ドミニカ共和国の1990年から2021年までの
ここ30年の経済史を観察すると
30年前と比較してGDPは約14−15倍前後と驚異的に
増加してきたことが分かります。ちなみに中国は過去30年の
経済成長が世界最高の35倍。日本についてはわずか1.4倍で世界でも
最低水準でありドミニカ共和国は日本のちょうど10倍の
ペースで成長してきたことになります。
上記でも書きましたが現在のドミニカ共和国と日本の物価を
比較した時に、購買力平価でドミニカが日本を上回るという
状況が上記の過去30年間の両国の経済成長の比較により
理論的にも説明がつきます。
1990年に時の大統領、ホアキン・バラゲルが開始した
関税の引き下げ、為替レートの均衡政策そして
外国企業の誘致政策など、海外の市場とのつながりを
促進させており、ドミニカ共和国はこの時期を境にして本格的な
経済成長の歩みを開始します。
国営企業はこの過程の中で徐々に解体されていき、海外の民間資本の
参入も徐々に進んでいきました。
それでも前半の15年の経済の歩みは文化的な足取りと並行
してゆっくりとした進みでした。
大きな歴史的転換点となっているのは2005年前後で
あり、ここで経済における高速車線ができ、
この後半15年からの経済成長の伸び率は前半の伸び率の
3倍のペースで成長していることがわかります。
つまりドミニカ共和国の過去30年の経済成長史の中において
後半の15年に何らかの大きな変化があったことがわかります。
歴史的に見た場合にこの時期のドミニカ共和国で
いったい何が起きたのでしょうか。
大きな2つの変化は
1)中央銀行の外貨国債の発行、
2)海外企業からの投資促進
の2つです。
この時期の少し前にドミニカ共和国の中央銀行の法律が改正され、
日本の日銀のように中央銀行の政府からの完全な独立性が
担保されるようになります。
そしてこの時期を境にドミニカ共和国の
金融市場がより国際金融資本に取り込まれていき外債の
発行を毎年増やしていくようになります。
特にウルグアイやパナマ、コスタリカ、セントルシアなどの
オフショア系の証券市場を中心にドミニカ共和国の国債が
海外の投資家向けに販売開始されていきました。
2004年はドミニカ共和国でハイパーインフレが起きた年であり
この年の経済は壊滅的なまでの打撃を受けましたがその後の
2005年からこの海外からの国債に頼る形でPLD政権は
公共事業を増やしていきます。
そしてもう一つは海外から積極的な投資誘致策を実行
するための法律改正を頻繁にしてきたことです。
自分がドミニカ共和国に来た当時は
法人を作ろうとするとドミミカ共和国の国籍を持つ人を7人以上
株主に入れなければならず、また株も50%以上の取得が
できないなど外国人がドミニカ共和国で法人を作ったり
投資をする事はハードルが高い時代でした。
その後、2007年になり法律が
改正され、外国人でも株式を51%以上取得できるような
法律になり、更にその後、2009年前後からは株式制限も
撤廃され、またドミニカ共和国の株や社債なども外国人でも
購入&所有できるようになるなど次々と外国人が投資しやすい
環境が整備されていくことで海外からの投資が積極的に
集まり始まるのです。
古代ローマの時代から、カルタゴ、フィレンチェ、
アッバース朝などのイスラム世界からクシャーナ朝の古代インド、
そして中国の唐、モンゴル帝国など、歴史的に
成長を遂げる国、成長を開始する時期というのは
古今東西、かなり明確な共通点があり、それは
それらの国が「海外の人たちに対して交易や投資を
開いた国であるかどうか、新規の産業を生み出しやすいのか」
ということです。外に開いていればその国の成長率は将来的に高く、
逆に内向きに閉じていれば将来性は期待できません。
自分も海外の各国への
投資の決定において最も重要視していることであり、
そういう意味でもドミニカ共和国が2005年よりから開始した
国際資本とのつながり、また対外国人に対しての優遇政策
を促進してきたことの2つはとても重要な
転換点だったと思います。
ただし経済成長と引き換えにドミニカ共和国がその懐に
抱えるようになった病はこの外債であり、対外債務は
年を追うごとに積み上げられているということも
重要な問題とも言えます。
対内と対外全てを合計した公債は現在は
GDPの70%を超えており今後ドミニカ共和国でも
他国と同様にお金の価値はますます弱くなっていくと
想定されます。
ただこれはドミニカ共和国だけの問題ではなく世界中で
膨大な債務が積み上げられており、
今後の15年は世界中のお金の価値が一層弱まる時代とも
言えます。
特に国債、社債などの債権の価値は今後長期の下降相場に
突入していくのではと。
ドミニカ共和国でもその過程の中で金融引き締め、
金利上昇の動きは避けられないでしょう。


