(『新・人間革命』第8巻より編集)
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〈布陣〉 8
伸一は、翌五月四日は、・・・、五日は、六日は、さらに九日には・・・、翌十日には、女子部の新出発となる幹部会に出席した。
彼は、自らの行動を通して、学会の真実の精神を、幹部の在り方を、皆に教えようとしていたのである。
本部総会が終わって間もなく、伸一は、理事の代表と、戸田城聖の七回忌までの活動の打ち合わせを行った。
まず、統監部長の山際洋が、組織の実態を知る資料として、総支部や支部ごとの世帯の伸び率の一覧表を配布した。
それを参考にしながら、各組織の検討が始まった。
一人の副理事長が、つぶやくように語った。
「これを見ると、伸びているところと、停滞しているところの差が、だんだん大きくなってきている。全体的には・・・」
すると、別の副理事長が言った。
「農村部は旧習が深く、折伏が難しいという面もあるが、要は支部長だな。支部長が駄目だと、どうしても組織は伸びない」
その言葉を聞くと、伸一は、この二人の副理事長に尋ねた。
「それでは、あなたたちは、副理事長として、その支部に対して、何をしてきたのですか」
厳しい口調であった。
二人は驚いた様子で、気まずそうに、上目遣いで伸一を見た。
「牧口先生は高齢になってからも、たった一人でも会員がいれば、日本中、どこまでも足を運ばれた。
そして、そこで折伏を行じられた。これが、学会精神であり、幹部の行動であらねばならない。
全国どこへ行っても、支部長も、支部婦人部長も、また、地区部長も、地区婦人部長も、皆、必死です。
悩みに悩んで、懸命に活動しています。それを、最高幹部でありながら、自らは何もせず、野球でも観戦するように、
どこの支部が強いとか、弱いとか言っているのは、低級な評論家ではないですか。
(つづく)