甲子園では球児たちが汗に
まみれて熱戦を繰り広げ、
地球の裏側では日本を背負った
選手たちの快進撃が続き、私も、
職場も、地域も、そして日本
全体が沸き返っている。
五輪代表を地球の裏側まで
送り届けたその翼、赤い鶴が、
31年前、500人以上の命を
救えなかったことを覚えて
おいでのかたはどれくらい
おられるだろうか?
相模湾に浮かんでいた鶴丸、
山腹に鈍い銀色を放ちながら
横たわった赤い丸とJALの文字…
そういえば、昨年コメントを
いただいていたおりひめさんには
お返事を返していませんでした。
あの時の非礼をお許しください。
お住まいの近くの群馬県境の山。
お心を痛めたことでしたでしょう。
忘れないこと、思い出すことが、
故人への最大の供養だと聞いた
ことがある。我々航空に携わる
者たちにとっては、忘れようにも
忘れられない事件。そして、それは
年に1度、更なる航空安全への
思いを新たにさせていただける日と
思い、毎年、18時56分に、家の
ベランダから見える西の山に
向かって航空安全への誓いと
鎮魂を願う祈りを捧げている。
奇しくもお盆。救出された当時
中学生だった少女も既に40台半ば。
遺族の中には鬼籍に入られた方も
いるだろう。 あちらで犠牲になられた
家族と再会できているだろうか?
五輪の熱戦の続く時間に水を差す
ようで心許ないが、もし、あの事件を
覚えておいででしたら、どうか私と
一緒に、18時56分、目を閉じて思いを
馳せてくださいませんか?
もしかしたら、一緒にリオを、そして
東京に戻ってくる五輪を観ることが
できたかもしれない魂たちに。