豪州・個人住宅建築様式 その1 | SKYのブログ

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オーストラリア、シドニーから

豪州に移住した直後、ヨーロッパに似た美しい街並み、緑豊かな街路地、紺碧の空、なんと恵まれた環境かなと思いましたが・・・・落ち着いて、近所の住宅街の建築様式をじっくり見ると・・・・ “これはダサい!” ・・・・というのがその後の印象でした。モダンな外観設計の建築様式を見ると、若者達は「ナウい・かっこいい・クール」などと云いますが・・・・それとはほど遠い外観です。

200年前、イギリスから入植した英国人達がレンガ造りの個人住宅をシドニー郊外に本格的に建築したのは1880年以降からですが、以来100年間殆ど類似の外観設計。 数十年前からモダンな設計が採用されるようになりましたが、古い建築様式から抜け切れません。この国の古い住宅は 耐震仕様の必要がないので、英国風レンガ積みの平屋のフェデレーション様式が一般的です。


英国系オージーの人達はバンガロー風、またはカントリーコテージ調の建物に好んで暮らしています。「人口増にて、平屋ではもったいない」という声で 家を建て替える(日本で云うリフォーム・Renovation リノベーションと云います)際に2階建てを考えるようになりました。 1980年頃までは、土地が広い郊外住宅では2階建ての発想がなかったのです

シドニーの住宅街の個人住宅の建物の殆ど “ロマンテックでない”・・・といえば言い過ぎですが建築美に乏しいようです。

ところが、お知り合いのお家を訪問した際に、玄関から内部に入ると 落ち着いたきれいな内装で一流ホテル並みの仕様、とても驚きました。部屋の中はすっきりとセンスよく装飾されて、ゴチャゴチャしたものも余りなく、シンプルにコーデネイトされていました。ただ、悲しいかな、外観の設計がフランス、トイツに比べると “カッコよくない” のです。



料理はイタリア系(ラテン)に遠く及ばず、車などのデザイン力はドイツ系(ゲルマン)に劣ると云われていますがその通りかも? 

まずい食事でも、見かけの悪い家でもあまり気にしないアングロサクソン系民族の特徴なのなのでしょうか?・・・

    「質実剛健」という言葉はドイツ人の代名詞と思っていたのですが、英国人の方がなんとなく ピッタリ当てはまりそうです。

    

   

シドニー中心地から車で5-6分、Paddington パデングトン という住宅街の西洋長屋があります。

 アイアンレースと呼ばれる、繊細なレース模様の鉄柵が小さな家々のテラスを飾っているのが この地区の特徴です。

敷地面積40坪前後なのになんと、なんと、1戸1.7ミリオン (17千万円) もするバカ高いお家です。

この5軒の長屋を全部買ったら、8.5億円もするのです。 恐ろしや・・・・

市心の特別地区を市役所(カウンシル)の特別采配によりクオーターエイカーの土地を細かく分譲した一等地です。しかも駐車場なし。

ロンドンの横続きの英国式長屋住宅も通常6軒程度が1棟で繋がっているテラスハウスが多いのですが、シドニーも同じ雰囲気です。

但し、1970年以降に新築された長屋住宅は駐車場スペースを設計図に入れないとカウンシル(市役所)から建築許可が下りないようになりました。

パリの路上駐車はひどい状況ですが、シドニー市街地の路上駐車も負けていません。但し、100% 有料駐車(コインを入れる)です。

この地に昔から住んでいる住民には特別のステッカーが市当局から無料で配布されてフロントガラス前に掲示しておくと「駐車違反」は免れます。

自分が好んで住んでいる街を悪く云うつもりはないのですが・・・・・シドニーの住宅事情はとても厳しいのが現状です。

早い話が、個人住宅の価格が日本の2倍から3倍するのです。 とくに1996年頃から毎年、どんどん住宅価格が上昇して、急速な伸びは鈍化したものの未だに高止まりです。標準的なシドニー北地区の住宅街はフェデレーション、カントリースタイルFederation Bungalow Style Country cottage Styleとも、1.5ミリオンはします。 

つまり1億5千万円もするのです。 日本流にいえばハーフミリオンのお家です。つまり5000万円程度のお家です。 敷地は800m2(240坪)と広いのですが、この国は土地の広さは余り問題ではありません。 立地、環境が優先します。


シドニーの一般家庭の平均年収は(夫婦共働き)併せて8万ドル(800万)位ですが、もし、幸運にも80万ドル(8000万円)の家がローンを使って購入できたとして・・・ざっと計算すると、頭金1割用意して残りローン組んだとして、30年ローンで変動金利6%だとすると、毎月の返済が$4000ドル以上(40万円以上)。これはきついですよね。

なぜかと云うと、豪州では8万ドルの年収から税金(一番安い税率36%)を差引くと手許に残るのは5.1万ドル(510万円)だけです。 家賃にほぼ全額とられます。

要するに親から引継いだ財産でもない限り、普通のサラリーマン家庭では持家はとても難しいということなのです。    *1豪州ドル=¥100

不動産市場の高騰に伴い、ビルダー(建築業者)も困っています。 

豪州のビルダーはほとんどが個人営業で、セキスイ、ミサワ、ダイワハウス、一条工務店などの全国組織はありません。 

日本の住宅は規格化された便利な製品が豊富にあるので3か月程度で完成するのですが、シドニーでは新築の場合、建築資材がオーダーメイドなので最低1年以上かかります。

数年前から省エネルギー住宅で知られる一条工務店、地元業者と合弁でセントラル駅周辺の住宅開発プロジエクトを組んだセキスイハウスが進出してきましたが、日本式の組織化された住宅建築工法は、住宅需要は大いに見込めるとはいえ、軌道に乗るまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

住宅用の土地が高い為、施主は建築資材を削ります。例えば昔はダブルブリック(2重レンガ)が当たり前でしたが、昨今はシングルブリック(1重レンガ)なので防音効果も耐熱効果も半減、断熱材まで始末するありさまです。  たた、最近は一流の設計士が移住するようになって、新しいお家は素敵なデザイン、斬新なデザインも増えました。

今の建築業界を一言で云えば・・・外見はカッコが良いのですが、防音効果、耐熱効果がわるい。 対して昔のお家は外見はカッコ悪いが防音、耐熱効果抜群と云えます。