(『新・人間革命』第4巻より編集)
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〈春嵐〉 7
この日、メーン会場となった公会堂の大ホールのほか、小会議室など三部屋が、第二会場から第四会場として使われていた。
伸一はそこにも、直ちに足を運んだ。短時間であっても、直接、会って激励したかったからである。
メーン会場以外の人たちは、彼の話を、スピーカーを通して聞いていたにすぎない。
伸一は、その人たちに、寂しい思いをさせたくなかった。
彼は、各会場に顔を出すと、笑顔で語りかけた。
「どうも、お寒いなか、ご苦労さまでございます。どうか、風邪などひかないようにお帰りください」
突然の山本会長の登場に、どよめきが起こった。
「ご婦人方は、妙法に照らされて、美しく個性豊かに輝き、そして、ご主人や子どもさんには、このうえなく優しく、
信心はどこまでも素直に、さらに誤った宗教には敢然と戦う、お一人おひとりであってください。
ただし、これを間違えないようにお願いしますね。
ご主人や子どもさんに、阿修羅のごとく強く挑み、信心は我見に走るというのでは、皆さんも、周りも不幸になってしまいますから」
どっと笑いが広がった。
「それから、壮年の方はうんと働いて、奥さんに楽をさせてあげてください。
そして、たまには、奥さんにお小遣いをあげて、『これでインドに折伏に行ってらっしゃい』
『アメリカに指導に行ってらっしゃい』と言えるぐらいの境涯になってください。
また、壮年は、奥さんに言われなくても、自分で勤行しましょう」
再び、笑いが弾けた。