昨年の夏から秋にかけて聴講した

薬物依存症再発予防プログラムのご紹介

「SMARPP(スマープ)」と「条件反射制御法」


1980年代、アメリカでコカイン乱用者の急激な増加に対して、厳罰主義にすると再犯率が多く、刑務所が「回転ドア」現象を起こすだけ、というコトで「底つき」や「厳しい愛」といった入院治療プログラムを試すも、底つきを待っていたら、中枢刺激薬乱用は、中毒性精神病にもとづく暴力事件が発生する危険もあるし、治療自体から離脱するヒトが相次ぐ為、マトリックス研究所のクリニックで、中枢刺激薬依存に対する統合的集中型外来治療アプローチ方式が開発された。

06年、米国で効果を挙げていた認知行動療法を手本にワークブック方式の治療プログラムを開発。

このスマープは、薬物を使いたくなるのはどんな時か、誘惑をどう避ければいいかなどを、4カ月以上をかけ、依存症に悩む他の患者や医療者と一緒に考えていく療法のコト。


※認知行動療法→自らの考え方や行動パターンの問題点を振り返り、修正法を学ぶ精神療法の一種。

入院では無く、外来型なのは、家族教育や、社会的資源の活用など、継続的に続けられるコトを必要な要素だと考えているからで
これは、認知行動療法(再発予防スキルトレーニング)、動機付け面接、随伴性マネージメント、心理教育、家族療法の12ステッププログラムに参加するコトで、例えば休んでしまっても責めず、遅刻をしても「よく来た」と褒めるという報酬を用いる方法。

先日受講した、もう一つの治療プログラム「条件反射制御法」とも諸々のプロセスや考え方は近い部分があるのだが(スマープに行動、アクションをプラスしたのが条件反射制御法)更に、決定的に違うのが、例えば薬物を使っていたヒトが、その時の環境、道具などに遭遇した時、「スマープ」ではそれを「強力な外的トリガー(引き金)」だととらえる為(頭の中では「使いたい」と「止めたい」の葛藤が始まる)再使用をふせぐ為に、できるかぎり、外的、内的なトリガーを避け、依存症的行動をやめさせるのに対し、

 「条件反射制御法」は、同じようなシチュエーションを事細かく思い出させ、作文に書かせたり、想像させるだけでなく(メリット、デメリットを書かせるという行為はスマープも条件反射制御法も共通している)

仕掛けのある本物そっくりの道具を使って(危険ドラッグならその空のパッケージも使う)、そのヒトのシチュエーション通りに実演、演じさせる、というプロセスがあるのだ。

コレには最初「えー、フラッシュバックしちゃうのでは?」と「断薬」など依存している何かを止める治療というのは、徹底してトリガーになる、なるかもしれないものから離すコトが、常識だと思っていたので驚いた。

しかし、静脈に注射をポンピングして打つ動作が出来たコトやオーバードーズが止められない、精神科に通院している患者さんに、擬似薬を沢山渡し、好きなだけ飲みなさい、と渡すコトは手元に錠剤があるし、沢山飲むという行為を与えるというコトで実際、実行すると両方にそれなりの「満足度」があるのだそう。更に続けていくと、アタマの中では徐々に変化が起き、擬似薬の方は、次第に適量になっていき、次の減薬というステップに進めるのだという。普通、プラセボというのは「わからない」コトが大前提だが、条件反射制御法では「これは偽物です。」といって渡すのだ。
プログラムでは様々な精神療法の段階を進んでいき、擬似体験の段階に到達した際には、脳がそれを受け入れられる様になっているという訳だ。

「条件反射制御法」は12週間の治療プログラムで薬物依存症だけでなく、
アルコール依存・ギャンブル依存なども含めた「依存性」全般に対する治療法。
http://www.shimofusa-pc.jp/train…/shiheki_koudou_201208.html

2つ共とても、興味深いお話でした。

実はこの条件反射制御法の事や依存症に関しては、Facebookでも何度か書いているけれど、
私自身が、アディクション問題に直面したが、周りの理解が全く得られず(主治医、家族、知人など当時は私以外全員といってよかった)救えなかったヒトがいて、そのコトをよーく知っている在る方が聴講を勧めてくれたのがきっかけなのだ。

「薬物依存は、特に処方薬(向精神薬、それから市販薬も)なんかだと家族には理解されないコトも多い。ましてや処方した医師はその事実を無かった事にしたいから、隠蔽に走るのだ。


「目の前で見たコトを誰にも信じてもらえなかったコトは

想像出来るよ。みんな医者を信じてしまうからね。
あの時一番辛かったのはマキちゃんだった。
ただ、ボクもね、同じ病気だからわかるけど、
そのヒト(アディクト)は弱いんだよ。
それはわかってあげて欲しい。
だから、マキちゃんは、自分が見たコト、知ったコトの、

経験を活かして同じような立場のヒトを支えてあげるコトを
して行ったらどうかと思うんだ。」


その人の、このコトバだけで何ヶ月分の涙が出て、
何ヶ月分の私自身が救われただろう。

今、ニホンの精神医療、向精神薬の問題は、
諸外国と全く違う、

多剤大量処方(今年から制限がかかりましたがそれでも多い)
の問題や諸外国に比べ圧倒的に多い入院患者数、
死亡退院数だけで無く、福 祉、生活保護との関係、
それから児童精神科医が学校と連携し、
親元から連れてきた(親の承諾無しに連れ去るコトも)子供らに
親の承諾無しに向精神薬を投与するのです。
向精神薬を飲んでいたコトで発症に至る「薬剤性」とつく疾患も増え、
沢山手元に渡されるコトによりODを繰り返す処方薬依存も増えました。
連日、ニュースで流れる猟奇的事件や事故、自死などとも
決して無関係では無く、複雑にリンクしています。

私は、自分が救えなかったヒトとその家族にもいつか届く様、
コレからも精神医療の問題を伝え、

当事者のヒト達の苦しみに寄り添って行きたいと思う。

   ◆
   ◆
   ◆

こちらは新聞記事。

薬物依存治療の中断防ぐ 新たなプログラム「スマープ」
2014年9月11日 東京新聞 山本真嗣

危険ドラッグの使用による事件や事故が相次ぐ中、
薬物依存症者の回復を目指す新たな治療プログラム「スマープ」が医療機関を中心に広がっている。
外来治療 に依存症者同士のミーティングを加え、医療機関側から参加を積極的に働きかけることで、薬物への誘惑から治療を中断してしまうリスクを減らすのが特長だ。

 「(薬物が)目の前にあると、あるだけやっちゃうから全部捨てた。
家族にも迷惑かけたし…」

愛知県豊明市の桶狭間病院藤田こころケアセンター精神科で九月上旬にあったミーティング。
薬物依存症の外来治療に通う三十代の会社員男性は、同じように薬物依存などに悩む八人と、
司会の臨床心理士らに語りかけた。

中学時代からシンナーを吸い、いろいろな違法薬物に手を出した。
危険ドラッグを使い始めたのは三年ほど前。使用して意識が飛び、
自宅の床でのたうち回る異様な動画を妻から見せられたが、やめられなかった。
車を運転して電柱に衝突したことをきっかけに、通院を始めた。

薬物依存治療をする医療機関は一般的に、
入院から外来に切り替わった依存症者に、民間リハビリ施設や自助グループを紹介している。
ところが、薬物への誘惑 を断ち切れない人は多く、外来診療を受けるのを中断し、
再び薬物に手を染める例も少なくない。
民間リハビリ施設や自助グループに参加するには、
薬物をやめ ようという本人の意志が重要となるため、
センターはスマープで橋渡し役も担う。

男性が通うのは週二回の平日の午後。「
憂鬱(ゆううつ)で退屈な時に使ってしまった」
「この薬物を使ったらどうなるのかという好奇心だった。自分の体で実 験している感覚でした」。
他のメンバーもそれぞれの体験を語り合った。
過去のつらい思い出のはずだが悲愴(ひそう)感はなく、
薬物を断っていられる今の状 態がうれしいと感じている様子だ。

メンバー同士は名字を知っている程度で、
精神保健福祉士や臨床心理士らコーディネーターが話をつないでいく。
語り合いを通して、薬物を使うきっかけを見定め、繰り返さない対処法などを考える。
「同じ経験をした人の言葉は、心にスッと入ってきた」。
約一時間の語り合いを終えた男性は笑顔を浮かべた。

終了後に参加者は「確認」の文字が入ったスタンプを参加表に押してもらう。
「できたことを目に見える形で示すことが大切。
こうやって薬物を使わない毎日を積み重ね、次も出ようという動機につながる」
と精神保健福祉士の竹内祥喜さん(26)。

ミーティングは全28回で、男性は「皆勤」まであと十回。
当初はやむなく参加する気持ちもあったが、今は「絶対に全部出る」と決意している。

2009年からスマープを導入した同センターでは、これまでに約140人が参加した。
スタッフは、治療中に薬物を使ってしまっても責めることはなく、
それ まで断薬できたことをほめる。
来なくなった参加者の携帯電話にかけて参加を働きかけるなどして、
心理的な壁を低く保つようにしている。

スマープは、国立精神・神経医療研究センター(東京)の松本俊彦医師(47)らが、
米国の治療法をもとに開発した。
外来を継続してもらう手段として06年 に神奈川県立せりがや病院(横浜市)で最初に始め、
全国四十一の医療機関のほか、東京都や愛知県、浜松市など十一カ所の精神保健福祉センターが導入している。
松本さんは「薬物の規制だけでなく、依存症者の回復支援と両輪で行うことが重要」と話す。

http://www.shimofusa-pc.jp/training/shiheki_koudou_201208.html

動物実験の記事で申し訳ないのだが…

モノアミン神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンなど)で、鬱と深い関連があるとされているセロトニン。


このモノアミン仮説を「やっぱ仮説じゃーん!」と

証明する一つになるかもしれない論文です。


今まで信仰されて来た「モノアミン欠乏仮説」は「仮説」と言いながらも、
結局、精神医療ではその「仮説」を頼りきっています。


仮説によると、これらの欠乏等で、精神疾患(とつけられた)症状になるとし、
それらを取り込んだり阻害する向精神薬が、その精神症状を改善するのだというのです。
繰り返していいますが、仮説をたてるコト自体に私は反対していません。
世の中のアレコレは仮説から始まるものですから。
ただ、誰も証明した事実の無い「仮説」に基づいて、偶然の産物(薬物はそういうの多いですから)である向精神薬を処方される際に、仮説だという説明も無ければ、ヒトによっては証明もされていない「仮説」を「正しい」コトの様に説明する医師がいるコトがイヤなのです。
だって詐欺と変わらないでしょう?


   ◆


この実験はとっても意味があります。

セロトニンを産生出来ない様に、トリプトファン水酸化酵素2の遺伝子を欠損した実験用マウスは鬱様になるのだろうか?
コレまで、ずーーーーーーーーっと信じ続けられていた
「モノアミン仮説」とやらが、仮説では無く、正しいのであれば…


そのマウスは「鬱」になるよね?


実験の結果、マウスは、強迫的、非常に攻撃的であったが、


鬱様症状を示さなかったのです(°ω°)!!

 

 
「仮説」という言葉が、結局世の中に全然浸透しないまま、
(精神科医がちゃんと話さないからだけどね)


その歪んだ信仰が、根底から崩れる日が近く、来るだろうか?


http://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/presspacs/2014/acs-presspac-august-27-2014/new-study-throws-into-question-long-held-belief-about-depression.html
リストカットと並んで過剰な問題行動とされるオーバードース(OD)。

救命救急に運ばれてくる、自殺未遂患者、薬物中毒者の多くは、 向精神薬の過剰摂取、過量服薬だ。
日本は、1990年代半ばから、精神疾患の患者数が異常に増加した国。
感染症でも無いのに、私たちの身体が突然変異でもしたかの様に、 爆発的に増えた。
そして、それとほとんど同じ時期から右肩上がりに、向精神薬の処方量 (要するに国内での消費量、売り上げ)が伸びている。 この2つの事実を、単純に精神疾患の患者が増えたから、 薬の売り上げも増えたと考えてよいのだろうか?

今年4月、先進国でも類を見ないくらい、向精神薬を多剤処方する我が国日本の厚生労働省は、
抗不安薬3種類以上、
睡眠薬3種類以上、
抗うつ薬または抗精神病薬4種類以上の処方を全て多剤処方とし、
多剤処方を行った場合には「精神科継続外来支援・指導料」をゼロ算定、
および処方料・処方箋料・薬剤料をマイナス算定する方針を示した。
これに対して、日本精神神経学会からは反対声明が出ました。

コレまで繰り返してきた、日本特有の多剤処方に自信を持っていて
それが今回、全面的に否定されたからでしょうか?
この通達はこの10月から正式に施行されます。

反対声明を出した精神科医達らは、コレまでやり続けてきた、多剤大量処方が正しいとして反対したのであれば、精神科の医師としての信念を貫き、例え診療報酬に影響があっても、自分の患者さんの為に、やり続けてきた多剤処方を普通であれば、続けると思います。

しかし、4月からコレまで、私の周りの多剤処方患者さん達は、
来院(2週間おき)する度に、薬が少しずつ、カットされています。(偶然?)
10月までに、
抗不安薬3種類、
睡眠薬3種類、
抗うつ薬または抗精神病薬4種類「未満」にするつもりなのでしょうか?

勝手なものです。
自分たちが、多剤大量に処方するだけして、
従来のお金がもらえなくなる、とされるとカットするのです。
そしてこの診療報酬改定に伴い、向精神薬多剤投与を行った保険医療機関は、
年に1回、向精神薬多剤投与の状況を地方厚生局長に報告することになっています。
これには、

1 以下の要件を満たす医師の氏名を記載すること。として、
① 臨床経験を5年以上有する医師であること。
② 適切な保険医療機関において3年以上の精神科の診療経験を有する医師であること。
③ 精神疾患に関する専門的な知識と、ICD-10(平成21年総務省告示第176号(統計法第28条及び附則第3条の規定に基づき,疾病,傷害及び死因に関する分類の名称及び分類表を定める件)の「3」の「(1) 疾病,傷害及び死因の統計分類基本分類表」に規定する分類をいう)においてF0からF9の全てについて主治医として治療した経験を有すること。
④ 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了していること。
2 「1」について確認できる文書を添付すること。
という条件で、医師の氏名を届け出し、平成26年6月に受診した外来患者に関する状況を平成26年9月30日までに報告、平成27年度以降は、各年7月31日まで記入する様になるのです。

更に、
決められた量の向精神薬の投与を受けている患者数と、
多剤処方の患者数、向精神薬の内訳、
精神疾患名の内訳まで、細かく記入して提出します。

しかし、コレにより、つい先日、それまで「ODして薬が無くなった」と早めに来院した患者に、
建前上は注意はしつつも、処方していた医師らは
「もう薬は出せない」とし、コレまでの怠慢、患者指導の失敗のせいでは?とも思うのですが(もちろんODした患者は悪いです)その患者は、気の毒に自然に断薬させられるコトになりました。…2週間後まで。

繰り返して書きますが、ODした患者さんは悪いです。

しかし、コレまで何度もODを繰り返しては、再処方を繰り返し、
どうすればODしないのか、根本的な解決を考える事を怠ったその医師が、
診療報酬改定により、各都道府県の厚生局へ上記の内容を報告する義務が生じたとたん、
ODばかりする患者に、
処方しない(=離脱症状が起きてもODしたのだから、その患者の自業自得)
という暴挙にでた、という構図なのです。

処方薬を長年飲み続けると、耐性がつき、強い薬を求めます。
そして、確実に依存していきますし、脳が萎縮していきます。
自殺願望や現実逃避にばかり結びつけられがちのODですが、
長年服用し続けてきた患者らのODの理由には、他の薬物同様、

いわゆる「快楽」も存在します。

血液と脳を隔てる関門組織として存在し、
薬物の脳への透過性を制限している血液脳関門は、
薬物が脳へ移行する通り道となり、脳の報酬系神経回路に作用するからです。
(女性はホルモンの関係で依存が早い)

何故ODが止められないヒトがいるのか。
ニンゲンは脳が覚えてしまった気持ちいいコトを止められないからです。
例え身体に悪くても、ヒトに迷惑をかけても…。

薬物とは、覚醒剤や危険ドラッグだけではありません。

全国で、薬物依存患者と診断されている中で、

処方薬、向精神薬の依存症患者は着実にその数を増やしています。

これが、精神科医達の罪でなくて一体何なのでしょうか。


※写真は、再放送でやってたアディクション問題の放送大学か何かの講座。
アディクション患者は、覚醒剤から向精神薬へ依存対象を移行させる、という説明。
http://dailynewsagency.com/2012/07/21/an-artists-self-portraits-while-on-various-dre/