若干揺れたものの、天候そのものは
良かった昨日、都心上空を飛んだ。
6年前のあの日、仕事とはいえ、
故郷が津波に呑まれていく様子を
上空から観測していた自衛隊の
ヘリパイロットは、どういう気持ち
だったのだろう?
浅草から南下中、左手に見えた
クローズドな地区。荒川と隅田川に
東西と北を塞がれ、南は海。この
閉ざされたエリアが72年前の3月
10日、人も建物も完全に焼き
払われた。今でも整然と碁盤の
目が見えるのは、何もなくなって
しまったところに道路を引いてから
街を復興させたから。
震災は天災。戦災は人災。
どちらもたくさんの市民が犠牲に
なり、どちらも責任ある地位の
人間は逃げに徹した。
空から見る東京はあまりにも小さい。
どうかこの町、私の故郷が、天災
からも人災からも無事でありますように。
一瞬だが、コックピットで眼を閉じ、
犠牲者の冥福を祈った昨日。