ゲーム内容 『どきっ☆生きるか死ぬか?人生ゲームA72」
ゲームルール
・ゲームは2人1組で行う。
・ルーレットは、2人のうちどちらが回しても構わない。
・人生ゲームのルールにちゃんと従うこと。
・妨害アリ(相手を蹴る・殴る・ルーレットが止まりそうな時、息で回したりとか)だが、動かしたコマを勝手に違う場所に移動するなどのことは禁止。
・人生ゲームで1位になったペア2名が店員の顔を見れる。
・1位と2位を交換したりすることは駄目
・例え神威が1位で店員の顔を見れようが見れまいが、銀時はこの店で一番高い商品を2つ買うこと。
・店員と誰かのペアが1位の場合、銀時はこの店で一、二、三番目に高い商品を2つずつ買うこと。
「いいか?以上がゲームルールだ。さぁ、この割り箸を引け。書いてある番号が同じ人とペアになれよ。はい、銀さん、あぶさん、ぱっつぁん、神楽、兄さんの順で並んでー」
順番を行っておかなければ争いにでもなると思ったのだろうか。
店員は一人一人の順番を決め、順番通りに引かせていった。
そしてくじ引きの結果……
銀時&新八(白)
店員&阿伏兎(青)
神楽&神威(赤)
となった。
銀時、新八、阿伏兎、店員に異論はないが…神楽は文句大アリのようだ。
「何で私と神威がペアアルか!
やり直せヨ!」
「バーロー、くじで決まったモンはしょうがないだろ。
さーさっさと始めようぜー。まずは銀さん達からだ。」
神楽の抗議を軽く受け流し、さっさと店員はゲームを進めはじめた。
銀時がルーレットを勢いよく回す。
たまーに強く回しすぎると、ルーレットが上手く回らないことがあるので気をつけてね。
「お、6だ。幸先いいぜこりゃ」
銀時が白いコマを掴み、6つ先のコマへと進めていった。
最初は職業選択だ。
結構最初って重要なもので、ここで歯医者とか弁護士とかになると高収入がもらえる。
だが…
「ん?何々…"おめでとう!君はコンビニのアルバイトだ!しかも週一だから家でゆっくりしてられるぞ♪"」
こういうハズレに止まると、もちろん低収入だ。
「うぜぇぇ!なんだよコレ!っていうか何で週一でコンビニのバイトなんだよ、別に家でゆっくりなんかしたくねーんだよ!」
「まぁまぁ、ゲームってのは大体こんなモンだぜ。次は俺達の番だったな…あぶさん回すかい?」
阿伏兎のあだ名がいつのまにか"あぶさん"になってる。
しかも違和感がないので、阿伏兎も自分が"あぶさん"だと認識しているところがまたすごい。
阿伏兎は回すか、ときかれたが、生憎自分はそんなにゲームがしたいわけでもない。
店員に譲った。
譲られると、店員は頷いて勢いよくルーレットを回した。
出た数は…4だ。
「えーっと4は……"海賊王に、君はなれ!船の会社が君の働き場所だ。簡単にいうとサラリーマンってとこだね"」
「いや海賊王関係ねーだろ!結局はサラリーマンじゃねーか!しかも海賊王って明らかにワンピースじゃねぇか!」
N(ナレーター)の後ろに丁度ワンピースがあったのだから仕方ない。
次は神楽&神威の番だ。
神威も一応兄なのか、回したそうな妹に譲った。
神楽は力任せにルーレットを回した。
ガガガ、とルーレットは引っ掛かってしまい上手く回らない。
出た目は…
「3…"テレビスタッフと周りの観客さんの協力がとっても大事!マジシャン"アル」
「……何て目を出してんの神楽」
「ってテレビスタッフと周りの観客さんってなんだよ、明らかにコレ最近読んだ本で"えー、○○ってこういう手品だったんだ…すげー夢壊れるわー"的な作者の感情まじってんだろ!」
「細かいことは気にすんなぱっつぁん。作者もホラ、小説全てを今日描いてるから色々テンパってんだよ。しかも人生ゲームとかって題材使ってる割には、作者人生ゲーム持ってねーし。
ネタ考えるのも一苦労なんだろうさ。よっ」
一つ一つに色々突っ込みを入れる新八に対し、ちゃっちゃとゲームを進める銀時。
突っ込み役の大切さを、今N(ナレーター)は実感している。
ちなみに、この人生ゲームでは職種決定後、「最初の給料日」のマスに行き、給料を貰ってから全員出発だ。
なので1順目にどんな目が出ようが、進む速さは2順目からしか関係がない。
銀時が回して出た目は、またもや6だ。
「オイオイ、またロクでもねー場所なんじゃねーだろうな」
「えーっと…"電柱にぶつかり病院に行く。一回休み"
何で電柱にぶつかったぐらいで病院行ってんだぁぁぁ!つーか開始2順目一回休みってどういうこと!?」
「しゃーねーって、そういうゲームだ。
あらよっと…2か。あぶさん、何て書いてある?」
コマを動かし、マス目に書かれた文字を読み取る。
書かれていた文字は……
「ん~?"ToLOVEるを見るため家に。一回休み"」
「だから何で一回休みなんだよ!一回休みの頻度どんだけ高いんだよ、6マス中2マスに一回休み入ってんじゃねーか!」
「安心しろぱっつぁん、銀さんたちがいるところ以降は一回休みは出てこねぇはずだ」
新八の突っ込みに対し、ちょこっとしたゲームの説明を入れる店員の後ろ、神楽が「ToLOVEって何アルか」と神威にきき、神威は「…神楽にとって悪影響のあるものだよ」と答えていた。
「次、俺が回すね」
カラカラカラ…
あまり強く回すと神楽のように失敗すると分かっているのか、控えめの力で回す。
それでも結構勢いよく回っているのだけれど。
出た目は4。
「えっと…"電車でおばあさんに席を譲ろうと立ったことでバランスを崩し転倒。一回休み"」
「何やってるアルか神威ィィ!」
「だから一回休み多いんだよ!もう一回休みはいいんだよ!っつーかコレ良く見たら最初の6マス全部一回休みじゃねーか!やる意味あんのか、つーかやる気あんのかコレ!」
「このゲームはな、まず興奮したプレイヤーの興奮を覚まさせ、客観的に物事を捉えさせるためまず一回休みをいれてプレイヤーを冷静にさせるという心遣いがさせられているんだ。」
「どんなゲームだァァァァ!」
――ゲームも佳境に入ってきた。
え?ゲームの進行が早いって?
そこらへんは全部スルーして、本当。
N(ナレーター)土下座して謝るから。
「うらぁ!2出ろォ!」
銀時たちが使う白コマの2マス先には、「宝くじで大もうけ!10万円GET!」の文字が。
このゲームでは最後に持っている金額が一番高いものが優勝である。本当、お金って大事だよね。
本来なら、銀時たちは神威に「店員の顔を見ることがお返し」と言われているのだから、銀時たちは神威&神楽ペアに協力し、できるだけ自分たちはあまりお金を稼がない方がいい。
だが…そんな思念はもうどこかに吹っ飛んでいるようで、ゲームに夢中だ。
ルーレットもそんな銀時の情熱に押されてか、2に止まりそう。
だがしかし、そんなことは神威と神楽がさせない。
「兄ちゃん!銀ちゃんを抑えるネ!」
「神楽、ルーレット!」
と、神威が銀時を抑えつけ神楽の邪魔をできないようにし、その隙に神楽が2に止まりそうだったルーレットを再び回す。
見事な連携だ。
この妨害により、出た目は4。
「ああぁぁぁぁ!!」
4マス先のマスに書かれていた文字は"競馬で大損(´・ω・`)10万円損しちゃった…"。
人生楽ありゃ苦もあるってことだ。
「競馬のマスにさえ止まらなければ俺は充分だ!」
カラカラカラ…
店員がルーレットを回し…1が出そうになる。
1マス先には…"迷子の仔犬を保護。お礼に5万円GET"の文字。
もちろんソレを見た銀時が妨害しようとする。
「仔犬助けたぐらいで5万も貰ってんじゃねェェェ!」
ルーレットを再び回そうとする、が…
「させるかァ!あぶさん頼んだ!」
「すまんな、させねーよ」
阿伏兎が銀時を抑えつけ…ルーレットは1に。
「ハーッハッハッハァ!5万円GETだぜ!」
「くっ…!兄ちゃん、5出せば10万アル!」
念を込め、勢いよくルーレットを回す神威。
目は2、"財布を拾い、1000円GET!"の文字が。
5万を前に1000円なんて妥協できるわけがない。
「ほあたぁぁぁぁ!」
神楽がもう一度シュパァッともう一度回し、そして神威が鮮やかな手つきでルーレットを動かし、目を操る。
出た目は5だ。
「10万円GETー」
「やったアルな、兄ちゃん!」
この2人の連携は鮮やかだ、2人がハイタッチすると、いい音が店内に響く。
そしてゲームはもうゴールへと近付いていた。
今一番ゴールに近いのは神楽&神威ペア。
二番目が店員&阿伏兎で、三番目が銀時&新八ペア。
金銭的にもこの順だが、大差ない。
ゴールした順で1位・2位が決まるだろう。
まず、銀時がルーレットを回す。
8が出れば…銀時たちの勝ちだ。
「いけェェェ!俺のバーサーカーソウルゥゥゥ!」
バーサーカーソウルはこのゲームにひとっつも関係ないのだが、何か語呂が良かったから言ったらしい。
つーかバーサーカーソウルって遊戯王に出てくるんだよね。
気になる人はレッツ検索☆
目は………4。が出そうになる。が…
「まだだァ!」
銀時が再びルーレットを回そうとする、が…
「させないよお侍さん」
「させないネ銀ちゃん!」
神威と神楽、2人からのキックを喰らい…出た目は5。
新八がマス目に書かれた文字を読み上げる。
「"もうすぐゴールだからって浮かれてるとロクなことがないよ。もっと人生慎重に行かなきゃ。働いていた会社が倒産、働き場所がなくなったことで妻子にも逃げられ、親からも見離される。スタートに戻る"
何でだよォォ!何でここに来てスタートに戻るなの!?」
「詰めが大事ってこったよ、ぱっつぁん。
行くぜ!セリエス・ルーキスゥゥゥ!」
店員&阿伏兎ペアは7が出ればゴール。
多分セリエス・ルーキスは「光の7矢」っていう魔法があるから言ったんだろう。
ちなみに出典はネギま!である。
目は…7に止まりそう。
だが黙って見ていないのがコイツ等で…
「させるかァァァァ!」
「この世は弱肉強食アル!」
って感じで銀時と神楽が飛び掛ってくる。
しかし2人に物怖じしない店員と阿伏兎。
店員は銀時の顔にパイを投げつけ、前が見えなくなった銀時が落下。
神楽は神楽で阿伏兎に足止めされ…
見事7が出た。
「クックック…ゴールだ!
お前等のペアのどちらがゴールしようが、俺たちに金銭的に届くことはねぇ!
この勝負……悪いが俺たちの勝ちだ!」
店員と阿伏兎WIN。
銀時と新八は床に崩れ落ちる。
ゲームに勝てなかったってのもあるんだろうが、何よりショックだったのが出費の方だろう。
この店で一番高い商品といったら、5万円の「ウルトラスーパースペシャルデラックスジャンプ」だ。
どんな商品なの?と言うと、ケーキにプリン、チョコとかパフェとかが、上手い具合に組み合わされている一品だ。その重量は10kgにもなるらしい。
実際買った…というか、食べた奴は一人だけだそうだ。
「あ、ところで質問なんですけど…買ったペアが店員さんの素顔を見れるんですよね?店員さんのペアが勝ったってことは、阿伏兎さん、店員さんの素顔見れるんじゃないですか?」
新八が床に崩れ落ちた体勢のまま、一つのことに気づいた。
店員の素顔だ。
このゲームでは「・人生ゲームで1位になったペア2名が店員の顔を見れる。」というルールがあった。
しかし買ったのは店員ペアだ。ということは、勝った奴である阿伏兎は店員の素顔を見れるのでは…ということだ。
店員はすっかりそのことについては忘れていたようだ。
「あぁ…そっかそっか。そうだったそうだった。
そんじゃぁ、あぶさんには見せるかぁ。あぶさんちょっとコッチ来て」
「いいなぁ阿伏兎」
「兄ちゃん、阿伏兎にあとで店員さんの似顔絵描いてもらうアル」
「でも神楽、阿伏兎にそんな画力があるとは思えないよ」
「それもそうアルな」
「うるせーぞそこの兄妹!」
阿伏兎に対して冷たい言葉を言っていると、阿伏兎に怒られた二人。
「うるさいね、アイツ」という表情で顔を見合わせている。
まるでちょっとしたイタズラで母親に怒られ、不貞腐れている幼い兄妹のようだ。
一方、阿伏兎と店員は店の奥にいた。
他の奴等に見られないように、だ。
店員はやっと気が緩んだように息をつき、面を少しだけ上にあげて地声で話した。
「ふぅ…良かった、なんとか勝てて…」
その声は、阿伏兎にとって聞き覚えのある声だ。
店員は、後頭部に回された紐をゆっくりと上にあげ、面をとる。
「お…お前さん…」