「末子が突然言った。“デザイナーって高田純次になるよね”」
(母は聞き返しました
)
末子が不意に、こんなことを言い出しました。
「なぜか、デザイナーってさ、歳とると高田純次っぽいイケオジが多いんだよね」
……え? 高田純次さん?
思わず聞き返してしまいました。
本人はいたって真面目な顔で、こう続けます。
「服とか話し方とか、あとあの“空気感”。
だいたいみんな、あの路線にいくんだよね。イケオジっぽく」
言われてみれば、たしかに。
末子のまわりはともかく、TVなどのデザイナーさんたちは、
ちょっと個性的で、でも軽やかで。
あの独特の“余裕”を感じる方が多い気がします。
「なんだろう、洒落てて、しゃべりが上手くて、ちょっとクセがあって」
「でもそれがなぜか、カッコよく見えるんだよ」
末子が挙げたのは、高田純次さんのほかに
竹中直人さん、稲川淳二さん――
なるほど、確かにイメージはわかります。
「じゃあ、末子も年を重ねるとそうなるのかな?」と聞くと、
「いや、それはちょっと…」
と、苦笑い
どうやら、自分が“そっち側”になるのは抵抗があるらしいのです。
「みんな好きだけど、自分がああなるのはちょっと違うかなって」
冗談のようで、意外と深い話かもしれません。
そのうち本当にそうなって、
私の前でセンスある軽口を叩いてくれるようになったら
それはそれで、ちょっと楽しみです。
今年の冬は癒されます