雰囲気が違う? | くにまさのブログ

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(『新・人間革命』第1巻より編集)

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     〈錦秋〉 6

 

 一方、ホテルを後にした副理事長の十条潔らは、地区結成の打ち合わせの後、座談会場になっている集会場に向かった。

 会場には、四十人ほどの人が集まっていた。

 

 最初に、十条から、山本会長は都合により、出席することができなくなった旨が伝えられた。

 参加者の顔には、ありありと落胆の色が浮かんだ。

 

 日本から来た幹部は、次々とあいさつに立ち、懸命に会場の空気を変えようとした。だが、重く沈んだ雰囲気を変えることはできなかった。

 

 参加者のなかには、日系婦人の夫で、未入会のアメリカ人も多かった。

 それだけに十条たちは必死だった。

 しかし、力をこめ、声を張り上げて叫べば叫ぶほど、皆の表情はますます暗くなっていくのである。

 

 伸一が出席した座談会場に漂う、和気あいあいとした温かな雰囲気も、あの弾けるような喜びの表情もみられなかった。

 

 ”これではいかん。何かが違う。どこがちがうのだろうか・・・”

 

 夜、ホテルに戻った十条は、伸一の部屋に座談会の報告に訪れた。

 伸一の蕁麻疹(じんましん)は次第に引き始めていた。が、下痢はまだ続き、熱も下がらなかった。

 しかし、伸一は、ベッドから起き、十条の報告に耳を傾けた。