「降りて」
そう言ってご主人さまは、当たり前みたいな顔をして車を降りてしまった。
(なーんだ)
ひっそりガックリする犬。
カー/セ/ッ/ク/スするんだ!なんて考えちゃってたじゃない。
バツが悪いなあ、もう。
てゆか…
じゃあ、ご主人さまは何で「車を停められる場所」なんて言い出したんだろ?
ほわんほわんと頭の中を漂うハテナマーク。
あ、降りなきゃ。ご主人さまが降りて待ってる。
「あのね~」
バツが悪そうにエヘヘと笑う私。
「どした?」
「うん…カー/セ/ッ/ク/スするのかと思っちゃった。あはは」
馬鹿な勘違いは笑ってごまかしちゃえ!
きっと、頭なんかポリポリ掻いてたと思う。
「ああ」
ご主人さまは、なーんだ、みたいな返事を寄越してから、私の後ろ側に回り込んだ。
ガシャンガシャンと耳障りな音がした。
背中側からご主人さまに押されて、私の身体が駐車場のフェンスにぶつかった音。
「つっ…な、に?」
痛いほどじゃ無かったけど、反射的に声が零れる。
「車の中のほうが良かった?」
スカートの裾をたくし上げながらのご主人さまの言葉。
(っ!外でするんだ)
フェンスに押し付けられたままの身体が、ギクリと強張るのを感じた。