床下エアコンといえば「暖房は良いが冷房はダメ」というのが、ネットでも工務店さんの間でもほぼ定説になっています。
理由を聞くと大体「結露するから」「カビが生えるから」。
私も最初はそれを信じて対策をあれこれ考えていたのですが、実際にやってみたり、色々調べたりしているうちに「あれ?この理由、ちゃんと説明されてないぞ?」と思うことが増えてきました。今日はその辺りを整理してみます。
【そもそも結露って何で起きるんだっけ】
結露は要するに、空気に含まれる水蒸気が、周りより冷たい表面に触れて水になる現象です。これだけです。
なので「床下だから結露する」わけではなく、「床下のどこかの表面温度が、その場所の空気の露点より下がったら結露する」というだけの話のはずです。単純ですよね。
ところがネット上の説明を見ていると、この「表面温度」の話がすっ飛ばされて、「床下=結露しやすい」という漠然としたイメージだけが独り歩きしているように感じます。
【「隅がよどんで結露する」という説について】
ある工務店さんのサイトで、「一般的な基礎では隅に空気のよどみができて、そこで結露する」という説明を見かけました。自社の特殊な基礎工法ならそれを回避できる、という話の流れです。
これ、正直言ってちょっと引っかかりました。
よどんでいる空気というのは、エアコンの冷風が直接当たらない場所ですから、むしろ主流部より温度は高いはずです。温度が高ければ相対湿度は下がるので、結露はむしろしにくくなる方向のはず。
それに、そもそも「よどんだ空気が湿っている」というなら、その湿気はどこから供給されているのでしょうか。ベタ基礎で外周立ち上がりに断熱材まで入れてあれば、地面からの水蒸気の侵入は防湿シートとコンクリートでほぼ止まっているはずです。床下を循環している空気は結局のところ室内の空気と同じもので、隅だけ特別に湿度が高くなる理由が見当たりません。
実際、我が家の床下に潜って基礎コンクリートを触ってみましたが、どこもかさかさに乾いていました。隅も含めて、です。
結露が起きるとすれば、それは「隅だから」ではなく、「その場所だけ断熱が途切れていて表面温度が下がっている(いわゆる熱橋)」という、施工上の別の問題のはずです。「隅=結露」と一般化してしまうのは、正直なところ根拠が弱い説明に思えます。
【実際に結露した場所と、その理由】
とはいえ、「床下エアコン冷房は絶対安全」と言うつもりもありません。実は我が家でも一箇所だけ結露しました。
床下に空気を送り込むガイドの中に、床の出っ張りがあったのですが、そこにピンポイントで結露が出ました。
原因を考えてみると、こういうことだと思います。
・冷房運転中:出っ張り面に冷気が直撃し続けて、表面温度がぐっと下がる
・設定温度に到達して送風運転に切り替わった瞬間:まだ冷えていない、湿った室内の空気がそのまま出っ張り面に当たる
つまり「冷え切った表面」に「まだ冷えていない湿った空気」が当たるという、結露が起きるための条件を絵に描いたように満たしてしまっていたわけです。
これは「床下だから」でも「隅だから」でもなく、気流が乱れて局所的に熱交換が過剰になっていた、という単純に流体力学的な問題でした。出っ張りをなくして気流をスムーズに流れるようにしたら、あっさり解決しました。
「床下冷房は原理的に無理」という定説は、こういう施工上の細部の詰めの甘さで結露事故を経験した人たちの声が積み重なってできたものであって、原理的な壁ではなかったんじゃないかと、身をもって感じた出来事でした。
【「冷気は下に溜まる」もそんなに単純じゃない】
もう一つ、「冷たい空気は重いから下に溜まって循環しない」という説もよく聞きます。
これに影響されて、実は私も床下の基礎底面の空気をわざわざ床上に導く特殊なダクトを自作したことがあるのですが、結果は「無意味」でした。基礎底面と上方で温度差はほとんどありませんでした。
考えてみれば当然で、「冷気が下に溜まる」という現象は、空気がほぼ静止している状態で初めて成り立つ話です。窓際でひんやりした空気がスーッと下に降りてくる、あの現象(コールドドラフト)はまさにこれですが、これは無風に近い環境だからこそ起きることです。
我が家のようにエアコンのファンで強制的にがんがん空気を循環させている状況では、強制的な撹拌の力の方が、密度差による自然な沈み込みよりずっと強くなります。なので温度はわりと均一になってしまう。実測でもそれが裏付けられました。
足元だけ冷えるという話も、大げさに言われているほどではなく、我が家ではやや感じる程度です。
【エアコンの設置高さについても、ずっと疑問だった】
これは冷房とは少し違う話ですが、日本のエアコンってだいたい天井近くに設置しますよね。あれもずっと疑問でした。
人が生活しているのは床から2mくらいまでの空間(いわゆる居住域)で、それより上はぶっちゃけどうでもいいはずです。それなのに天井付近から空気を吸って、天井付近から吹き出す方式だと、部屋の上下全体を空調することになって、無駄が多いんじゃないかと感じていました。
これ、調べてみたら業務用の空調の世界ではちゃんと確立された考え方があるようです。「居住域空調」と呼ばれていて、体育館やアトリウムのような天井の高い建物では、人のいる高さだけに絞って空調するほうが省エネになる、というのはすでに常識のようです。数字としても、全体空調に比べて1〜2割程度の省エネ効果があるというデータも見つけました。
実は私、以前アメリカで全館空調(ダクト式、床下から冷暖房を吹き出すタイプ)の家に住んでいたことがあるのですが、あの時の空調がとにかく快適でした。それに影響されて我が家も床下エアコンに辿り着いたのですが、よくよく思い出すと、あのアメリカの家、空気の吸い込み口が人の頭くらいの高さにあったんですよね。
これに倣って、我が家のエアコンの吸い込み口も、テレビ台の上、頭の高さあたりに開けています。天井近くから吸うのが当たり前だと思っていましたが、これも「なんとなくの慣習」でしかなかったのかもしれません。

【まとめ】
色々調べたり考えたりして改めて思ったのは、「業界の定説」と呼ばれているものの中には、
・きちんとした実測やメカニズムの説明を伴わない、感覚的な経験則
・特定の施工条件(弱い循環風量、断熱欠損など)でしか成り立たない話を、無条件に一般化したもの
が、結構混ざっているんじゃないかということです。
もちろん、床下エアコンの冷房運転がいつでもどこでも無条件に安全とは思いません。気密・断熱・循環風量といった前提条件をきちんと揃えることが大前提です。ただ、「結露するからダメ」の一言で思考停止するのではなく、「どこで」「なぜ」結露するのかを、自分の家で実際に確かめてみる価値は十分にあると、今回の経験で改めて感じました。
素人のDIYなので偉そうなことは言えませんが、定年後の自由研究として、これからも色々検証していきたいと思います。






































