知られる未来ではなく、私たち自身の
道義的な目覚めとなる未来」
人にはいろいろな考え方があるから
受け取り方も違うだろう。しかし、私は
昨日の「ヒロシマ演説」、キング牧師の
「I have a Dream」、ジョン・F・ケネディの
「Let's Begin」に匹敵する、歴史に残る
名演説だった思う。
残り数ヶ月の大統領の演説かもしれないが、
彼が来たこと、見てくれたこと、そして語った
ことは、歴史に大きな足跡を残したはずだ。
間接的な表現であったが、原爆投下が
道義に反していたのではと初めて言及した
アメリカ大統領だ。彼もいろいろと考えて
くれたのだろう。よく言ってくれたなと思う。
そして、あの被爆者との抱擁。もしかすると、
最初は話をするだけだったのかもしれない。
資料館の中を見た大統領だったからこそ、
自然にああなったのではないだろうか?
あれはパフォーマンスではない。「合衆国
大統領」という肩書ではなく、バラク・オバマ
という、一人の人間から出てきたような、
自然な抱擁だった。そして両者のあの笑顔。
勝手な推測にはなるが、被爆者の方たちも、
わだかまりというか、そういったものを心に
持ったまま過ごしてきた状態から、少し
解放された瞬間だったのではなかろうか?
逆にアメリカの保守白人層は完全に出し
抜かれたな結果となった。歴代白人大統領が
してこなかったことをアフリカ系アメリカ人、
黒人の彼はやってのけた。そして、被爆者が
この訪問を受け入れてくれたことで、本当の
「終戦」が一歩手前までやってきたような
気がした。
今回のオバマ演説、もうひとつ(良く練られて
いるな)と思ったことは、冒頭のフレーズで、
間接的に原爆投下を批判したばかりではなく、
日本国内にくすぶる核武装肯定派と、多分
次期大統領になるであろう白人のチンチクリンに
強烈な楔を打ち込んだことだ。だてにノーベル
平和賞はもらっていない。
今は多くの人がピンと来なくても、この演説は
数年後からじわじわと効いてくるような気がする。
そして、中学高校の英語の教材として使用しても
良いくらいの格調高い文章だった。
広島、長崎の78%の世論がオバマ大統領の
訪問を好意的に捉え、(これが全員の総意では
なかろうが)被爆者自身が「来てくれるだけで
いい」と語った昨日という日。この1枚の写真が
全てを語ってくれると思う。アメリカのメディアは
どう報じるだろうか?
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とりあえず「謝罪だ! 賠償だ!」と騒いでいる
民族もいるようだが、日本人の気質を垣間見た
今回の広島訪問だったように思う。個人的には
これは大成功だったと見る。内政では随分と
難儀したようだったが、バラク・オバマ、8年間の
任期最後の「チェンジ!」はアメリカはおろか、
世界を変えかねない鍵を残すものとなった。