メキシコ🇲🇽の三姉妹による次世代ロック・バンド
ザ・ウォーニング
(THE WARNING)
左から
三女のアレ(ベース担当)
次女のパウ(ドラム担当)
長女のダニー(ギター/メインボーカル担当)
次女のパウが『MODERN DRUMMER(モダン・ドラマー)』という雑誌で
"Up And Comming部門"の読者投票で1位に選ばれたそうです。
Up And Commingとは、
新進気鋭の・将来成功しそうな・株が上がっている・前途有望な
という意味。
Upは「上昇⤴️」、Commingは「目標に向かって進んでいる➡️」ということらしいです。
『MODERN DRUMMER』誌は世界を代表するドラムマガジン。
カナダ🇨🇦の至宝RUSH(ラッシュ)のニール・パートやDream Theater(ドリーム・シアター)のマイク・ポートノイを表紙にするようなガチなドラム専門誌。
そういったガチな読者にもパウは一目置かれているようですね。
先月8月18日にローリング・ストーン誌スペイン🇪🇸版で特集された記事
メンバーの音楽性に影響を与えたアルバム10選から、その続き。今回は5枚目から。
5. Paramore(パラモア)
- Riot! (ライオット!)
(2007年6月12日発売)
私達はビデオゲーム『ロック・バンド』への愛を通してこのバンドと巡り合いました。
それ以来私達が素晴らしいと賞賛してきたアルバムであり、バンドです。
私達の最新アルバム『Error(エラー)』は、『Riot!』のプロデューサー、デビット・ベンデスと共に制作されました。
その象徴ともいえるアルバム『Riot!』サウンドの本質は間違いなく私達のロック魂を捉えて離しませんでした。
ザ・ウォーニングはTVゲーム『ロックバンド』(アメリカ版「太鼓の達人」みたいなゲーム)にダニーとパウが夢中になったことが全ての始まり。
こちらのソフト、『ロックバンド パラモアパック1』で遊んでいたのかも。
アメリカ🇺🇸テネシー州出身、
赤毛のボーカルヘイリー・ウィリアムス(Hayley Williams)を擁するバンドパラモア。
所属するレコード・レーベルはワーナー・ミュージック傘下のエモ/ポップ・パンクの老舗、フュエルド・バイ・ラーメン(Fueled by Ramen)。
レーベル名は直訳すると「ラーメン🍜が燃料源」。
レーベルのキャッチフレーズはどこかで聞いたような「No Food. No Sleep. Just Record.(食わず、眠らず、レコード一筋)」。
スカコアバンド、レス・ザン・ジェイクのメンバーが創設したレーベルにはフォール・アウト・ボーイやパニック!アット・ディスコ等が所属。
この辺りのバンドはザ・ウォーニング(特にダニー)が大好きと公言してますね。
日本のONE OK ROCK(ワンオク)の海外レーベルもこちら。
以前ブログにパラモアについて書いたんですけど、
その後ザ・ウォーニングもパラモアのヘイリー・ウィリアムスに影響を受けている、と別の記事を読んでびっくりした記憶が。
パラモアは初期のエモ/ポップ・パンクからはかなり音楽性が変わって今POPなスタイルになってます。
個人的には1st〜3rdアルバムの持つ、吐き出すようなエモな激情と際立ったポップさの絶妙なブレンドが好きなんですけど。
エモ時代のヘイリー・ウィリアムス
『Riot!』は2ndアルバム。本当によく出来たアルバムです。
そしてパラモアといえばやっぱりこの収録曲。
Misery Business
YouTubeで2億6千万回も再生されているパラモアの代表曲『Misery Bussiness』なんですけど、
実は2018年からヘイリーがライブで歌うことを自ら封印していた曲だったそう。
歌詞に
"Once a Whore ,you're nothing more"、
つまり「一度売春婦になったらそれ以上になれない=ひどい女は一生そのまま」という一文があって、
"Whore(売春婦)"という単語から、『反フェミニスト』といわれの無い誹謗中傷を受け続けてウンザリしてしまったヘイリーが、この曲を歌うのを止めてしまったそう。
しかし2022年のライブツアーでこの曲の封印がとうとう解かれ、会場は大盛り上がりになったようです。
『Misery Bussiness』は、ヘイリーの友達だった娘が、ヘイリーの男友達を誘惑して取り込んで男友達の態度が変わってしまったことに失望した、ヘイリー自身の実体験を曲にしたもの。
ひどい女友達の曲だと知っていれば、どっちが悪いかなんてすぐ分かるんですけどね。
同じく『Riot!』収録曲
That's What You Get
歌詞も「Wow Wow」の合唱もエモくて泣ける一曲。メロディが良いです。
ヘイリーといえばやっぱり2009年のサマーソニックのライブが好き❤️。
セーラー服とエモはやっぱり合う!ということが実証された画期的(笑)なライブでした。
2005年7月26日発売の
1stアルバム『All We Know Is Falling』収録曲
「All We Know」は、
初期フー・ファイターズのようで以降の楽曲とは少し曲調が違いますが、これはこれでカッコいい曲です。
All We Know
1stアルバム発売時ヘイリーは17歳。
他のメンバーも10代でした。
3rdアルバム『Brand New Eyes』からはこちらを。
2009年〜2010年に世界中をツアーした時の映像で編集されたMV(多分)。
このMV、2箇所見た事のある場所が出てくるんですけど、
渋谷スクランブル交差点と道頓堀のえびす橋ですね。
話は変わって、
1980年後半から1990年代に一世を風靡したアシッド・ジャズ/ファンクムーヴメントの急先鋒、
イギリス🇬🇧イングランド🏴(このバンドもイングランド!)のインコグニート(Incognito)のおしゃれなこの曲を。
Feel The Real
この曲、デヴィッド・ベンデス(David Bendeth)という人が1979年に発売した曲のカバー曲。
そう、このデヴィッド・ベンデスこそパラモアの『Riot!』やザ・ウォーニングの『Error』アルバムを共に制作したプロデューサー。
現在のデヴィッド
元々ジャズ畑のギタリストで、ディスコミュージックの他、クロスオーバー/ジャズ・ロックのミュージシャンでもあるこのお方もイギリス🇬🇧イングランド🏴出身だそう。
レジェンドジャズ・ドラマー、ビリー・コブハムとも共演してます。
内容はまごうことなきジャズ・ロック。
このライブのベースライン、単調なのに相当えげつないです。
ビリー・コブハムは元マハビシュヌ・オーケストラのメンバー。
初期ジャズ・ロックの金字塔、アルバム『火の鳥(Bird of Fire)』(1973年)に参加、
マハビシュヌ・オーケストラの同僚ヤン・ハマー(キーボード)や
後にディープ・パープルのギタリストになるトミー・ボーリンが参加した、
ビリー・コブハム初のソロ・アルバム
『スペクトラム(Spectrum)』(1973年10月発売)もジャズサイドからのジャズ・ロックとして名盤指定されている逸品です。
10曲でたった36分ですけど濃厚ですね。
話は戻って、
2020年9月に投稿された
ザ・ウォーニングマキシシングル『MAYDAY』(2021年10月8日発売)レコーディング時のインスタ。
コロナ下にデビット・ベンデスが所有している、パラモアもレコーディングしたニュージャージーのスタジオに赴きレコーディングに挑んだ記録です。
こちらも『MAYDAY』レコーディング時のメイキング。全6エピソードある内の第1エピソードを。
マキシシングルに収録された6曲は、全て同じバージョンで3rdアルバム『Error』に収録されました。
ハーイ、ダニーだよ。
ハーイ、パウだよ。
ハーイ、アレだよ。
私達はザ・ウォーニング。
パウ
この3枚目のアルバム、正直自信を持って
私達が作ったんだ、って言える。
ルディ・ジョフリー(マネージャー)
ニューアルバムを表現するとしたら
「ステロイドで強化したザ・ウォーニング」
といったところかな。
デヴォン・オコーナー(ラバ・レコードA&R)
彼女達、私が今まで見たことのないくらい楽器を演奏してたわ。
アルバムを聴いたら分かる。これがロック・バンドなんだって。女性のチンピラでもないし、いわゆる「若者のバンド」でもない、ロック・バンドだって。
ルディ・ジョフリーがデモテープを持ってきたの。
「この演奏が女の子達?冗談言ってんの?」って感じだった。
ルディ、あなた達ひどい曲は絶対書かないの?
ルディ
レベチだね。
ザ・ウォーニングはレベルが違うんだ。
ダニー
デヴィッド(・ベンデス)とリック(・カーソン)と一緒にアルバムに取り組んでるとき、最初は緊張したな。
私達はどう聞かれたいかわかってたから。
パウ
私達はデヴィッドがこう言うんじゃないか、と心配してた。
「ダメだ!全部嫌いだ!」
「別の事をしよう」と。
そうなったら、私達の曲のために闘う準備は出来てたんだ。
ダニー
私達はデヴィッド達にはっきり言ったんだ、
「私達超うるさいよ」
「うるさくってごめんね」って。
デヴィッド(・ベンデス プロデューサー)
どれだけ意見を押し通せるかな?
って初日に試したんだ。
「僕はこの曲好きじゃない」って言ったら、三姉妹が僕の真ん前に立ちはだかって、3人同時にスペイン語で「わーっ!」ってまくしたてるんだよ。
リック・カーソン(レコーディング・エンジニア)
夫婦のいつもの言い合いとギャングのメンタリティをごっちゃにしたみたいだったね、僕からすればね。
知ってるかい。
彼ら大所帯でここまで来たんだ。
デヴィッド
雌ライオンの群れのように。
まるで獲物を追い詰めるかの如くにね。
パウ
私もそう思うな。もし私達が姉妹じゃなかったら
バンドはすぐに脆く壊れてしまってたと思う。
ルディ
三人それぞれが音楽的な才能を持ってる。こんなに若い年齢でもね。
三人は姉妹なんだ。心が繋がっている。
ルイス&モニカ(三姉妹の両親)
信じられません。彼女達は私達の娘なんです。
いつの間にかこうなったんです。
パウ
家族と一緒にバンドにいられるのは素晴らしいこと。
アレ
私達はいつも家族として生活してるんで一人別れて生活することが不思議なことに思えます。
「なんてこと!」
そんな不思議な気持ちが(今回家族全員で移動したことで)私達全員に起こったんです。
デヴィッド
私はスタジオに缶詰にされたバンドと3ヶ月過ごすことに慣れてる。
だが、これまでミュージシャンの両親がスタジオにいたことは無かった。
かつてこんな経験をしたことがないね。
私は「家庭教師」でしかなかった。
本当の自分自身にはなれなかったね。
私は試行錯誤の中で不適切な発言をしたりもする。通常私をムービーでなんか撮影してないから。
私の残りのキャリアでこんな事は二度と無いだろうね。
ジェイソン・フラム(ラバ・レコードCEO)
私には彼女達が仕事中毒にみえてならない。
だけどそれが彼女達の夢であり、彼女達の運命ならば超えてくれると思う。
ルイス&モニカ
このアルバムは彼女達が成し遂げたものの中で最高のもの。
私達が親だから、という理由なんかではありません。
それは信じられないものが出来た、という感覚からです。本当に素晴らしい。
デヴィッド
彼女達は理解したんだ。
ここが「トレーニング・グラウンド(練習場)」
である事を。
パウ
こんなリズム取ったことがない!
デヴィッド
そのギター音はまるでシンセサイザーのようだ。
デヴィッド
(ダニーのボーカルに)おー、なんてパフォーマンスだ。美しい。なんて声だ!
あなたはとても特別な声を持っている。
デヴィッド
私が制作するレコードは一定の水準を常に維持している。
彼女達はその通過儀礼を果たした、って訳だ。
アルバム全てのプレイでね。
リック
彼女達がいうことを聞くのは結局は彼女達自身のみなんだ。わかるかい?
彼女達は自分たちでこれまでのプレイを自ら破壊してこのアルバムを作り上げたのさ。
パウ
デヴィッドと一緒に作業する中で、私達自身を新しいレベルに引き上げることが出来てホントに満足してる。
みんなに聴いて貰えるんで超興奮してる。
私達がやってきたことをとても誇りに思ってるから。
レコーディング時のハロウィン🎃の映像。
馴染んでます。
YouTubeを見ると公私に渡り、デヴィッドとザ・ウォーニングとの関係は今だに良好のようですね。
〈その5に続く〉