夜の高速道路
隣にはご主人さま
「…あ」
「ん?」
「……つまらないこと」
「なに?」
「みんな…○○さんのこと、なんて呼んでるの?」
みんな…4人の女性たち
身篭った女性…わたしより1つ年下。
人妻…年は聞いてない。
旦那さんと仲良し。他にも男性がいる人。
他の男性とハプ/バーに行ったりする人。
わたしより15歳年下の若い女の子。
そして、わたし。
みんな、たぶん3年以上くらいのお付き合い。
「1人は○○君か○○さんだな」
名前に『君付け』か『さん付け』
「1人は■■さん」
名字に『さん付け』
「1人はクマさん」
あだ名呼びね。
「判った。ハプ/バーの人が名字呼びで、若い女の子がクマさんね」
「当たり(笑)」
……身篭った人は…わたしと同じ呼び方ね、判った。
判った。
「○○さんはみんなをなんて呼んでたの?」
「…んー」
「呼ばないの?」
「だなあ」
わたしも殆ど呼ばれたことが無い。
時々ワンワンと呼ばれるけど、殆どは「そっちが」とか、そんな感じ。
「わたしのことも名前で読んだのって何回か、だもんね(笑)」
「呼ばれたかった?」
「前に呼ばれたいって言ったよ」
「ああ…あの時は…図々しいと思ったんだよ」
「知ってる。あの時そう言ってたもん」
あの時…まだ知り合って数ヶ月だった。
私はずっと○○さんって名前で呼んでいたのに、呼ばれたことが無くて寂しく思ってた。
それを言うと、名前呼びは慣れてないって言われた。
あと、図々しい気がして…って。
▲▲さんって名字で呼ぶのはよそよそしい気がする。
でも○子って名前を呼ぶのは図々しい気がする。
そう言われたのだ。
「今なら○子って呼んでも図々しいと思わないけど」
「うん」
「呼び方を変えるって難しいんだよ」
「判るよ」
子供が、パパママからお父さんお母さんに変えるのも難しいもの。
「意識するから不自然な呼び方になるし」
「いま○子って言った時は不自然じゃなかったよ」
「そうか?」
「うん(笑)」
「○子(笑)」
くすぐったい。
わたし、ずっと○子って呼ばれたかった。
いま呼んでくれてる。
嬉しくて嬉しくて
…ちょっと悲しい。
嬉しくて、ちょっとだけ悲しい。