自分は海外在住のため子供に漢字を教えたり
することもあるのですが、1年、2年と
学年が進むうちにどうも漢字の勉強は自分のイメージと違うと
思う場面が多くなりました。
そもそも我々日本で育った大人は「漢字の勉強」を
深く考える機会はまずないと思います。
そのため最初は海外で子供に漢字を教えるというのは
漢字を覚える=漢字の書き方を覚える、というイメージでした。
日本の場合は文部省のカリキュラムがあるので
ほぼ無意識にこういうイメージの人がほとんど
ではと想像します。
(言い換えれば文部省のカリキュラムは漢字については
よくできているとも言えます)
この方のブログの記事が結構参考になるのですが
この方の話されている
「漢字を学ぶというのは、実は
①意味、②読み方、③書き方、④その漢字にまつわる語彙
を学ぶということなんです」
漢字勉強の本質を短い言葉で適切に
言語化されています。
すごい。
「漢字」の勉強は漢字を書くことではないの?と
理解しているとかなり迷走します。それは我々
日本で育ってもその漢字勉強の本質がよく
理解できてないからでしょう。
ただこれは別に海外で漢字学習をしている
からではなく、日本に住んでいて漢字が苦手な子供
ほどこの考えは重要となります。
日本に住んでいても漢字が苦手と考える子供が
大多数いるのが事実なのでそういう場合は「漢字の何が苦手か」
は周囲の大人が考えてみても損はないかなと。
単に漢字が苦手と言っても漢字勉強をひとつひとつ
因数分解してみると実に色々な段階があるものです。
子供に漢字を教えた自分の経験でまずは
良くないと思ったのが漢字の書き取り練習をしたことです。
昭和の小学校=ジャポニカ学習帳に漢字を書くイメージでしたので
ちょっとノートに書き取りさせようとしたら本人も
嫌がるし、割とすぐにこれは意味がないと気づいてやめました。
もう一つやってみたことで半分は意味があるけど半分は
何かが足りないと思ったことがあり、
それは漢字ドリル学習です。
最初は「漢字ドリルを何冊かやっていれば
勝手に漢字が理解できるようになるだろう」という
発想でした。
我が家の子供が1年生の漢字ドリルを何冊か終了、
その後2年生の漢字ドリルを何冊か終了、
3年生ドリルを何冊か終了、としていく中で
これだけでも「読み」については相当力が付くという印象でした。
ただ何か足りないなと思ったのですがこの時点ではそれが何か
まだ見えませんでした。
(ドリル作業で身につくもの)
まず一つは漢字を一つの記号、もしくはお絵かきとして
見た場合に一文字一文字を書ける力です。
英語で例えるならアルファベットの1文字1文字を書ける
段階の力。(ただアルファベットは26文字だけですが
漢字の場合は小一から小六までおいわゆる「常用漢字」
と言われるものだけで1000個強あることが
難関です)
漢字の文字の一つ一つを「お絵かき」として見る場合に
「鳥」という文字などはこの独特な形状の書き方に
慣れる必要があります。「鳥」がお絵かきとして書けると
島、鳴、島、馬、なども書けるようになります。
子供とお絵かきの遊びをしているとよく分かりますが
車の絵がうまく書けるようになった子供は
その形を描くのがすでにわかっているため
そこから派生するバス、タクシーや電車なども
書くのが得意になりますが同じ作業です。
自分が見ている印象だと
2年、3年、4年と上がっていくと
この「お絵かき作業」で独特の
形状に慣れる必要がある漢字が増えてきますので
最初は多くの子供が「お絵かき」できずに苦戦するのではと
想像します。単純に「複雑なお絵かきが増える」と言い換えても
いいかもしれません。
農、緑、旅、陽、遊、遠、飛、機など挙げればキリがないですが
このあたりの漢字は似たような「部首」のパーツを
組み立てていく漢字がその後の4年、5年、6年と
出てきますのでこの3年までの「お絵かき」ができるように
なっているとその後のお絵かきも似たような部首や
組み合わせのものばかりですので段々苦にしなく
なってくる印象です。
ドリル作業で獲得できる力の2つ目は単純に
「訓読み」の漢字についてはドリルだけで十分力がつくと
思います。問題は音読みです。
(漢字の音読み)
ドリルや書き取りの勉強では身につきづらいのは
漢字の「音読み」です。
音読みはまた別の種類の勉強として根本的に分けて
考えた方が良いという印象でした。
「音読み」の難しさ、それは一言で言うと漢字1文字では
成立しない事です。2字を組み合わせて一つの
言葉になるものばかりで漢字単体の勉強と並行して
「二字熟語」の単語力を増やしていく作業が必要に
なるのです。
漢字学習において実は「二字熟語」は大人の英語学習に
おける「単語帳3000」とか英語の単語帳の
勉強に似ているという印象を持ちました。
TOEIC 受験なら3000語単語とか
TOEFL なら10000語とかの単語本を勉強した人も
いると思いますが感覚的にはこれに近いのでは
ないかなと思います。
「漢字が苦手」と言っても実はどこが問題で苦手なのか
というのは子供によって段階を分けて考えてあげる
ことが重要という印象です。
1段階目、そもそもアルファベット的に書けない、と言う場合は
ドリルや子供によって苦にならない程度に3回か4回、
ノートに書くことが必要なる。これだけで訓読みも
問題なく覚えると思います。
次の段階で音読みの言葉=2字熟語の単語力を増やす、
2段階目の作業。おそらくですが日本でもこちらの方で
つまづく子供の方が多いのではと思います。
問題は2段階目の作業でつまづいているのに
一生懸命ノートの書き取りをさせようとすると
ほとんど意味がなくなることです。
(漢字の一文字一文字が持つ意味を考える)
一つの漢字に対していくつかの熟語を
関連させて覚えさせるとその漢字が持つ本質的な
意味をイメージさせるのにも役立ちます。
「不」という文字には不可能、不幸、不安など
マイナスを意味する言葉が多いですがそれをやって
いくうちに「不」の漢字が出てきたときに
「なんとなく否定的な」イメージがしやすい、
など。このような勉強でもやはり2字熟語系の
音読みの単語勉強が避けられません。
(3段階目)
そして3年、4年になると
目に見えない概念的な言葉が増えてくるのでそこで
並行して概念を増やす作業も必要になります。
「漢字」だけの勉強というのは実は効率が悪く
これについては海外在住だと一番難しいところ
かもしれません。
この記事でも書きましたが結局は
子供の教育で大切なのはその子の
「概念を増やしているかどうか」
それに尽きるのではないかと思うのでその意味では
漢字と関係なく子供の概念を増やすことはどんな事でも
良いことだと個人的には思います。
遠回りでも漢字だけを勉強をするのではなく
それが英語でもスペイン語でも子供の概念を
地道に増やしてあげることが漢字の勉強にも
役立つのかなと。


