「ああ、明日ヒマになったよ」
わんわんの髪をいじりながらご主人さまが言う。
「え?」
「明日弟が都合悪くなった。空いちゃったなあ」
ちょっと意地悪そうに笑いながらご主人さまがそう続けた。
この言い方は、
『明日も空いたよ。会う?』ってことだ、きっと。
「明日もわんわんとデート?」
「寝てようかな(笑)」
「わんわんとデートね!」
「なんだよ(笑)」
仕方ないなあ…って顔で笑ってるけど、
ホントに寝てるつもりならヒマだって教えてくれるはずないもの。
ご主人さま、頭をなぜたりしながら言ってくれてるもの。
明日も会えるんだ…って嬉しくなりながら、ガストの駐車場に車は滑り込んだ。
席に通されたら、ご主人さまが「何食べる?」って聞いてくれた。
「わんわんラーメン食べたからお腹いっぱい」
「で、なに食べる?」
「…お腹…いっぱい」
「甘いもの?」
だめ。
ご主人さま聞いてない。
だって酔っ払い(笑)
「…じゃあ…プリンたべる」
「プリンー?これくらいガツンといきなさいよ」
ご主人さまが指してるのはプリンパフェ。
ああだめだあ…って思って、ちっちゃい声で「じゃあプリンパフェ」って返事した。
ご主人さまはカレーうどん食べてた。
きっと自分がお腹すいてたんだ(笑)
「今日は飲み過ぎた」
「うん、すぐ判った(笑)」
「ずいぶん飲んだからなあ」
食べながら他愛のない話しをして、
今日お友達と飲みながら話したことなんかを教えてくれた。
お友達さんは悩み事があった。
人間は、負の感情のほうが巻かれやすい。
…そういうことだと思う。
きっと、お友達と飲んで話して酔っ払って、
少し負の感情に巻かれたのだ、ご主人さまは。
わんわんとの会話の流れも、ちょっと怪しめになってきた。
「俺の駄目なところは」
…ダメなとこ?
「子供がいないところだ」
そうご主人さまが口に出した時に、胸を鷲掴みにされたみたいに苦しくなった。
ぎゅうぎゅうと、心臓を一握りにされているみたいだ。