して、中にパールが入るように広げてくれた。

ご主人さまの手の中のキットに、ポツ…とオフホワイトのパールを置く。

それを閉じて、元のストラップの形に戻してくれるご主人さま。

夢 出会い 魔性-100725_1315121.jpg

嬉しくて携帯に付ける前に写真を撮った。




「あ!写真!」

「ここで撮るか(笑)」

「うん(笑)」


2人で並んで、ご主人さまが手を伸ばして、
わんわんの携帯をこっちに向けてる。


「こんな感じ?」

「えっ?わかんない、撮れるかな」

「撮る(笑)」


シャッター音がして画面を見ると、逆光で真っ黒(笑)


「これじゃダメー」

「なんだよ(笑)」


苦笑い気味のご主人さまと、もう一度並び直した。

ポロリーンとシャッターの音がする。


「今度は?」

「うん、まあまあ(笑)」

「どれ。…おお(笑)」


ご主人さまは「思いのほか爽やかだなあ」って笑ってる。


背景は海だけ。


ご主人さまは眩しそう。
わたしは嬉しそう。


ピタッて寄り添って写ってる。


もちろん美男美女じゃないけれど、
なんだかとても自然に撮れてる。





2人とも目の端がクシャッとした笑顔だ。




ここのとこの私は痛々しいと、自分でも思う。


んー…でもこんな事態だし、痛々しくてもしょーがないんじゃない?
とも思う。


ご主人さまは鬱陶しくないのかなあ?って疑問に思ったりする。

毎晩、とは言わないけれど、
けっこうな高確率で電話しちゃったりしてるし。


でも、それを不安に思ったりするのは間違いだと思う。

だって、これが私なのだ。
取り繕う必要性なんて、どこにも見付けられないし。



今までもずっとこうだった。

甘えたりじゃれついたり。

ご主人さまはいつもフツーに受け止めてくれてた(ように感じる)



だったら、今の痛々しい私も同じこと。

…迷惑かなあ…なんて考えたら、さらにややこしくなるだけ、きっと。



だから心のままに。
求めるままに。

それでいいんじゃないかな、きっと。




とはいえ、それは今までのことがあるから言えること。

今までの付き合いで、ご主人さまが私の性格を知っているから出来ること。


いわば、今の私は酔っ払いなのです。

普段はなんてことないのに、ちょっと酔っ払って我が儘言ったりしてるの。

毎日毎日酔っ払いじゃ困るけど、
毎日ちゃんとしてる子が、たまーに酔っ払って我が儘言っても…
たいてい、ああ珍しく飲みすぎたのかな…って許して貰えるはず。


それは、もともとのその子がそんな子じゃないって認識出来てるから。

もともと我が儘三昧なら論外だよ(笑)




ご主人さまは、もともとの私が遠慮しぃなのを知ってる。

図々しい顔して、意外と遠慮してることバレてたもん(笑)


ヘーキ!って顔して、実は弱っちなのもバレてる。

いつもは言われないけど、何か事が起こると
「大丈夫?弱っちだからなあ」って言われるし。



だから、きっと。

今の私は酔っ払いと同じで、
普段は大丈夫なのに我が儘言う女になってる…と。

そんな認識されてそう(笑)


そうじゃなきゃ…
基本大丈夫な人、って思えなきゃ、酔っ払いの相手なんて嫌だよ。





珍しくちょっと我が儘言ってるだけなの。

ゆるしてね
…ゆるしてね




行きは高速道路。


「フェリーで帰るか」

「えっ?わんわん車ごとフェリーに乗るの初めて!」

「だーかーらー、車ごと乗るのがフェリーなんだろ(笑)」

「ああ(笑)じゃあフェリー初めて~。あれ?フェリー初めてかな…車ごと船に乗ったことないし…」

「はいはい(笑)」


フェリーと聞いて、ビョーン!とテンションが上がった。

船かー
車ごとかー

何しろわたし、洗車機でも嬉しく楽しくなるんだから(笑)


「ほら、海(笑)」

「うみっ!(笑)」


昨日も釣りしたり海水浴したり、さんざん海にいたはずなのに、
チラチラと見え始めた海に、また単純に喜んでしまう。


だって、昨日の海とは違う。

今日はご主人さまと一緒に車ごと船に乗るんだ。



比較的タイミングが良くて、出港するまであと30分くらい。

乗船手続きをしても、まだ少し時間がある。


フェリー乗り場の近くには、ミキモトパールの島がある。

そのせいか、フェリーのチケット売り場にはパールのお土産ものがたくさん並んでた。


「あ」

「?なに」

「いや」


ご主人さまが急に何かを探すみたいにキョロキョロし始めた。

なんだか良く判らないけど、とりあえず付いて歩くわんわん。



「あった」

「ん?」



ご主人さまが指す先には、自分で作るパールのストラップのキット。


「前にどっかで見たことがあってさ」

「うん」

「絶対あると思った。隣はミキモトパールだし(笑)」

「うん」

「ほら、選びな」

「え?…買ってくれるの?」

「ああ(笑)」


しゃがんで眺め始めたわたしに、お店の人が近寄ってきた。

「どの色が出るか判りませんよ(笑)」って。

印刷されてるパールは全部で5色。

色によって意味があるみたい。

ピンク 健康
白 学業

そんな感じ。



「黒…黒…」

「くろぉ?愛?(笑)なんだよ、愛って(笑)」

「わたしが今1番迷子なのは愛でしょーがっ(笑)」

「わはは」



これ!って決めて、ご主人さまに買って貰った。

フェリーの中で開けなね、って言われた(笑)
ご主人さまも何色なのか気になったのかな。



車に戻って、そのままフェリーに乗り込んでく。

車から降りて甲板に上がった。暑い。

みんな涼しい客席で椅子に腰掛けてる。

ご主人さまとわんわんはタバコを吸うから、灰皿のある甲板。


「準備してるね」

「もう出るな」


甲板からは、作業をしている人がよく見えた。

少ししてからアナウンスが流れて、船はゆっくり岸を離れた。





だんだん小さくなってく景色は、ちょっとだけ物悲しく見えた。





お参りが済んでから、また商店街みたいなとこに戻ってきた。


「ここ」

「ん?」


ご主人さまに連れられて伊勢うどんのお店に入ってく。

外はすごい暑さだ。

お店の中のひんやりした空気だけで、体がホッとするのを感じた。

で、汗が噴き出してくる(笑)

お冷やを飲んでも飲んでも、喉のカラカラが取れない感じ。


「伊勢うどん2つね」


メニューも見ないでご主人さまが注文してる。

注文してから

「これ食べてかないと」
って、こっち見て笑った。

わたしに食べさせようって思ってくれたことが嬉しい。


暑かったね、なんて話しをしてると、すぐにうどんが運ばれてくる。


「…おつゆ?ていうか、タレ?独特だね」

「こういう食べ物だからね」

「うん(笑)」

「前にさ、インスタント…っていうか、家で茹でてるやつを食べたことがあるんだよ」

「うん」

「で、『インスタントだからこんな味なのか』…って思って、その後で店で食べてさ」

「うんうん」

「インスタントと同じ味だ!って驚いた(笑)」

「わあ!(笑)」

「こういうタレなんだよな(笑)」

「あはは」


柔らかめに茹でたうどんに、まったりしたタレが絡んでる感じ。


「固めに茹でてって言えば良かったんじゃない?」


ご主人さまは、私が固めの麺類が好きなこと、知ってる。


「ううん、これはこういう食べ物でしょ?固めだったらかなり印象が違いそう」

「だな(笑)」


柔らかめのうどんに不思議な味のタレ。

たぶん…美味しい!って食べ物じゃない。
あ、好きな人は好きなのかも、だけど。


(何を食べるか、じゃなくて、誰と食べるか、だ)


笑いながら食べれば何でも美味しいんだ。

好きな人と笑いながら食べたら、何だって美味しいにきまってる。

その人がわたしに(食べさせたい)って思ってくれたなら、なおのこと。




とことこ歩きながら、ご主人さまに言った。


「わたし、今までで1番美味しかったのは○○さんと公園で食べた250円のお弁当」

「へえ(笑)」

「あの日、公園で大道芸やってたでしょ」

「ああ」

「ちょっと暑くて、でもベンチは木陰で気持ちよかった」

「うん(笑)」

「大道芸は思いのほか見応えあった」

「だなあ(笑)」

「メンチ、1つだけ買ったの覚えてる?」

「もちろん」

「○○さんが食べてから、半分をわたしのお弁当にハイッて乗せてくれた」

「ああ(笑)」

「たぶんいろんなことがパーフェクトだったの。隙が無いくらい」

「ははは」

「あの時に思った。美味しく食べられる相手ってすごいなあ…って」

「何かを一緒に楽しめる相手は大切だよ」

「うん」

「一緒にいて楽しくない相手とセッ/クスしてもつまんないだろ(笑)」

「あはは」





二年以上前に言われたなあ。


好きだよ
大好きだよ
じゃあなんで一緒にいたいと思う
楽しいからだろ
一緒に飯喰ったりすると楽しいからだろ





あのころから、ご主人さまは何も変わってないんだ、きっと。




お参りをしてから、ご主人さまに促されて裏手に回った。


そちらにも少し小さいお堂があって(呼び名が違っていたらスミマセン。不勉強です)
その2つを結ぶ直線がパワースポットになっている、とご主人さまに言われた。



「感じる人?」

「ん?」

「感じる人は、手をかざすと指先が熱くなるらしいよ」

「へえ」


手を開いてかざしてみたけど、特に何も感じない。


「…感じない」

「俺も(笑)」

「感じないけどパワーはあるはずー(笑)」


手を高く上げて、「パワー!」って声に出してみた。

指先は熱くならないけど、今のわたしにはパワーが必要なはず。

わたし…感じない人だけど

神様、少しでもパワーを下さい。


「こっちもお参りしてくんでしょ?」

「当然」


少しずつ
少しずつ

迷いが形になってゆく。


わたし、グチャグチャに迷ってる。

だったら、それでいいじゃないか。
何をお願いしたらいいのか、どうせ判らないんだから。



おさい銭を投げて頭を下げた。



かみさま

わたし、何をお願いしていいのかわかりません

だから、なんでもいいです

結果は、なんでもいいです

夫とのこと
ご主人さまとのこと

どうしたいのかも判らないから、なんでもいいです

どんな結果でもいいから

どうか、納得させて下さい

わたしが納得できるようにして下さい

どうか。






ああ、そっか。
さっきのこと。


神様は最初から判ってたんだ。

「お前、何を願えばいいか判らないんだな?よし、任せろ」


そう言ってくれてたんだ。
あー、そっかー。
なあんだ(笑)



「今度はちゃんとお願いしたか?」

「うん、ばっちりー」

「よし(笑)」

「えへへ」

「なんだよ(笑)」

「我慢してたの、一応(笑)」


お参りが済んだから、笑いながらご主人さまの手を握った。

我慢?そうなの?って、ご主人さまが笑ってる。

神様のためにお清めしたんだもん、と返事したら笑われた。


「さっきのは凄かったなあ」

「ねえ。あの時まで1回もめくれなかったのにね」

「完全に降りて来たな(笑)」




ろくすぽお願い出来てないけど。

なんだか少し、こころが軽くなった気がする。