大東亜戦争末期、航空機はパイロットを
乗せたまま、「機動ミサイル」として敵に
体当たり攻撃を仕掛けていった。
というか、仕掛けるよう強制された。
パイロットの練成は、そう容易ではない。
特に一番難しいとされるのは、進入~着陸。
戦争末期に航空学生になった者たちは、
促成栽培とばかりに離陸と空中での基礎
機動(上昇・降下・旋回・水平飛行)しか
教わらず、感覚を掴むまでに時間がかかると
言われる着陸は練習しなくてもよかったと
聞いたことがある。
出撃命令が下り、離陸したらもう、2度と
地上に戻ってくることはなかったから…
飛行機乗りが飛行機壊してどうするんだ!
もう、そんなことをする必要はない。私の
訓練生たちは、私に口汚く罵られながらも(笑)、
きちんと着陸を覚え、単独飛行に出て、全員
無事に帰ってくる。
行って、帰ってくること。
上がったら、降りてくること。
これを教えることが出来るということは、
祖父のころに比べれば、どれだけ幸せな
ことなのかと、この時期には思い出す。
もう、2度と特攻なんかさせてはいけない。
空のためにも、命のためにも。