首輪買いに行こう【6】「長いな。良かった」 | 夢 出会い 魔性

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ご主人さまがお風呂のお湯を落としてるうちに、買ってきた飲み物を冷蔵庫にしまった。


テレビが大きいねー、とか話しながら、
並んでソファに座ってご主人さまもわんわんもタバコを1本。


ご主人さまは普通の顔してタバコ吸いながらテレビ見てる。

わんわんは、たぶん普通っぽくしてたけど、内心はどきどきしてた。

照れ臭くて、ご主人さまに触れるきっかけが掴めないよ。


「なに?」

「…うん」


こっちを見たご主人さまとパチンと視線がぶつかった。

ぶつかったってことは、わんわんはご主人さまを見てたってこと。


エイッて気持ちで、頬っぺたって言うか口唇の端っていうか、
ようするにビミョーな場所にキスをした。


「なんだよ(笑)」


なんだよ、って言う口調が優しくて、少し安心。

腕を回してご主人さまの腰辺りを抱きしめるようにしながら、
今度はちゃんと口唇を狙ってキスをした。

ご主人さまの腕がわんわんの体に回ってくるのを感じる。

後ろから頭を支えるみたいに、手の平で包んでくれてる。



「……かみ」


ご主人さまに触れられて、髪のことを思い出した。


「髪?」


少しだけ口唇を離して、そのまま口唇同士が触れそうな距離でする会話。


「…髪…わんわんが髪切る夢みた?」

「ああ(笑)長いな。良かった」

「うん」


笑われると思ったのに、ご主人さまは髪の先のほうまで指で梳いて、
「良かった」と言ってくれた。

柔らかい口調。
長いままの髪を確認して、ホッとしたみたいな口調。

ほわんと胸の奥があったかくなって、鼻の奥がツンと痛んだ。

息が詰まるくらい嬉しくて、また口唇に触れながらご主人さまを抱きしめた。

上唇を吸って、下唇を甘噛みして、舌を絡めて。

ご主人さまの手の平が、長いままの髪をくしゅくしゅと掻き混ぜるように撫でてる。


「あふ」


口唇の隙間から声がこぼれ落ちてく。

声がこぼれるのは、きっと気持ちが溢れだすからだ。
きっと。



あんな声で
あんな口調で


良かった、なんて言われたら髪なんて一生切れない。

切りたくない

切れない