(『新・人間革命』第4巻より編集)
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〈凱旋〉 4
伸一は、こう言うと、自作の詩を披露した。
希望に燃えて 怒涛に向かい
たとい貧しき 身なりとも
人が笑おが あざけよが
じっとこらえて 今に見ろ
まずは働け 若さの限り
なかには 侮る者もあろ
されどニッコリ 心は燃えて
強く正しく わが途(みち)進め
苦難の道を 堂々と
明るく微笑み 大空仰ぎゃ
見ゆる未来の 希望峰(きぼうほう)
僕は進むぞ また今日も
伸一は、青年たちに視線を注ぎながら言った。
「つたない詩ですが、若き日の私の心です。
皆さんも、同じ思いで、どんなに辛いこと、苦しいことがあっても、決して負けずに、大指導者になるために、堂々と生き抜いてください。
皆さんの青年時代の勝利を、私は、心から祈り念じています」
こうして励ました青年たちが、この日の高崎支部の結成大会に、一段と成長した姿で、伸一の前に集って来たのである。
青年の成長こそ、伸一の最大の希望であり、最高の喜びであった。
そして、十二日に、大阪の関西本部で御書講義を行い、翌十三日からは、中部に入った。
愛知、熱田の二支部合同結成大会に出席。
行く先々で個人指導に力を注ぎ、岐阜にも足を運び、支部長の沢井昇の家を訪ねている。
沢井は数年前に、不況の波をかぶり、経営していた会社が倒産したが、それを見事に乗り越え、前年に岐阜支部長になった。
求道心の旺盛な壮年であった。