空に避難所はない | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

PTD ~ Pilot To Dispatch ~

ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 一度上がった飛行機は「着陸」するか
「不時着(あるいは墜落)」するかの2通りしか
地上に戻ってくる術はない。
 
 あの日、東北周辺だけではなく、成田、羽田も
次々と閉鎖になり、中部や関西まで飛ぶ燃料が
持たなかった機体は緊急事態を宣言して関東
平野で唯一長大な滑走路を持ち、運用を継続
していた在日米軍横田基地に舞い降りた。
クルーたちは何もない大海原に浮かぶ一本の
流木にとまることのできた渡り鳥のような気持ち
だったのではないだろうか?
 
 空に避難所はない。スケジュール運航の
合間を縫ってこのような緊急着陸機を受ける
作業は時間との戦いである。スポットの確保、
燃料、給水などの手配、航空機の位置を頭に
描きながら機体の大きさ、重量を計算して
舗装の耐圧を超えないような誘導路や駐機場を
設定していかなければならない。無事故が絶対
条件の下で航空機の避難所にならなければ
いけないのだ。
 
 翌日からの捜索・救難、物資の輸送… 
どれだけの飛行機が東北の空を舞ったか…
警察が、消防が、自衛隊が、在日米軍が、
航空局の指揮の下、ひとつの事故も起こさずに
懸命のフライトを続けた。
 
 あの日のことを決して忘れない。
 
 なぜならまた必ず来るから。この国で空に
携わる限り、必ずまたこういう日が来るから。
 
 次は、もっと降ろして、もっと飛ばして、
もっともっと救ってみせる。
 
     必ず!