(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈操舵〉 6
歌を知っている人は、ともに唱和した。皆の手拍子にも次第に力がこもり、顔に生気がみなぎり始めた。
青年の懸命な姿が、皆の心を鼓舞したのである。
歌が終わった。「もっと歌いましょう」
「では『威風堂々の歌』の指揮を執ります」
輸送班(当時は、大石寺への登山が活発で人数が多く、列車内の整理等のため青年が中心にこういう班があった)の青年が、また元気いっぱいに、冒頭の一節を歌った。
「『濁悪の此の世行く 学会の』、それ!」
〽 行く手を阻むは 何奴なるぞ
威風堂々と 信行立てて
進む我らの 確信ここに
熱唱するうちに、広宣流布の使命に生きる喜びと希望が脈打ち、”頑張ろう!”との思いが、皆の胸中にうねっていった。
学会歌の合唱は、何曲も何曲も続けられた。最後は、誰もが目を潤ませながらの合唱となった。
この歌声を聞くと、隣の車両でも学会歌を歌い始めた。
さらにそれは、次の車両にも広がり、やがて、列車中で大合唱が始まった。
引き続き座談会を開いた車両では、次々と決意発表が飛び出した。
「大聖人は『大悪おこれば、大善きたる』とおっしゃっていますが、私は今、『学会員でよかった』と、大声で叫びたい思いです。
今回の体験を、決意に変えて頑張り抜く、大功徳の実証を示してまいります」
皆の心は一変していた。
一方、長岡支部の人たちは、不眠不休で食事づくりに励んでいた。