ご主人さまと犬の、とある週末【20】つらい 2 | 夢 出会い 魔性

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日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




こころの中で(駄目なところだなんて…)って思いながら、
気の利いた言葉は1つも出てこない。


「俺のほうが気を使うよなあ?」

「え?」

「俺とお客さん」


お客さんっていうのは夫のこと。
ご主人さまの言っている意味がよく判らない。


「私がお客さんよりご主人さまに気を使ってるってこと?」

「違うよ。お客さんより俺のほうがわんわんに気を使ってるってこと」

「…うん、ご主人さまのほうがわんわんに気を使ってくれてる」

「なあ?そうだよなあ?」

「うん。○○さんはすごく気を使うよ」

「判らない人にはそうは見えないらしいが。好き勝手言ってると思われる(笑)」

「○○さんは気を使う人だけど、自分を曲げて気を使う人じゃないよ」

「…ああ」


わんわんはそこまで判ってるのか。
ご主人さまはそんな表情をしてた。


どうしたんだろう。
ご主人さまはこんな風に「俺の駄目なところ」なんて自分を否定するようなことは言わないし、
逆に「俺は気を使うだろ?」なんてアピールしたりもしない。


ぼんやりとした点と点が、さらにぼんやりとした線で私の中で繋がり始めた。



ご主人さまは、苦しいんだ。



ご主人さまは私の夫が普通では考えづらいほど自由にしていることを知ってる。

あんなフリーダムな人間より、俺のほうが気を使ってるのになあ…って、わんわんには聞こえてしまった。


「嫁なんてさあ」

「…うん」

「殺/してもいいんだよ。貰ったんだから」


酔っ払ってるからって、すごい暴言。
…って一瞬思ったけど、なんだか自分を責めてるみたいな口調だった。


「捨てたって何したっていいんだ」

「捨てたって思えば…いいんじゃない…離婚したんだから」

「俺が捨てられたんだ」


ご主人さまは苦しそうで、でも淡々とした感じで、それが余計に苦しそうで。

(あなた一体この人に何したの)

見たこともない女の人を、こころの中で少しだけ罵ってしまった。

それから、それで気が済むなら殺/されてあげたいなあ…って、ちょびっとだけ考えた。


「子供を残せない自体、俺は劣性遺伝子だな」